【ケルガクセイのいま。】
大学サッカー選手の就活に焦点をあてた、インタビューシリーズです。
※「ケルガクセイ=蹴る学生」です!
今回のケルガクセイ
里見直樹(さとみなおき)さん
大宮アルディージャユース~日本体育大学サッカー部~現職
佐藤瑛亮(さとうえいすけ)さん
べガルタ仙台ユース~日本体育大学サッカー部~現職

今回のケルガクセイ 里見直樹さん(左)と佐藤瑛亮さん(右)
この春、株式会社キャリアデザインセンター(以下 CDC)に入社した里見直樹さんと佐藤瑛亮さんは、ともに日本体育大学サッカー部OB。
学生時代に同じ釜の飯を食べてきたお二人が、それぞれにどんな思いを持って就活に向き合い、晴れて社会人としての生活をスタートさせたのか、採用にも関わったCDC人材開発局の方も交えお話を伺って参りました。
このままサッカーを続けていていいのか
― 先ずは就活をスタートさせようと思った時期について、お話して頂けますか?
里見『僕はAチームでプレーさせてもらっていて、将来的にプロサッカー選手になることもイメージしていましたが、大学3年の時に自分は少し厳しいんじゃないかと感じるようになったんです。大宮ユースで一緒にやっていた仲間のうち2人はトップ昇格しJリーガーになっていましたし、他の仲間も大学サッカーの強豪で主軸として活躍していました。それを見て、ちょっと勝てないなと。そこから就活についても意識するようになりました。』
― Jリーガーを目指していたところから就活へと頭を切り替えるのってそんな簡単なことではないですよね?
里見『サッカー部の先輩がDiGを紹介してくれて、大学3年の9月頃に就活セミナーに参加したのが最初でしたが、その時点で「就職しよう」という気持ちは8~9割固まっていましたね。
トップチームでやっている人は大学4年の夏を過ぎても就活しない人もいるので、就活をスタートした時期はかなり早い方だったかも知れません。』
佐藤『僕の場合は大学2年の後半くらいから「このままサッカーを続けていていいのか」という気持ちが出てきて、自分の中で「就職しよう」と頭が切り替わったのは大学3年のはじめでした。』
― 強豪大学サッカー部だと、AチームがあってBチーム、Cチームという風に大勢の部員がいて、それぞれに将来を考えながらサッカーをしているわけですけど、その中で「俺は就職するよ」みたいなことを話せるムードは部内にあるんですか?
佐藤『スポーツの世界全体に言えるのかも知れませんが「(プロになるのを)諦める」と言ってしまうと「お前もう諦めるの?」となってしまうケースも多くて、チームの士気を下げることにも繋がりかねないので、言い出しにくいムードはあるように思います。ただ僕の場合は当時Bチームにいたので、周りの仲間も就活への意欲も高く現実的な話でしたし、そこはAチームにいた里見とは少し違ったかも知れません。』
里見『Aチームは伝統的に「大学4年の夏まではプロを目指そう」みたいなのがあって、だからプロになるのが難しいような人でも、就活をなあなあに考えてしまって、例年Aチームの中には大学3年の時から就職しようと思う人はいません。僕の場合はたまたま佐藤とも仲が良くて、プロは厳しいかなと思ってもいましたし、就活というものを現実的に考えることも出来たんだと思います。』
― もちろん人によって就活の必要性や就職に対する意欲の持ちようなど、気づくタイミングはまちまちだと思うんですが、やはりアスリート大学生の場合、環境的にもそうした思いを抱くこと自体、複雑な側面があるんですね。
『この会社に入りたい』と思った理由

大学2年の終わり頃から「このままサッカーを続けていていいのか」と思うようになったと話す佐藤瑛亮さん
― ではここからはお二人の就活がどう進んで行ったかについてお尋ねします。
今お勤めになっているCDCという企業が浮上してくるわけですけど、それはDiGの就活サポートを受けながら明確化していったのでしょうか?
佐藤『そうですね』
里見『そうですね、むしろそれだけと言ってもいいかも知れません(笑)』
― (笑)お二人の就活はDiGと接点を持ったところから具体的にスタートしたと思うんですが、一番最初のきっかけは何だったのでしょう?
