クラブにとって最も大切なのは「今いる場所」 である。

Jリーグ

関連リンク

 

Pocket
このエントリーをはてなブックマークに追加

今現在J3にいるクラブ、またはJFLにいるクラブが「昇格」にだけ自らの価値や意義を訴求していけばどうなるか。

それは、結局のところ「カテゴリー」という虎の威を借りてその力を誇示することに繋がっていくだけ。

そして、それが仮に実現したとしても、今現在J2、J1にいるクラブと入れ替わるだけの話。

 

つまり、徳島や大宮や甲府や山形や、山口や愛媛や福岡が降格しないと、その価値を誇示することは仕組み上できないし、一旦それが叶ったとしても、常にそれが脅かされる立場に置かれ続ける。

だからこそ、最も大切なのは「昇格」ではなく「今いる場所」を豊かにしていくことなのだ。

 

J3にいるクラブが盛り上がらないというのであれば、その理由はJ3にいるからではない。

そんな風に考えるクラブが仮にJ2やJ1に昇格し、それが解消されたように感じたとしても錯覚に過ぎない。

 

Jリーグ参入を目指しながらJFLにいるクラブにしても「今いる場所」を豊かにしようとする思いがなければ、J3に参入しようとJ2に昇格しようと、その段階になってから、自らの価値や意義に向き合おうとしても難しい。

J3やJFLに居ては「立ち行かない」と言うのであれば、それは本来的に自らの課題・問題である。 そこを直視することをせずに、カテゴリーを上げることだけに救いを求めるのはもうやめよう。

 

こうした体質は、J1であっても存在している。

太いスポンサーがついていることで、それが見えにくくなっているだけのこと。

証拠に、18クラブ全てが「優勝します」「上位に食い込みます」に近いことを叫んでいるではないか。

 

クラブにとって最も大切なのは「今いる場所」 である。

そこで豊かになった上で、まだ余力があるからこそ、更に経営規模を大きくしていこうと思うのが自然だろう。

もし仮に「今いる場所」で力を発揮出来ていないのなら、望むべくは「昇格」ではなく「降格」ではないか。

 

ただ、この理屈は、そこで戦う選手たちには必ずしも当てはまらない。

何故なら、選手はどのカテゴリーにいようと、常にシビアな評価の対象となっているからだ。

そして、彼らが抱える課題・問題は大抵の場合、あくまでも個々に拠るもので、途中で挫折しても個人の自由の中で許される。

 

私はこうした考え方を誰にも押しつけようとは思わない。

「昇格」「勝敗」を中心にサッカーを楽しむファン層に、それを押しつけて何かを生み出そうとは考えない。

ただただ大切なのは、日本サッカーのトップクラスになり得ない数多のクラブを支えられるだけの、新たなファン層をサッカー界が獲得していくこと。

 

言ってみれば「昇格」「勝敗」に重きを置くファン・サポーターは、選手のようなもの。

しかし、選手ばかりじゃサッカークラブを支えることは出来ない。

凡庸な日常にそのクラブがあり、厚く薄く、そこに寄り添おうと思う大勢の人がいて初めてクラブはクラブとして存在出来る。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で