【ケルガクセイのいま。】CASE2『ライバルは現役Jリーガー』

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【ケルガクセイのいま。】

大学サッカー選手の就活に焦点をあてた、インタビューシリーズです。

※「ケルガクセイ=蹴る学生」です!

 

今回のケルガクセイ

寺田弓人(てらだゆみと)さん

星稜高校サッカー部~日本体育大学サッカー部~現職

 

『そうですねぇ。ライバルは、、、今水戸ホーリーホックでプレーしているンドガ・ボニフェイスですね。彼とは同い年で、日体大時代は常に彼とポジション争いをしていました』

 

Jリーガーの実情に触れて

名門・星稜高校サッカー部時代には、正月の全国高校サッカー選手権大会の決勝戦でも活躍した経歴も持つ寺田弓人さんは、現在東京の大手人材広告会社に勤め、その社会人生活も2年目を迎えました。

週末を中心に、神奈川県社会人サッカーリーグの強豪、品川CC横浜でも選手として活動している寺田さんにとって、少なくとも大学3年生の終わり頃までは、Jリーガーになることも大学卒業後に歩もうと思う選択肢の1つであったようです。

 

『大学3年の時にチームでもレギュラーを獲って、全国大会のメンバーに入ったり、関東大学選抜にも選ばれたりしたんですが、実は4年生を迎える前の時期にJ2クラブのキャンプにも参加させてもらっていたんです。でもそこで、自分でもいけそうだなと思えるレベルにある選手たちが、結構苦しい生活をしている実情に触れることも出来て、それでもJリーガーになりたいと思えればそこを目指したと思うんですけど、僕の場合そこで「サッカーは違うな」と。

大学時代にもJクラブとは頻繁に練習試合をしていましたし、自分的には大学サッカーでプレーすること自体がJ3レベルでやっているくらいのつもりでしたので、大学を卒業した後もJ2下位やJ3でプレーするのは時間が勿体ないなとも思えてしまったんです。』

 

星稜高校でレギュラーを獲る。そしてサッカーは高校生活で終わりにし、大学では教員になるための勉強をしたい。

漠然とこんな進路も考えていた寺田さんでしたが、日本体育大学サッカー部でサッカー選手としての道を続けて歩みました。

そして、いよいよ大学サッカー生活が最終コーナーに差し掛かろうとした時期に、「Jリーガーになる」という一見華やかに見える将来像が、自分が自分に求める将来像と必ずしも重なっていないことに気づいたのかも知れません。

就活のスタートは自分自身を掘り下げる作業から

品川CC横浜でプレーする寺田さん(背番号14)

『就活を始めたのは4年生の6月なので、普通の大学生と比べたら半年くらいスタートは遅かったんですが、そのきっかけを作ってくれたのは同じサッカー部の友人で、彼は信頼出来る友人でしたので、最初は「話を聞いてみよう」くらいの気持ちでDiG※とコンタクトを取ったんです。

そうしていく中、サッカー選手や教員になることも含めて将来の選択肢を多く持っていた方がいいよとアドバイスして頂きながら、直感的に今勤めている会社を志望先にすることも決まっていきました。

当時僕は怪我をしていて治るのに約1カ月かかるのが分かっていたのですが、復帰する頃には内定を取っておきたいという気持ちも強く、積極的にアクションを起こそうとしましたが、いざ就活サポートでDiGの担当者の方と向き合っても、自分が何を思って採用面接に挑もうとしているのかでさえ、まともに答えることが出来なくて、これじゃヤバいと、そこで初めて危機感をもって自分を掘り下げていくことをしました。』

 

企業の採用面接を経ていきながら「徹底して自分自身を掘り下げた」と話す寺田さん。

しかしこの時点では、寺田さんにとって採用面接自体が、あくまでも将来の選択肢を広げていく作業でもあって、サッカー選手を目指すことも教員を目指すことも、常にそのテーブル上には存在したそうですが、DiGの就活サポートを受ける生活がスタートして約一カ月。大学4年生の7月に志望する会社の内定を取った段階からは、その思いに少し変化が現れてきます。

 

将来と宿命の狭間で葛藤

品川CC横浜でプレーする寺田さん(背番号14)

『はじめは、内定を取るまでは「内定を持っていれば将来への不安を抱えないで大学サッカー最後のリーグ戦に臨める」くらいに思っていたんですが、実際に内定を頂くと「この会社に入りたい」という思いが強くなってきて、今までサッカーから学んできたことをこの会社で活かしたいという気持ちも生まれてきました。