里見『大学3年の9月に日体大でDiGの就活セミナーがあって、サッカー部を中心に15人くらい参加学生がいたんですが、僕も佐藤もそこに参加したのが最初のきっかけです。』
― 大学3年の9月にDiGの就活セミナーに参加し、志望する企業と接点を持ったのはいつ頃でしたか?
佐藤『大学3年の12月です。DiG主催のマッチングイベントで初めてCDCと接点を持ちました。』
里見『僕もそうです。その時に初めてCDCのことも知りました。』
― 初めてCDCという会社を知り、そこから志望するに至った理由を教えて頂けますか?
里見『僕は会社の「完全実力主義」みたいなところに惹かれました。サッカーも結果が全てでしたし、社会人も結果が大切だと思うんですけど、長くいれば昇進出来るとかではなく、結果を出せば若くても昇進出来るんじゃないかと思ったのが理由の1つです。もう1つは、そもそも僕は将来的に何か具体的にやりたいことが明確にあったわけではなかったので、人材業界は沢山の人や仕事と接する業界ですし、そこで何かやりたいことを見つけられるんじゃないかと思えたことです。』
佐藤『僕はもともと人材業界に進みたいなという思いを持っていたのですが、大学3年の12月にあったマッチングイベントの後に、CDCの人事の方と会ってお話させて頂いて、その時に何も隠さずに全て話すことが出来たんです。勝手なイメージで就活というものは相手の企業に合わせて偽りの自分を作ると言うか、そんな風に思っていたので、それを全然しなくても、選考を進めて頂き、結果的に内定まで貰えたというのは、非常に大きかったと思っています。』
― ほとんど同じ時期に同じ形で就活をスタートし、同じ企業の内定を獲られたわけですが、CDCに対して抱いていた魅力については、本当にお二人の個性がそれぞれ現れていて興味深いですね。
採用する側から見た時に、里見さん、佐藤さんの印象はいかがでしたか?
人材開発局櫻井直人部長
『マッチングイベントの時に日体大の学生さんが結構来てくれていたのですが、話を聞いてくれている姿勢に凄くポジティブな印象を持ちました。大学3年の12月ですから、体育会系の学生さんは先輩に「とりあえず行ってこい」って言われて来ているようなケースも少なくなくて、正直、参加学生の意欲は二極化します。ただ、そこに来ていた日体大の学生さんは凄く前向きで、就職や自分の将来にしっかりと向き合う姿勢を持っているなと感じましたね。』
人材開発局茅根織枝主任
『私は里見の採用担当だったのですが、自分自身が人事の仕事をするようになって半年くらいの時期で、しかも体育会で真剣にスポーツをやってきた学生さんと接することも初めてだったんです。ただ、そんな「人事の素人」だったからこそ「サッカーやっている子って何を考えているのか」とか、何に苦労してどうして就活に苦労しているのか、そういうことを聞くことが出来たように思います。
里見はマッチングイベントの後に自分から「もっと話が聞きたい」と言ってコンタクトを取ってきた唯一の学生でしたが、そういう姿勢を持てることが凄いなと驚きましたし、純粋に応援してあげたいなと思えました。』
サラリーマン1年目の日常

CDCの「完全実力主義」に惹かれたと話す里見直樹さん
― では里見さんと佐藤さんに入社されてからのお話をお伺いします。
例えば今日、今(AM10:00頃)こうしてインタビューに応じて頂いていますけど、この後はどんなスケジュールでお仕事される予定になっていますか?
里見『12:00までは新規顧客開拓のためのテレアポです。午後はお客様先への「訪問」があるんですが、それが終わって15:00くらいに会社へ戻って、その後は17:30くらいまでまたメールや電話で新規顧客の開拓をします。その後は明日の「訪問」準備をして、18:30からはメンターの方と1日の振り返りをするという感じです。』
― 里見さんと佐藤さんがおられる部署は「メディア営業本部」となっていますが、メディア営業とは具体的にどんなお客様を相手にする部署なんですか?
里見『中途採用をお考えの企業様に対して自社メディアやイベントを使った採用プランのご提案をする、いわゆる広告営業をする部署です。中途採用の情報を弊社のメディアに掲載して人材の募集をしませんか?という感じです』
― では先ほどのお話に出た「訪問」というのは、里見さんがテレアポをして訪問の了解を頂いたお客様のところを伺うということなんですね?
