衝撃の水戸ホーリーホック 少年たちよケーズデンキスタジアムへ

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モーレツに感動している

厳密に言うとこの「11人の群れ」で私が応援している柏レイソルの試合に対する思いを書くのは決して初めてではないのですが、それでもこうして特にJリーグ以外のサッカー現場を取材することが多くなって来て以来、ほとんどレイソルのことに触れない状況になっているように思います。

別段、それを避けていたわけでもないのですが、日立台でレイソルを応援している時の私は、あくまでも一個人の楽しみ、もっと言えば家族も含めたレジャーに興じている状態であって、そこで圧倒的な心の動きや、溢れる激情みたいなものは、むしろ発生して欲しくなく、平穏な日常生活の中にある一風景としての日立台がそこにあれば、もうそれで充分といった思いもあって、無意識のうちに「何か吸収してやろう!」みたいなギラギラしたアンテナを張ることも少なくなっていたのかも知れません。

しかしながら、台風19号による影響で2日日延べとなった10月14日の対水戸ホーリーホック戦においては、これだけサッカーの現場に顔を出していながらも、なかなか感じることの出来ないような、サッカーの素晴らしさ、J2リーグの素晴らしさに触れられたように思うのです。

はっきり申し上げます。

私は今、モーレツに感動しています。

長谷部水戸ホーリーホック「規律と連動性」

長谷部茂利監督率いる水戸ホーリーホックの躍進の理由。

これについては、私も自分なりの答えを持っているつもりでした。

今シーズン序盤の「連続無失点」から始まる「守備力の高いチーム」という印象から、シーズンも終盤となったここ数試合については、彼らが単なる「守備のチーム」ではなく、どの選手が先発しようが、極めて高レベルな「規律」「連動性」を武器に牙を剥いてくるチームであるという印象に私の中ではすっかり変わっておりましたが、それを実際に日立台で目撃する機会を得たときに、サッカーという球技が11人制で行われていることに感謝したくなるような、衝撃的な「チーム力」を感じてしまったのです。

もちろん、たった1試合を見ただけで、そこまでの衝撃を私に与えた要因の中には、この日の対戦相手、柏レイソルのチーム人件費の僅か10分の1足らずの予算で集められた選手たちがそれを実践してしまっていることが多分に影響しているわけですが、そうした背景があるからこそ、長谷部監督もチームを作って行く上での方向性を選びようがなかったのかも知れない。

ただそれにしても、変な言い方になってしまいますが、現在の水戸ホーリーホックが、J2というカテゴリーで戦いながら抱える様々な課題、これらがあったからこそ、この素晴らしいチームが「出来てしまった」という側面もあるように思うのです。

つまり、水戸にはクリスティアーノも江坂任もオルンガも中村航輔もいない。

と言うか、この4人の選手を加入させてしまったら、他の選手たちにはほとんど給料らしい給料を払えないような台所事情であるわけで、当然ながらほぼ全員の選手が世間的には勿論、サッカーファンの間でも無名な選手ばかりと言ってしまってもいい。

それでも強いて知られている選手を挙げるとすれば、小川航基選手と黒川淳史選手(2人ともレイソル戦は不出場)くらいですが、この2人にしてもジュビロ磐田と大宮アルディージャから「借りている」選手なわけです。

それでも、長谷部監督は集まった選手たちを「足し算」してチーム作りするのではなく、所々に「掛け算」を入れながらチーム作りが出来ている。

そしてその「掛け算」こそが「規律」「連動性」であるように私は感じています。

このままならJ1に昇格しない方がいい

私はサッカー戦術の専門家ではありませんので、頭の中に浮かんでいるイメージを上手く言語化することが出来ません。

だから、水戸ホーリーホックというチームから感じた衝撃を戦術的見地からここに書くのは「規律と連動性」という言葉までに留めておこうと思います。

本当にもどかしいのですが、最も伝えたいのは今回そこではないので、お許しください。

では、そんな「衝撃的」だった水戸ホーリーホックについて、今回私がお伝えしたいことは何なのか、それについて書いて参ります。

私が衝撃的な水戸ホーリーホックを目撃し、みなさんに伝えたいこと。

それは「ケーズデンキスタジアムで水戸ホーリーホックを見て欲しい」ということです。

少し前に長谷部茂利監督が水戸のホームゲーム集客力を憂いて「このままならJ1に昇格しない方がいい」とコメントしたことを、このブログに中でも記事に書きました。

水戸の今シーズンここまでのホームゲーム1試合平均観客動員数は5,699人。

J2リーグでプレーオフ圏内の順位につけ、これだけのサッカーを見せているのにも関わらず、集客力はJ2でも下位に留まっています。

周りを見れば、実質的に「昇格が集客のメインコンテンツ」となってしまっているJクラブも少なくありませんが、水戸についてはその「昇格」すらも集客する上でのコンテンツになり得ていないのです。

それでも私は「ケーズデンキスタジアムで水戸ホーリーホックを見て欲しい」と強く思います。

少年たちよケーズデンキスタジアムへ

ここで僭越ながら1つ提言をさせて頂きます。

水戸で少年団や中学、高校サッカー部の指導者をされている方で、まだ長谷部監督の水戸ホーリーホックをホームスタジアムで目撃していない方がおられるのだとしたら、それは非常に罪深い。

際立つ才能を持った選手がほとんどいないチームの指揮官が、どんな戦い方をチームに課し、しかもそれによってしっかりと成果を出せているのか、それを知らずしてマンチェスターシティやリバプールのスーパープレーにしか価値が無いと思っておられるのであれば、それは怠慢です。

そして、水戸市内で活動する少年団、中学、高校サッカー部が、水戸ホーリーホックのホームゲームの日は、練習や試合を午前中までで済ませ、それが終わったらみんなでケースデンキスタジアムへ行って欲しいとすら私は思っています。

日々、必死にボールを追いかけている彼らであれば、必ずこの「衝撃的」な水戸ホーリーホックの姿を感じとることが出来るはず。

これは、自分がボールを蹴るという生活から随分離れてしまっている私のようなオッサンでもそう感じるのですから、小学生であろうと真剣にサッカーと向き合っている人には間違いなく感じ取ってもらえると私は信じています。

そして彼らには是非、そこで感じた衝撃を他の仲間にも伝播して欲しい。

これはPC世代、スマホ世代ではない私のようなオッサンでも、頑張ってTwitterを活用したり出来ているのですから、もはや彼らの発信力には敵うとも思っていません。

カウントダウン

この「衝撃的」な水戸ホーリーホックを作った長谷部茂利監督が、来シーズンも水戸の指揮を執る可能性が低いことが予想されています。

長谷部監督は今シーズンが2年契約の2年目。つまり、もし仮に水戸が監督を引き留めようとするのであれば、予想されるJ1クラブとの獲得争奪戦に勝てるような契約条件を用意しないことにはなりません。(これは仮に水戸が来季J1に昇格していたとしても状況は変わらないでしょう)

つまり、今見ることの出来る水戸ホーリーホックは、既にカウントダウンに入っているのです。

「ケーズデンキスタジアムで水戸ホーリーホックを見て欲しい」

長谷部監督と水戸に集まった選手たちが創り出すこの素晴らしいサッカーを、毎日ボールを蹴っている少年たちにこそ見て欲しい。

レプリカユニフォームなんて持っていようがいまいが、チャントを知っていようがいまいが、選手の名前を知っていようがいまいが、、、

大真面目に、それが水戸ホーリーホックの将来を作り出していくようにも思うのです。

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