九州サッカーリーグレポート①「このリーグを守っていくのは我々」

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初めての九州サッカーリーグ

2:8

初めて触れた九州サッカーリーグで、最も印象深かったことを最も短い文字で表現するとこうなります。

しかしながら「2:8」だけではあまりに説明不足ですので、もう少し補足させて頂きますと

2=「Jリーグ昇格を明言しているチーム」:8=「そうでないチーム」

となるわけですが、私が2日に渡って体感してきた九州リーグ‟別府集中開催”で最も印象深かった「2:8」について、何故それが印象深かったのか、今回はその理由について書いてみようと思います。

では早速と行きたいところですが、その前に整理の意味も含めて2019シーズンの九州サッカーリーグ所属チームを一覧で記しておきましょう。

2019シーズン 九州サッカーリーグ(通称:Kyuリーグ)所属チーム一覧

J.FC MIYAZAKI(宮崎県)クラブチーム ※昨シーズン優勝 全社、地域CL出場

沖縄SV(沖縄県)クラブチーム ※昨シーズン全社出場

NIFS KANOYA FC(鹿児島県)鹿屋体育大学サッカー部傘下

熊本教員蹴友団(熊本県)熊本県内教員選手主体

日本製鉄大分(大分県)日本製鉄及び関連会社社員選手で構成

海邦銀行SC(沖縄県)海邦銀行行員と他選手で構成

佐賀LIXIL FC(佐賀県)佐賀LIXIL社員選手主体

川副クラブ(佐賀県)クラブチーム

九州三菱自動車(福岡県)九州三菱自動車社員選手主体

九州総合スポーツカレッジ(大分県)専門学校 ※今シーズン昇格チーム

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以上が2019シーズンの九州サッカーリーグ所属10チーム、名前の頭に☆がついている2つのチームが「Jリーグ昇格を明言している」チームということになります。

昨年の地域CLで決勝ラウンドまで勝ち上がった、あのジョージ与那城監督率いるJ.FC MIYAZAKIと、元日本代表ストライカー、高原直泰さんがクラブ代表、監督、選手と二足のわらじならぬ‟三足”のわらじで奮闘する沖縄SV。

九州から遠く離れた地域で生活していると、どうしても九州サッカーリーグの印象がこの2つのチームを中心としたものになってしまいがちですし、実際に私自身もこの「九州リーグ集中開催」を取材しようと思った動機の大部分は、この2つのチームが地元九州で戦っているシーンを見たかったからでもあったわけで、正直なところ残りの‟8”については、それほど大きな期待もしていませんでしたし、事前知識もほとんどない状態で別府へ行ってしまったのです。

しかしながら、冒頭にも書いたように、初めて触れた九州サッカーリーグで、最も印象深かったことは「2:8」というこのリーグに所属するチームの‟色の違い”であり、リーグを構成する色がそれぞれ、非常に魅力的なムードを醸し出し、決してこのリーグにおいては「Jリーグ昇格を明言している2つのチーム」だけが主役ではないと感じることが出来たのです。

リーグを守っていくのは我々

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と言うよりもむしろ、このリーグを本当の意味で支えているのは「8」の方なのではないかと、そんな気づきすら与えられたと言ってもいいのかも知れません。

では何故そんな風に思うことが出来たのか、それを実際にこのリーグで戦っている「8」の側にいる当事者の方々の言葉を引用しながら解説して参ります。

『このリーグには大抵いつも2つくらい「J昇格志向」のチームがいますが、リーグを守っていくのは我々だという気持ちも持っています』

日本製鉄大分の岡部範智監督は、集中開催の1日目、対川副クラブ戦を勝利で終えた後、こう話して下さいました。

日本製鐵大分製鐵所サッカー部として創部されたこのチームが九州サッカーリーグに昇格したのは1978年のこと。以後40年のほとんどを九州サッカーリーグで戦ってきた名門中の名門チーム。

40年の歴史の中で、Jリーグがスタートし、1995年に大分トリニータの前身大分トリニティが九州リーグに昇格し、その初年度に優勝、そのまま一気にJFLまで昇格していきました。