里見『はい、そうです。初めてお伺いするお客様です。今日は1回目のご提案をさせて頂くことになっています。』
― 佐藤さんは今日どんなスケジュールでお仕事されるんですか?
佐藤『午前中はテレアポをしまして、午後は「取材」と言って、僕が契約をして頂いた企業様のところへ伺って、原稿を作成するための取材をさせて頂くことになっています。会社に戻ってくるのは16:30くらいで、そこからはまたテレアポをしたり、明日の準備をしたり、ですね。』
― 佐藤さんのスケジュールにある「取材」は、里見さんのスケジュールにあった「訪問」の次の段階のお仕事ということだと認識しましたが、里見さんも「取材」をされたことはあるんですか?
里見『はい。1社ですが』
櫻井部長『二人とも初契約を獲れた時期は早いと思います。多くの新入社員の場合は8月のお盆前までに獲ろう、というのをひとつの目安にしている中で、6月中に二人とも初契約を頂けたのは、立派ですね。』
― お二人は1本目の契約をいつ獲れたかもちろん覚えていらっしゃいますよね?
佐藤『僕はつい1週間くらい前です。6月末くらいですね。。』
里見『僕は6月の第1週目くらいの時期で、たまたまですけど、一応同期の中では3番目でした。僕はその日の午後に受注したんですが、1人はその日の午前に受注していて(笑)』
― こだわるなぁ、負けず嫌いですねぇ(笑)
― 里見さんも佐藤さんも、その1件の受注に繋がった企業様が、ご自身がテレアポでお話してきた沢山のお客様と比べた時に明らかな違いみたいなものはお感じになりましたか?
里見『僕の場合は凄くレアケースだったんですが、弊社が取り入れているオンライン商談で受注させて頂けたので、本当にラッキーパンチというか、ゴールキーパーがちょっと大きく蹴ったら入っちゃったみたいな(笑)そんな感じで』
櫻井部長『でも、シュートを打たなくちゃゴールは決まらないよ(笑)』
― 佐藤さんはCDCを志望した理由に「何も隠さず全てを話すことが出来た」とお話されていましたが、営業マンは得てしてそうした関係性をお客様との間に築けた時に手応えを感じるのかななんて思うのですが、その辺りはいかがでしたか?
佐藤『まだそれを感じられるまでにはなっていなくて、まだ僕も話し方も硬い感じですし、今回の受注についてはたまたまそこにニーズがあって、それを、周りの先輩に助けていただいて契約に繋がったと思っていますし、まだそこに自分なりの再現性を持たせることは出来ていないので、今後も色々工夫をしていかないといけないなと、そういう時期です(笑)』
櫻井部長『周りから硬さを指摘されたりするの?』
佐藤『硬さ…はい、里見に指摘されました(笑)たまたまテレアポをしている僕の前を里見が通った時に「お前ヤバいよ」って言われて(笑)』
― でも凄くいいですね。学生時代から一緒に生活してきて、社会人になって同じ会社で仕事に対する向き合い方で軽口を叩きあえるのって。
入社に向けた「準備」

― 少しお話をさかのぼりますが、お二人がCDCから内定を受けたのはいつ頃だったんですか?
里見・佐藤『大学3年の3月頃です』
― では大学4年生になる時には、既に内定をもった状態だったんですね。そこからは何か就職に向けた準備はされていたんですか?
櫻井部長『凄く変な言い方かも知れませんが、そこからはとにかく学生生活に悔いがないくらいサッカーに打ち込みなさいと弊社から二人に言っていました』
里見『そうなんです。内定者研修なども3月末までは全くありませんでした。』
― それでも大体11月くらいには大学サッカーのシーズンが終わりますよね?その後はどんな風に過ごされていたんですか?「就職に向けた準備をしっかりしよう!」って思って過ごしていたのか、それとも「学生最後の今を楽しもう!」と思って過ごされていたのか?いかがでしたか?
佐藤『そうですね、、今を楽しむ7で準備3くらいの感じでした。「今を楽しむ」については卒業旅行資金を貯めるためにひたすらアルバイトをして、「準備」については色々な情報にアンテナを張ったり、他社ですが、軽いインターンみたいなこともしました。』
― インターンはどんな内容だったんですか?
