Jリーグ放映権料 何故10年で2100億円も?DAZNが狙う本丸は何処?

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何故10年で2100億円も?

それにしても、何故DAZNは10年で2100億円もの放映権料を支払ってまでJリーグに参入してきたのだろうか。

私がこの疑問について真面目に考えられるようになったのは比較的最近のことです。

と言うのも、私がJリーグを再び熱心に見始めた時点で既にDAZNは参入していて、その以前に放映権を握っていたスカパー時代のJリーグにはほとんど触れた経験もなく、自然に「Jリーグ=DAZN」と認識出来てしまったことで、そもそもの「放映権」についてなど、それがどういう意味を持つものであるのか、考えようも無かったのです。

とは言え、DAZNが「黒船」と揶揄され、常に新しい情報を提供してくる中で「どうやらこのDAZNって言うのはJリーグにとって結構特殊な存在であるのかも知れない」と思えるようになり、それが「何故10年で2100億円も?」という疑問に繋がっていったわけです。

これ絶対何かあるでしょう?

「10年で2100億円」

この放映権料がスカパー時代の約4倍にも上ることは良く話題になりますし、だからこそ長くJリーグを放送してきたスカパーが撤退せざるを得なかった(いや?もしかしたら「渡りに船」であったのかも知れませんが。。)と、私もそれをさほど深く考えずに受け止めておりましたが、こうしてJリーグを熱心に見る生活を続けていく中で

「いや、これ絶対何かあるでしょう」

と思うに至ったのは、Jリーグの現状に「スポーツコンテンツ」としての明るい未来が待っているとは思えない、もっと言えば「スカパーの4倍もの放映権料を10年に渡って支払うほどの価値をDAZNはJリーグのどこに見出しているのか」という疑問に対する答えが、およそJリーグの実情からは想像することが出来ない、といった何とも悶々とした感情が私の中にあったからなのです。

確かにDAZNはそれまでのJリーグとは一味違うプロモーションを積極的にしていますし、中でも金曜日のナイターでJ1リーグを開催する「金J」などはJリーグの新たなマーケットを切り拓いた感もあります。また、J1優勝クラブや上位フィニッシュしたクラブに支払われる巨額な配分金などは、いかにもJリーグに好景気がやってきたかのような「錯覚」も与えている。

しかしながら、たかがそれだけの効果を求めて「10年2100億円」はあまりにコストパフォーマンスが悪いように思えたし、それこそ本当に当初の契約通りに10年を全うする気があるのか、それすらも分からなくなってしまう私もおりました。

そこでこのDAZNを運営する英国企業「パフォーム・グループ」がどんな企業なのか、それを本当にちょっとググってみた程度なのですが「いや、これ絶対何かあるでしょう」の正体を結構簡単に見つけることが出来てしまったのです。

DAZNの狙う本丸

恐らくここから私が書くことについては「そんなことを今さら知ったの?遅い遅い!」と言われてしまうような内容でもあると思いますので、その内容をご存知、ご認知されておられる方は、どうか「生暖かく」お見守り下さい。

DAZNに対して私が抱いた感情「いや、これ絶対何かあるでしょう」の正体。

それはズバリ「スポーツベッティング」なのであります。

つまり、この英国の国際スポーツメディア企業「パフォーム・グループ」は、スポーツベッティング(スポーツ賭博)の運営者に対する動画配信サービスで急成長を遂げた企業だったのです。

そしてここからいきなり国政の話を始めます。

2018年7月にIR実施法案が国会で可決されました。

このIR実施法とは、簡単に言えば「カジノ合法化に向けた下準備をしてもいいよ」という法律です。

つまり、DAZNを運営するパフォーム・グループは、数年以内に日本国内で堂々と行われることになるかも知れない「スポーツ賭博」の運営者から「Jリーグの放映権」を傘にガッポり稼いでやろうという、そういう算段で「10年2100億円」などという破格な放映権料を支払ってまでJリーグに参入してきたと見ることが出来ます。

だから現状としては「視聴契約者数を伸ばす」なんて言う目標しか叫べないわけですが、その先にある果実をしっかり手にしてやろうと、そう企んでいるわけです。

DAZNに頼り切りでいいのだろうか

カジノ合法化は頓挫する?

ただ、このIR実施法が可決されたからと言って、それが即「カジノ合法化」とは繋がらないわけで、実際に国政の現状を分析する人の中には「カジノ合法化は頓挫する」と見る専門家もいます。

すなわち、DAZNがそのタームとして想定した10年という契約年数の中で、必ずしもパフォーム・グループが見込んでいた成果は得られない可能性もあるわけです。

と、ここまで書いてきまして、私はなにもここで「カジノ合法化」の是非を問うつもりは全くございません。

政局的には与党が推し進める「カジノ合法化」に野党が抗う構図となっておりますが、そのどちらが自分の考えに近いかというお話をするつもりもございません。

ただひとつだけ言わせて頂きたいのは「JリーグはDAZNに頼り切りでいいのだろうか」ということ。

2018シーズンのJクラブ経営情報が開示されました。

トピックスとしては、これまでいつも断トツ1位の営業収益を上げていた浦和レッズを大きく超える数字で、ヴィッセル神戸が全Jクラブ中の第1位へと躍り出たこと、これが大きく取り扱われています。

しかしその一方で、J1の中にも赤字決算のクラブが複数存在し、J2になればその数は増え、J3に至っては黒字を出せているクラブの方が希少となっている実情が変わらず存在しています。

DAZNの功罪

DAZNが参入してきたことによる功罪もここに来て顕著になってきているように思います。

放映権の縛りによって、その露出機会の主導権を完全にDAZNに受け渡してしまっているJ3クラブなどは、スカパー時代よりもむしろ人の目に触れる機会が減少してしまったかも知れません。

つまり、一握りの「勝者」だけが脚光を浴びる傾向が、DAZN参入によってより明確になってしまったのではないか。

「10年2100億円」でその魂までも売り払ってしまったのではないか。

DAZNには絶対に表現できないような価値創造、またそこで戦うクラブや選手たちの存在意義、はたまたJリーグを核とした新たな社会コミュニティの構築。

こうしたJリーグの目指すべき場所、言ってみれば「100年構想」に掲げられているような大切な要素が2100億円ですっかり霞んでしまってはいないか。

私はDAZNを全否定は出来ません、何故ならその恩恵を授かっていると思うことも多いからです。

ただ、それによってこの先Jリーグがどんな世界になっていってしまうのか、その可能性も含め、冷静に注視する必要もあると思うのです。

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