2020Jリーグクラブライセンス交付状況とプレミアリーグ新設構想

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プレミアリーグ新設構想?

どうせ今回も「妄想」の類だと、一笑に付されてしまうのかも知れませんが、9月末に公表された2020シーズンのJリーグクラブライセンス交付状況を見るにつけ、私の頭の中にイメージされていた「プレミアリーグ新設構想」がいよいよ具体的に蠢きだした印象を抱いてしまったのです。

J1、J2、J3と各カテゴリーによってライセンス基準をクリアする上での障壁の高さは大きく異なり、数ある基準の中でも特に、ホームスタジアムやチームが日々トレーニングを行う練習環境に関わる「施設基準」については、行政を巻き込んでいかない限り(つまり公金が投入されない限り)たかだかJクラブ如き経営体では到底越えていくことも叶わず、これまでにこの「施設基準」がネックとなって、上位カテゴリーへの昇格が果たせないといった事例も少なくなく、良くも悪くもJクラブが、短期的な、そしてチームのリーグ戦績という博打めいた実績だけでは、その先の道には進むことが出来ないのだと、そういう意識付けをするのには一定の存在価値があったように私は感じていますが、それが来るべく2020シーズンにおいては、少々様子が変わってきたように思えます。

と言うのも、これまでであればライセンス交付がされていなかったであろうJクラブに対し、軒並みそれが交付されたという事実を指しているのでありまして、その印象だけで語れば、さしづめ「大盤振る舞い」といった状況があったわけです。

2020シーズンJリーグクラブライセンス交付状況

ではここで、2020シーズンに向けて、新たにライセンスが交付されたクラブをカテゴリー別に見ていきましょう。

J1クラブライセンス新規交付クラブ

  • 水戸ホーリーホック※条件付き
  • FC町田ゼルビア
  • 鹿児島ユナイテッド
  • FC琉球

J2クラブライセンス新規交付クラブ

なし

J3クラブライセンス新規交付クラブ

  • ラインメール青森(JFL)
  • 東京武蔵野シティFC(JFL)

以上合計6クラブ。

このクラブ数は2013シーズンにJリーグがクラブライセンス制度を導入して以来、2014シーズンのJ3リーグ新設に伴い14クラブにライセンスが新規交付されたのに次ぐ数字であり、J1クラブライセンスだけを見ると、制度導入後断トツで多い数字でもあります。

ではこれがどうして、冒頭に書きました「プレミアリーグ新設構想」へと繋がっていくかと申しますと、今回のライセンス交付状況を経て、現在Jリーグクラブライセンスを交付されているクラブは、J1が44クラブ、J2が4クラブ、J3が11クラブとなり、2013シーズンの導入以降、最高潮に「頭でっかち」な構造となったわけで、その「頭」の部分、つまりJ1クラブライセンスを交付されている44クラブの間における経済的格差が間違いなく広がったことも意味しており、当然ながらこの44クラブの中から「プレミアクラブ」を創り出すこと、半ばその必要性すらも私には感じられるのです。

プレミアリーグが新設されると…

とここで、私がイメージしている「プレミアリーグ新設構想」に移行したJリーグに、どんな状況が訪れる可能性があるのか、それを簡単な図にしてみましたので、ご覧ください。

詳しくはこの後に書きますが、私がイメージしている「プレミアリーグ新設構想」で「プレミアリーグ」に昇格(?)するであろうJクラブは、10クラブ程度と考えています。

すると、現在J1クラブは18クラブで運営されておりますので、残りの8クラブがJ1リーグ残留(?)となり、10クラブが抜けた穴埋めは、現在22クラブで運営されているJ2リーグの中から昇格させることで形を整えます。

同じように、22マイナス10で12クラブがJ2リーグに残留し、足りない分の穴埋めはJ3クラブから、、とやっていくと「プレミアリーグ」に10クラブ取られてしまった分だけ、J3リーグのクラブ数が足りなくなってしまうわけです。

だからこそ、2020シーズンのJ3クラブライセンスが交付された11クラブのうち4クラブが現在は未だJ3に参入出来ていないJFL所属のクラブであり、ホームスタジアムの目処も、観客動員実績も全くライセンス基準に沿うことが出来ていない東京武蔵野シティにまで、まさかのJ3クラブライセンス交付がされたのではないかと、私はそう感じています。