佐藤『営業です。飲食店に行ってサイトに広告を載せませんか?っていう業務でした。里見も誘って一緒に(笑)基本セットで行動していたんです。アルバイトはコールセンターでテレアポする業務内容でした。』
― めちゃくちゃ準備しているじゃないですか!(笑)「アルバイト」っておっしゃるからコンビニバイトをイメージしちゃいましたよ。(笑)
櫻井部長『偉いね、凄く準備していたんだね』
― 最後にお伺いします、大学生の後輩に対してご自身が進んできた就活の道を勧めたい気持ちはありますか?
里見『自分が本当にやりたいと思うことをするのが幸せなのかなと思っています。例えばお金が全然貰えなくて、アルバイトしながらじゃないとサッカーが出来ない環境でも、サッカーが大好きで上を目指してやっているのであれば、それは良いことだと思いますし、ただそれが中途半端な気持ちで何も考えずにサッカーをやっていればいいんだという人がいれば「それで大丈夫か?普通に働いた方がいいんじゃないのか?」と言いますが、明確にサッカー選手の道を選んでいる人に対しては、無理に僕と同じ道を勧めようとは思わないですね。』
佐藤『早くから就活しろとは全く思いませんが、ただ現実を知った上で自分と向き合う時間は絶対に取った方がいいとは思います。たまたま僕らの場合はDiGを通してそれと向き合うことが出来て、就活に触れたというのがあるので、そこで自分と向き合った時に「やっぱり俺、サッカー好きだな」と思えたら、サッカー選手の道に進むのもいいと思います。』
― 大学生活を終えるというタイミングで、ひとつの通過儀礼と言うか、どんな道に進みたいのか、進むべきなのか、それを自分の中で深掘りする作業が必要だよ、ということですね。お二人の場合はそのタイミングが大学3年になった頃で、そこから就職に向けて気持ちが作られていったということなんでしょうね。
櫻井部長『今弊社の現場で活躍している元大学生アスリート社員の共通点は、自分自身に向き合う力があると言うか、そこにちゃんと時間とパワーを使ってきたんじゃないかなと。2人も就活に動き始めたのは大学3年生になってからですけど、もう少し前くらいから「本当に俺はこのままプロサッカーの道に行くのか」とそこから逃げずにちゃんと考えていたんだと思うんですよ。2人もこのまま経験を積んでいくと、この会社でこのまま上に行くのか、転職するのか、それとも仲間と一緒に起業するのか、など様々な選択肢が出てくるはずですし、その先も社会で生きていく以上、そういう場面は何回も訪れるわけですが、その一番最初の「サッカーではない道を選ぶ」という大きな岐路に向き合えないと、ずっとそこから逃げ続ける人になってしまうだろうし、向き合うことが出来れば、その先もしっかりと選択をしていけるんだろうと思います。』
インタビュー後記
今回のインタビューで最も強く感じたことは、入社して3か月ほどしか経っていないのにも関わらず、里見さん、佐藤さんがともに、もっと長く社会人としての生活を送ってきているかのような佇まいを見せていたことでした。
もちろん、未だスーツの着こなしは同席して下さった大先輩、櫻井部長のそれには及びませんが、自分自身のことを既にこれだけ冷静に、しかも客観性を持って語れてしまうお二人に、私は驚きました。
そして、恐らくこれは、彼らが社会人になったこの春からではなく、就活をスタートした頃、場合によってはその以前に「サッカー選手になりたいのか?」と自問をし始めたころから、繰り返し自分と向き合ってきたからこそ、既に社会人となった時点で「自分の言葉」を持つことが出来ていたのではないかと思うのです。
お二人は社会人生活がスタートする2カ月ほど前から、神奈川県社会人サッカーリーグの強豪、品川CC横浜でボールを蹴る日常も復活させ、現在は社会人サッカー選手としても活動しています。
きっと彼らのような存在が、それを受け入れる企業、そして社会人サッカー界に少なくない可能性を呼び込み、それと同時に大学生アスリートの価値も高めていくのでしょう。
人材紹介・就活支援サービス、人材採用コンサルティング・社員研修、メディアサービス・マーケティングなど『新しい価値基準を創造し、すべての人の適材適所を実現させる。』をミッションに掲げる人材業界におけるスタートアップ企業。2016年2月創設。