ただ、そういう気持ちになっていることを今までサッカーを通じてお世話になった方々には申し訳なくて言えませんでした。地元の方々からJリーガーになることを期待されているのも感じていましたし、それが自分の宿命だと思ってもいたんです。

大学4年生の時は怪我もあってなかなか満足に試合にも出場出来なかったので、今ここで「就職する」と言えば、サッカー選手を目指していたのにそれを諦めたと思われるのも嫌だったので、またスタメンを取って、それでサッカーはやめようと決め、秋季リーグ戦の最後の最後でそれを果たしました。』

 

1人の青年が自らの将来を決めていく時、その判断が時に家族や周囲の人々が抱く期待と反するのではないかと思い悩むケースは決して珍しくありませんが、Jリーガーやプロアスリートといった非常に華やかな将来像を期待されながら成長する青年にとって、その葛藤が一般的には、なかなか想像の難しいことであるのかも知れません。

寺田さんの場合は、アスリートらしく「スタメンに復帰する」という目標を掲げ、それを果たすことで自らの判断を周囲に認めさせようとしたのでしょう。

 

『入社し社会人として働くようになって、自分が人よりは多少タフだと思うこともありますが、毎日やることは尽きないですし、キツい日々が始まりました。ただ、入社前から同じ会社のOBでもあったDiGの担当者の方に様々な相談をしていて、自分のやるべきことが比較的整理されてはいましたし、あとは入社して走るだけという状態になってはいたので、同期入社組で営業売上がトップになり会社から表彰もして頂けました。結果的にそれによって売上予算も大きくなって、担当地域や担当顧客層も大きく変わってしまったので、今また苦しんでいるんですけど(笑)』

仕事もお酒もサッカーも

寺田さんの話を伺っていると、決めた方向性に対し最大限のエネルギーをそこに注ぎ込む潔さを強く感じさせられます。

高校、大学時代、主にサッカーに対して注がれていたそのエネルギーが、現在はビジネスマンとしての生活に注がれているのです。

しかし、そんな大きなエネルギーが暴発してしまうことも少なくないようで、こんなことも話してくれました。

 

『いつも金曜日は会社の方々とお酒を飲みに行くんですが、それで終電を逃し朝帰りになることも結構あって、これまでに数回、品川CC横浜での活動に影響してしまったことがあります。

そのうちの一度は、公式戦のある日曜日の朝までお酒に付き合ってしまって、本当にしんどくて「今日試合行けません」と連絡したら、クラブのGMから「それは違うだろ?這ってでも会場に来い」と叱られて、何とか会場まで行ったんですが、ベンチで吐きそうになりながら試合を見て、いつもはGMに車で送ってもらっているんですが、それもお願い出来ず電車で帰って、俺なにしてるんだろうと。

「仕事もお酒もサッカーも全部行く」っていうスタンスでやろうとしちゃうんで、たまにこういうことが起きてしまうんですよね(笑)』

 

ライバルは現役Jリーガー

そんな風にたまに暴発もしてしまう寺田さんですが、社会人2年目の今、どんな将来像を抱いているのでしょう。

 

『実は教員になりたいという気持ちもあるんです。ただ、学生の時のように狭い選択肢の中からそう思うのではなくて、自分がどうして教員になりたいと思うのかも考えられるようになって、自分がお世話になった先生のような人間になりたいんだなということに気づくことが出来ました。地元は石川県ですが、今はこの会社で力をつけて、その力をいつか地元の為に活かしたいと思っています。漠然としていますが、単純にサッカー部の顧問とかではなく、もっと他の選択肢もあるんじゃないかなと。』

 

DiGの就活サポートを受け、徹底して自分自身を掘り下げたと話した寺田さん。

真剣にそれに取り組んだことで、自分が「人よりは人の話を聞くことが出来る」という強みも見出し、社会の中で自らが果たせる、または果たしたい役割についても俯瞰(ふかん)出来るようになったからこそ、成長とともにサッカーが常にあったことが、全てポジティブな要素として昇華出来ているように感じられます。

そしてそれが、決して他人から押し付けられたものではなく、自分自身で探し当てようとしているものであるからこそ、あらゆることに対し前向きな姿勢が貫かれているようにも見えるのでしょう。

何しろ彼のライバルはタフでポジティブなプロアスリート。現役Jリーガーの元チームメイトなのです。

 

DiG(ディグ)株式会社

人材紹介・就活支援サービス、人材採用コンサルティング・社員研修、メディアサービス・マーケティングなど『新しい価値基準を創造し、すべての人の適材適所を実現させる。』をミッションに掲げる人材業界におけるスタートアップ企業。2016年2月創設。

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