つまり、Jリーグ側からすれば『J3を潰すようなことがあっては絶対にいかん、シークレットブーツを履かせてでもJ3クラブを増やさにゃならん』と、そういう思惑が作用したのではないかと言うことです。

と、まあ『J3クラブを増やさにゃならん』といったJリーグ側の思惑は、あくまでもその先に「プレミアリーグ新設構想」があっての話ですので、これまでに書いてきたJリーグクラブライセンス交付状況以外の部分で、私が「近い将来、プレミアリーグ作るつもりだな」と思うに至った、いくつかの現象についても少し触れていきましょう。

J1クラブ間ですら格差が広がる

先ずは、いわゆるDAZNマネーの上位クラブ偏重配分です。

はじめに断っておきますが、私はJ1優勝クラブに十数億円、上位クラブにも数億円の理念強化配分金が与えられる現行制度を批判しているのではありません。

ただ、2017シーズンにDAZNがJリーグに参入してきて以来、間違いなくJ1クラブの間でも経済格差が徐々に生じてきているのは事実で、これによりJリーグの形は否応なしに変質してきてもいる。

FC町田ゼルビアがサイバーエージェントのお金でやっと練習場を確保しクラブハウス建設にまで漕ぎつけ、J1クラブライセンスを晴れて交付された一方で、2017、2018シーズンでJ1を連覇した川崎フロンターレには、理念強化配分金だけで、FC町田ゼルビアの練習場とクラブハウスが3つ作れるくらいのお金が入っているのです。

そしてこの格差は、少なくともDAZNがJリーグと放映権契約を結んでいる2026シーズンまでの間に、さらに大きく広がっていくことが予想されます。

もはや、その格差は同じカテゴリーでタイトルを争うのに無理がある状況になっていくでしょうし、プレミアリーグ新設の機運も当然高まって行くはずです。

緩和される外国人選手登録枠

続いては、2019シーズンに緩和された外国人選手登録枠についてです。

J1リーグでは、現在5人の外国人選手が出場出来るようになりましたが(J2リーグは4人まで)私のイメージするプレミアリーグでは、事実上、外国人選手登録枠は撤廃されるだろうと考えています。

既に楽天マネーが湯水のごとく投入されているヴィッセル神戸などは、その気になれば11人全員が元バルサという経歴を持っている選手を集めることだって出来てしまうでしょうし、当然ながら段階的に緩和されていくであろう外国人枠を最大限活用していくであろう匂いは既にプンプンしてきます。

そう言えば、FC町田ゼルビアのあの「クラブ名問題」に揺れたサポーターミーティングの中でも、藤田社長は「トウキョウ」というワードがクラブ名につくことで、海外選手への訴求力が上昇するとした発言をしていました。きっと、藤田社長はFC町田ゼルビアをプレミアリーグ入りさせたいんだろうなと、私はあれを聞いて感じていました。

そして、先に載せた図で、新設されるプレミアリーグのクラブ数は10クラブ程度と書きましたが、これは、先日Jリーグが発表した2020シーズンからスタートする若手育成リーグ「エリートリーグ」への参加希望クラブが11あったという情報を受けてのもので、近い将来、外国人選手が中心の「プレミアリーグ新設」されたとして、そこからあぶれてしまった将来性のある日本人若手選手のプレー出来る場として、その受け皿の必要性が高まったことで、何とも唐突な感じで当初の予定より1シーズン前倒しで、若手育成リーグがスタートするのではないかと、私はそう思うのです。

場合によっては、プレミアリーグの初期メンバーに選出された10前後のクラブに所属する日本人選手が戦う舞台が「エリートリーグ」になるのかも、などと言う想像も出来ます。

Jリーグに外国資本参入?

