
難しいリーグ再開への見通し
4月3日、日本プロ野球機構(NPB)とJリーグ合同による「新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、「4月に開催することは現段階では非常に難しい」「リーグ開催時期を出来るだけ後に延ばして欲しい」といった専門家による提言を受け、村井チェアマンは記者会見で、GW前後に目指していたJリーグ再開時期について、再考の可能性を示唆した。
(この後に行われたJリーグ臨時実行委員会で、予定されていたリーグ再開日程を白紙とすることが決定)
⚽️Jリーグ⚽️
Jリーグ再開は5月末を想定へ…専門家見解を受け村井チェアマン、4月25日再開は「実行に移すのは難しい」https://t.co/egqcjEp0LC pic.twitter.com/xtOSA7XvYd
— サッカーダイジェスト (@weeklysd) April 3, 2020
Jリーグはこれまでに、リーグ再開に際しての条件として「三密(密閉・密集・密接)」を避けるべく、スタジアム収容率を50%にする案や、遠隔地からの来場制限などを挙げ、マスク・消毒液・サーモメータ―などの配備も進めている。
これらは全て、リーグ再開の前提として「観客を入れての開催」を想定しているからで、2月末に最初のリーグ延期発表をした時点から、Jリーグ理念の一節「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」を実践するべくポリシーとして、その主張は一貫している。
「色んな人が我々と共にこのスポーツ文化の中で生活している。簡単には無観客は出来ない」
という村井チェアマンによるこの言葉からも、Jリーグの存在意義、Jリーグが社会と寄り添う覚悟を持っていることを感じることも出来た。
しかしながら、この日本社会においても、新型コロナウイルス感染拡大は、日に日にその深刻具合を増している。
観客の有り無し
Jリーグも目下、この社会状況の余波を大いに受けている真っ最中だが、これまでに三度、リーグ再開時期の延期判断がされていく中で、「降格なし」から「日程75%消化でリーグ成立」「試合消化数に関わらず勝ち点が順位の基準」と言った具合に、完璧にリーグを実施遂行出来る状態を100点として、もはや満点は到底望めない段階に達している。
そうしたことからも、少し前であれば少々大袈裟にも感じられた「Jリーグの存続」という最終目標に、リアリティを感じるようになってきた方も少なくないだろう。
Jリーグがこれまで唱えてきた「簡単に無観客は出来ない」というポリシーについても、それを再考する必要が出てきているのかも知れない。
https://twitter.com/GoalJP_Official/status/1245659093286576128?s=20
もちろん、リーグ戦が行われるとき、選手やチーム関係者・主催クラブのみならず、そこに関わることで生活を成り立たせている人々がいて(この「生活を成り立たせている人」が大勢いればいるほどJリーグの価値は高まる)これが「無観客」とされることで、実害を被る人は決して少なくない。
しかし「観客を入れること」「観客を入れられる状況」に強くこだわることが、結果的に選手やチーム関係者の将来に少なくない影響を及ぼしてしまう可能性を孕んでいるとも言える。
もちろん、この日本社会においても、新型コロナウイルスの「爆発的感染拡大」が起きてしまえば、「無観客」であろうと、チーム移動や試合自体に大きなリスクが生じてしまうわけで、リーグ再開を「観客の有り無し」だけで語るのはナンセンスだし、2020シーズンのJリーグが、その一切を全面的に中止せざるを得ない状況に陥ることも、村井チェアマンの想定の中に入ってはいるだろう。
であれば尚のこと私は、Jリーグが「アフターコロナ」から「withコロナ」へとシフトする必要性を、強く感じるのだ。
Jリーグwithコロナ
感染防止策が万全のスタジアムをJリーグと主催クラブが準備し、観客数の制限などをかけながら、何とか通常のリーグ公式戦に近い光景を作ろうとする努力を私は決して否定しない。
ただ、その一方で「新型コロナウイルスとサッカーは共存も可能である」というメッセージを、日本サッカー界の内外に向け、Jリーグが発信していくことも重要であるように思う。
「ウイルス対策を施したリーグ戦運営の方法」では、チームの遠征移動から宿泊環境などのチームマネージメントも含めた実践内容を
「ウイルス対策を施したピッチ内の仕様」では、通常とは異なる要素の留意点(ウォーターボトルの扱い・試合前セレモニーのスタイル・etc.)を
「無観客試合をどう見せると効果的なのか」では、観客がいない空間で行われている試合だからこそ感じられるサッカーの魅力を
また、「無観客」であっても試合が出来ない状況であれば
「ウイルス対策トレーニングメニュー」や「免疫力をUPさせるアスリート食」についての情報発信をJリーグが先頭を切って取り組んでもいいだろう。
Jリーグだけでなく、あらゆるカテゴリー、あらゆる年代のサッカー現場が、日常にある一つ一つの判断に戸惑いを抱き、半ば混乱状態にある中、Jリーグが示す「withコロナ」には間違いなく価値があるはずだ。
言うなれば、「簡単に無観客はできない」というJリーグのポリシーはあくまでも、「アフターコロナ」を想定したものであり、その「アフターコロナ」が直ぐに訪れることに期待しつつも、「無観客開催」を含む「withコロナ」の実践を是非ともJリーグには期待したい。
そしてこの「withコロナ」はなにもサッカー、Jリーグだけに限らず、我々の全ての行動様式に関わってくるテーマ。
私は「withコロナ」で参ります。