天皇杯都道府県予選佳境!浦安と平塚で大学サッカーの強さを実感

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天皇杯への道トーナメント 佳境!

第99回天皇杯 47都道府県代表決定戦の日程一覧表を作ってみたものの

それにしても大学サッカーの力強さをこれでもかと言うくらいに感じさせられた週末となったわけでありまして。

寒かった12月から追い続けている「天皇杯への道トーナメント」が各都道府県でいよいよ佳境となり、4月20日・21日の週末に関してはその準決勝や決勝が数多く行われ、私もその流れに乗り遅れまいと、土曜日は千葉県浦安に、日曜日は神奈川県平塚へと行って参りました。

浦安では「千葉県サッカー選手権」の準決勝2試合、平塚では「神奈川県サッカー選手権」の準決勝2試合と、この2日で濃いヤツを4発もイッちゃっいまして、どちらかと言えば「頑張る社会人」「頑張るJリーガー」側に立った視点で4試合を眺めながらも、どうも大学チームの手ごわさ、力強さばかりが印象に残る、なかなか考えさせられる週末であったわけです。

「Jリーグを頂点としたピラミッド」は有名無実?

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天皇杯の都道府県代表を決定するトーナメント大会のレギュレーションは、その都道府県によってかなり異なってはいるものの、その参加チームについては「J1、J2クラブ以外の1種登録チームによって争われる」とJFAが決めております。

したがって、J3クラブがある都道府県は大抵の場合、そのJ3チームが都道府県代表となり、J3クラブがなくてもJFLクラブがある都道府県の場合は、そのJFLチームが都道府県代表となり、J3クラブもJFLクラブも存在しない都道府県の場合は、地域リーグのチームにも都道府県代表となるチャンスがやってくる。みたいな状況がザックリと言えてしまったりもするのですが、そこにグイグイ食い込んでくるのが大学チームなのであります。

中でも大学サッカー界における2大リーグ、「関西大学サッカーリーグ」「関東大学サッカーリーグ」に所属するチームが存在する都道府県については「J3がなければJFL、JFLがなければ地域リーグ」という勢力図を完全にぶっ壊すほどの大活躍を大学チームがしてしまうのが常で、もうこうなってくると「Jリーグを頂点としたピラミッド構造」なんて有名無実も甚だしいよなと、そんな風にすら思えてくるのです。

甘くはねえぞ

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で、土曜日に浦安で見た2試合、そのひとつ目は関東リーグ1部のブリオベッカ浦安が、千葉県大学リーグ1部の城西国際大学を相手に、何とか勝ちを拾ったものの、第二試合では、同じく関東リーグ1部のVONDS市原が、千葉県大学リーグ1部の明海大学に完全にゲームをコントロールされ、負けるべくして負けてしまいました。

私も「簡単な試合にはならないんだろうな」と試合前に思ってはおりましたが、それでもやっぱり最後に勝つのはVONDS市原だと、明海大学サッカー部が関東大学リーグ1部より2つカテゴリーが下の県大学リーグに所属しているという、この事実だけを根拠にそう信じてもおりましたが、いざ試合が始まってみると、ものの10分くらいで、その根拠があまりに脆弱であることを気づかされ、そのうち

「明海大のオーガナイズされた守備連動、美しい。美しいよ。。」

と感心し始め、彼らが奪った2つのゴールについても

「完璧じゃないか、完璧なショートカウンターだよ、素晴らしいよ。。」

と半ば感謝の心すら芽生えてくるほどにまで変調し、最後には

「残念だがVONDS市原。今日は勝ち目がなかったよ。。」

と潔く白旗を掲げる気分になっていたのです。

そして、翌日見ることになっている平塚での2つの試合。これに対する心構えが間違いなく変わりました。

「甘くはねえぞ」と。

勝つべくして勝ち、負けるべくして負ける

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実際平塚では、その第1試合でSC相模原桐蔭横浜大FC(関東リーグ1部所属。桐蔭横浜大のセカンドチーム)を相手にスコアレスドローからのPK合戦でぎりぎり決勝行きのチケットを獲得し、第2試合では関東大学リーグ1部所属の桐蔭横浜大が、J3クラブのYSCC横浜を打ち負かしましたわけですが、もう私は驚きません。

何しろ、前日にプロ選手も所属する地域リーグのチームにほとんど何もさせないまま勝利したのが千葉県大学リーグ1部所属の明海大学だったのですから、大学日本最高峰とも言える関東大学リーグ1部所属のチームが、サッカーだけで食えない選手も少なくないJ3のチームに勝ったってなんの不思議もないわけで、この日の試合についても「たまたま運よく勝てました!」なんて甘っちょろいものではなく、桐蔭横浜大の選手たちは「勝つべくして勝った」と思っているだろうし、YSCC横浜の選手たちは「負けるべくして負けた」と思っているはずです。

そのスコアこそ2-1と接戦に見えますし(これは前日のVONDS市原VS明海大と同じスコア)YSCC横浜がリーグの主力を温存しての「飛車角落ち」だったという見方も出来るのかも知れませんが、そんなエクスキューズが虚しく思えてくるほどのゲーム内容であったのも事実でしょう。

大学サッカー=人材の宝庫

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いや、それにしても本当に大学チームは強い。

個々のスキルもそうですが、何しろ「チーム」としての完成度がどこも軒並み高かった。

そして、そう思う一方で、4年経てば全選手が入れ替わるという大学サッカーの特性であり宿命、これによって日本サッカーの可能性がどれだけ削ぎ落されているのだろうと、少し残念な気持ちにもなりました。

つまり、明海大で素晴らしい守備の連動を見せた選手たちのほとんどは来年の同じ頃、チームにはもう残っていないわけで、それでもその先でJリーグやJFL、そして地域リーグなどでプレーを続けていれば良いですが、残念ながら必ずしもそうはなり難い実態がある。

これはYSCC横浜に完勝した桐蔭横浜大にしても同じです。何人かの選手はJリーガーになるでしょう。中には来年J1でやっている選手もいるかも知れない。でも、そうではない選手たち、彼らはサッカー選手でありながら、サッカー以外に生活の糧を求めるJ3やJFL、地域リーグを自らの次のステージとして選んでくれるのでしょうか。

日本サッカー界において、大学年代の選手たちは1種登録選手最大のボリュームゾーンであり、人材の宝庫でもある。

しかし、その人材の宝庫を必ずしも日本サッカー界は活かしきれていないように思います。

ただひとつだけ言えるのは、こうしてJ3のチームやJFL、地域リーグのチームが大学サッカー部に打ち負かされた時、それをピッチ上の出来事としてだけではなく、日本サッカー界が抱えている構造的な課題。そこにも目を向けていく必要があるように思うのです。

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