また、ここからはJリーグ側が意思表示していないことなので、完全なる想像の域の話ですが、新設されるプレミアリーグにおいては、基本的に外国資本の参入が可能になると思っています。

イングランドのプレミアリーグがそうであるように、Jプレミアクラブのオーナーが中東や中国やタイの大資本、或いは王族になるくらいでないと、とてもじゃありませんが、イニエスタを11人揃えられるクラブが出てきようもありません。

北海道コンサドーレ札幌が、チャナティップ選手の獲得、そして彼がチームの主力選手となったことで、タイを対象としたマーケティングに注力していますが、アジア圏の人々にとって憧れの海外旅行先でもある札幌という街をホームタウンとするクラブにとって、タイやベトナム、マレーシアといった東南アジア資本は喉から手が出るほど欲しいはずです。野々村社長も当然ながらプレミアリーグ入りを果たしたいと思っているでしょう。

大転換期

と、ここまで書いてきて、実は今回本当に書きたかったこと、それを最後に触れさせて頂きます。

実際、Jリーグがプレミアリーグを新設するなどと言う話は、あくまで噂程度で公式には一切そんな話が出てきてはおりません。

ただ、ここ数年の流れを見る限り、近い将来、少なくともDAZNがJリーグと放映権契約を結んでいる向こう10年弱の間に、名称はどうあれJ1リーグの上位カテゴリーに相当する特別なリーグが出来るであろうこと、既にその準備態勢に入っていることは、十分に想像出来るわけです。

キラ星の如くスター選手ばかりがピッチ上で躍動する華やかな舞台は、立派なスタジアムがどこも満員の観客で溢れ、もしかしたら、現在のJリーグとは比較にならないほどの社会的関心を集めることが出来るかも知れません。

ただ、そこで私はこう思うのです。

その時、J1リーグは、J2リーグは、そして今現在、悲しいくらいに観客を集めることが出来ていないJ3リーグは、どうなってしまっているだろうと。

J1リーグが、それでも数万人の観客を集めることが出来ている理由が、日本サッカーのトップカテゴリーであるからというものであるんだとすれば、プレミアリーグが新設された瞬間に、J1の観客数は現在のJ2並みに、J2の観客数は現在のJ3並みに、J3の観客数などもう調査するのも虚しくなるほどになってしまうのか。

そして、外国人選手ばかりがプレーするプレミアリーグだけが潤っていくことで、その土台たる日本サッカー界は足元から崩れていってしまうのではなかろうか。

最初にも書きましたが、これらを妄想の類だと一笑に付していただいて構いません。

ただ、もし本当にJリーグが「プレミアリーグ新設構想」を掲げた時、その時が日本サッカー界の大転換期になるようにも思えるのです。

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3 件のコメント

  • 記事拝見させていただきました。
    基本的なプレミアリーグを創設するメリットが良く分かりませんでした。
    1.現J1トップレベルの10クラブに外国資本OKとして本当に出資が来るのか?
    2.外国人枠撤廃(恐らく日本人枠創設)も同様にリーグ自体の魅力が乏しい(欧州移籍につながらない)となると有力な選手は他アジアの国のリーグに行ってしまいあまり効果を持たない。
    3.現状J1は世界的にもクラブ間の実力が拮抗しており、プレミア、J1に分けてもTop10の実力はJ1と大差ない割に昇降格繰り返す当落線上クラブは都度外国人枠の差が激しくチームの大きな作り直しを強いられる

    と言った辺りが最初に浮かぶ疑問です。
    特に1についてが重要で日本の思惑だけで立ち上げても世界的には相手にされない可能性の方が高いのではないかと感じます。
    もし毛利さんが有力な海外資本を持ちどこかの国のサッカークラブに出資するとしたら、敢えて日本のクラブを選ぶ理由はなんですか?
    同じ資本があるなら欧州にクラブを持つのではないでしょうか。