「J昇格志向」の行く末を横目に

その後も、ヴォルカ鹿児島(現J2 鹿児島ユナイテッドを構成したチーム)ホンダロックSC(現 JFL)プロフェソール宮崎(J昇格を目指した宮崎教員を母体としたチーム 2010年解散)ニューウェーブ北九州(現J3 ギラヴァンツ北九州)沖縄かりゆしFC(J昇格を目指したチーム 2009年解散 2002年に同クラブを退団した選手、ラモス瑠偉TDが設立したのが現J2のFC琉球)アルエット熊本(現J3 ロアッソ熊本の母体となったチーム)といった具合に「Jリーグ昇格」を目指すチームが続々と九州リーグに現れ、2005年にFC琉球V.ファーレン長崎が登場したあたりから、これら「J昇格志向」チームの間に生じる格差が広がっていき、九州リーグを数年戦ったのちにJFL、そしてJリーグ昇格を果たすクラブと、チームの運営が立ち行かなくなり一気に解散してしまうクラブとの二極化がより顕著になっていく中で、現在九州リーグに所属する「8」の側のチームの多くが、そんな「J昇格志向」チームの行く末を横目に見ながらずっとこのリーグを戦ってきたのです。

つまり彼らにしてみれば、2015シーズンに九州リーグへ昇格してきたJ.FC MIYAZAKIも、2018シーズンに昇格してきた沖縄SVも、過去にこのリーグを戦ってきた「J昇格志向」チームと何ら変わらない存在として映っているはずで、彼らがその先にJリーグクラブになろうが、経営困難となって解散してしまおうが、結局のところこの九州サッカーリーグを「通過点」と考えていることについてだけは共通しているわけで、だからこそそうではない「8」の側にいるチームの代表格、日本製鐵大分の監督が「リーグを守っていくのは我々」ときっぱり言い切るのでしょう。

マスメディアが絶対に切り取らない部分

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日本製鐵大分だけではありません。

NPO法人の町クラブである佐賀の川副クラブが九州サッカーリーグに初昇格したのは1981年のことですし、『沖縄出身の選手が主体となったチームで一番高いカテゴリーにいる』と選手たちが話してくれた海邦銀行SCも約20年間九州サッカーリーグで戦ってきています。

監督が『あの選手は私がまだ現役だった頃、大津高校のエースで、天皇杯県予選決勝で対戦したんですよ』と話してくれた熊本教員蹴友団に至っては、1973年に創設された九州サッカーリーグの初期メンバーでもあるのです。

そしてそこに佐賀LIXIL FC九州三菱自動車といった新たな実業団チーム(新たにと言ってもそれぞれが九州リーグに初昇格したのは1990年代半ばから2000年代初頭ですが)や学生チームも加わり、2019シーズンにあってはその数が「8」となっているわけですが、「J昇格志向」のある2つのチームがどこか悲壮感を以てリーグ戦に挑んでいるように見える一方で、そうではない「8」の側にいるチームについては、どの試合、どの対戦を見ても「このリーグで試合が出来ることが楽しくてしょうがない」といったムードを強く感じさせているのです。

確かにそんなムードを醸し出している要因に、英雄 高原直泰選手や天才 佐野裕哉選手に真剣勝負を挑めるリーグであるという要素もあるのかも知れませんが、実際に別府の実相寺サッカー場で感じたのは、そうした「マスメディア的切り取り方」に対する「8」の側にいる選手たちの意外なほどの冷静さと、「マスメディアが絶対に切り取らない」部分を心底楽しんでいる姿でした。

普遍的な光景

「マスメディアが絶対に切り取らない部分」

つまりこれは、川副クラブVS佐賀LIXIL FCでの打ち合いであり、熊本教員蹴友団のエース大塚翔太選手が九州三菱自動車戦で見せたスーパーボレーであり、海邦銀行SCのベンチ前から90分間ずっと聞こえてくる監督のポジティブな絶叫であって、これらの光景が「Jリーグ昇格」に繋がることも無ければ、それに破れ「チーム解散」に繋がることも無い、言ってみれば九州サッカーリーグに存在する普遍的な光景でもあるわけです。

最初の動機はJ.FC MIYAZAKIであり沖縄SVであって、そうではない「8」にはほとんど期待していませんでした。

しかしながら、地域リーグにあっては特殊な全チームが一堂に会する「週末集中開催」を通して九州サッカーリーグに触れたことで、全く想像もしていなかった、新たな地域リーグの魅力を発見出来たのは、本当に運が良かったと我ながら思います。

そしてこの九州サッカーリーグ「週末集中開催」は、今シーズン中にあと2回開催されます。

「8」の側にいる選手たちはきっと、今シーズン中に残された2度の祭りを楽しみにしているのでしょう。

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