    • コメントありがとうございます。
      東南アジアや中東にとってJリーグはかなり魅力的なコンテンツになり得ると想像します。
      かつて三浦知良選手がセリエAに移籍した際、日本資本が大量にイタリアへ流れ込みましたが、欧州のトップリーグでプレーするのは難しくても日本のプレミアリーグであれば活躍できる力を持った選手は僅かながら存在します。
      どの国も国内リーグの整備といった面ではJリーグにかなり遅れを取っていますし、そこが日本のアドヴァンテージでもある。
      また、ヴィッセル神戸が親善試合のチケットを10万円以上に設定出来てしまう、そうしたマーケットが日本国内に存在していることも分かってきて(従来のJリーグファンではないファン層が存在している)神戸はもちろん、鹿島、浦和、横浜FM、G大阪、名古屋、FC東京、川崎F、あたりの資金面における不安が少なくなってきているクラブは、Jの既存ビジネスモデルから脱却できるプレミアリーグ構想にはすぐ乗ってくるでしょう。
      この場合、現状の戦力はさほど関係してきません。何しろチーム人件費に掛けられる資金が5倍、場合によっては10倍となっていけば、今現在J1とJ2を行ったり来たりしているとした事実など吹き飛んでしまいます。
      と、ここまで書いてきたことはあくまでも私の想像の域の話ですが、近い将来にこれに近いリーグがJリーグの上位リーグとして設立される可能性は極めて高いとも思っています。
      だからこそ、カテゴリーを最大のコンテンツとするビジネスモデル、それに影響されるファン意識、そうした今まさに日本サッカー界で無批判に信じられてしまっている価値観が非常に危うい日本サッカーの未来を指し示してしまっているのではないかと、危惧を抱いているのです。
      例年、シーズン終盤になると「優勝争い」はまだしも「昇格争い」「残留争い」に話題のほとんどが終始し、リーグ戦開催期間中における最大かつ唯一とも言える盛り上がりをそこで見せているJリーグの現状を見るにつけ、その危惧はより強いものとなっていきます。

      • 毛利さん
        回答ありがとうございます。
        おかげで何となく仰られるリーグのイメージが湧きました。
        他サイトさんの記事で恐縮ですが
        【ACL出場権(PO含む)は在籍年が10年間中9年以上のクラブが89%を占めている】という話もあり、
        Jリーグは上位が常連で形成されているとも言えますね。
        ベルギーリーグのプレーオフ制度もレベルの高いチーム同士での対戦を増やすのがレベル向上に繋がる
        (低いチームとの対戦は興行的にも人気がない)というのが採用理由の一つなようです。

        質問ですが、毛利さんの仰られる構想は、J1に合わせたプレーオフ制度の導入のほうが現実的ではないですか?
        国内強豪同士の対戦機会を増やすという観点では一致しています。

        結局プレミアリーグが奏功するかは海外資本から魅力あるリーグと認識されるか
        「自国や他のリーグに投資するよりJリーグに」という動機を持ってもらえるかにかかっていますね。
        その意味で悲しかったのが、鹿島アントラーズが16億でしか売れなかったことです。
        これは現状海外資本がJリーグに参入しようとしていない現れではないかと考えています。
        そこを打破するには例えばシンガポールリーグのように、
        【外国資本のクラブは、全所属選手が外国人で構成して良い】
        位の特典をつける必要を感じます。
        日本のプレミアリーグで自国の代表選手を強化出来るとなれば資本が入る可能性も少しは上がる気がします。
        日本のサッカーリーグの世界全体での位置づけからするとその位の事をやらないと特色を打ち出せないと考えます。
        その場合解決すべき事柄として地域密着の理念との抵触と、日本選手が少ないチームを果たして応援に行くのか?という問題がまた出てくるわけですが、絶妙なバランスで、地域人気&観客動員、資本国の利益、リーグ全体のバランスを取る仕組み作りは不可能ではないと思います。

        また、
        https://halftime-media.com/column/mercari-kashima-antlers-2/
        ~チームのオーナーシップの変更には、Jリーグの場合は理事会での承認が必要~
        と有り、海外資本がいざ参入しようと手を上げても、現状のJ理事会側に海外の複雑な資本への審査力、ノウハウがあるのかは疑問です。実際に海外から参入してもらうにはソフト・ハード共に様々な変更が必要な印象です。

        >現状の戦力はさほど関係してきません。何しろチーム人件費に掛けられる資金が5倍、場合によっては10倍と
        こちらもプレミアとJ1の格差があればあるほど、行き来するチームは大変な負担が発生します。外国人枠も大きな差をつけるとなればなおさらです。現実にはトップリーグを外国人枠最大として無理なく枠を減らしていく、若しくは日本のリーグ全体で外国人枠を大幅に増やす形が無難に思います。

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