【2019シーズンJFL開幕】 確かにJFLは「しみったれたリーグ」と思われてしまいがちだけど

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2019シーズン JFL「いよいよ」開幕

いよいよこの週末から2019シーズンのJFL(日本フットボールリーグ)が始まります。

と書きはじめながらも、世間的にこのリーグはほとんど知られていませんし、JFLをご存知のサッカーファンの方々にとっても「J3昇格の最終関門」としてくらいしか、その存在価値を訴求出来ていない。

つまり、新しいシーズンが始まろうとしているこの時期にあっても

「全然いよいよ感のしないサッカーリーグ」

であると言い切ってしまっても差し支えないリーグにJFLは甘んじてしまっているわけですが、ではそこに敢えて見どころを見出すとすればどんなポイントがあるのか、それについて今回は独断と偏見をフル投下して書いてしまおうと思っております。

JFL開幕監督記者会見

先ず本題に入る前に、3月11日に文京区・本郷にございますJFAハウスで行われた「JFL開幕監督記者会見」を取材させて頂く機会を頂きましたので、そこで感じた率直な思いから述べて参ります。

この会見は、JFL全16チームの監督が集まり、全監督が開幕に向けたコメントをするのがメインで、その後は懇親会スタイルで各クラブスタッフの方々がチームをアピールすべく、パンフレットや地元の銘菓、スポンサー商品などを振舞ったりするのと同時に、自由に監督を含めたチーム関係者へのインタビューをさせて頂くことが出来る貴重な場でもあったわけですが、如何せん集まったメディアの絶対数が非常に少ない。

当日が「3.11」であったことで、取材者がそちらへ取られてしまった節はあったのかも知れませんが、それにしてもビックリするくらいに少ない。

私は今回、ネット配信サッカー情報番組蹴AKE11(シュウアケイレブン)取材陣の1人として会見に参加しましたが、我々シュウアケは3名体制、その他のメディアの方々は多く見積もってざっと15名程度。

恐らくこれがJリーグ開幕に合わせた監督記者会見の場であったのなら、この20倍くらいの取材者がいてもおかしくなかったはずですが、実情として「J3リーグと同格」という位置づけをされることもあるサッカーリーグへの注目度のあまりの低さ、それを改めて認識させられたのであります。

そしてさらに書き加えますと、会見後、監督へ自由にインタビューを取ることが許されたその時間帯に、多くの取材者が殺到したのは、鈴鹿アンリミテッドのミラ(ミラグロス・マルティネス)監督でした。

JFL初の女性監督、しかもスペイン人であるミラ監督は、就任当初からサッカー界を問わず話題に上りましたが、もはやこの会見場において、集まった取材者のほとんどは「ミラ監督にコメントしてもらう」のが目的であったとも言えます。

となると、仮に鈴鹿アンリミテッドがスペイン人の女性監督を就任させていなかったら、この日JFAハウスへ集まったメディアの数はもっと少なかった可能性もあるわけです。

とまあそんな「しみったれた話」をいたところで、全然楽しい気分になりませんので、「しみったれた話」は「しみったれた話」としてしかと心に刻みつつ、先へ進めようと思います。

2019シーズン JFL全16チーム紹介

では、気を取り直して、2019シーズンのJFL全16チームの顔触れと、その監督の名前から書き出していきましょう。

一覧の中で、チーム名がくなっているのが「Jリーグ100年構想認定」をされているところ、緑色が将来的にJリーグ昇格の意思を明らかにしているところ、が実業団です。(チーム名の前に☆がついているのは、2018シーズンにJ3クラブライセンスを交付されたところです)

こうして見ても、JFL所属16チームのそれぞれが、このリーグに参戦する上でのスタンスが異なっていることを見て取れます。

「J3への昇格機関」としての側面も持つJFLは、それが故に、こうした混沌たる状況が常態となっているわけですが、この混沌加減が「分かり難さ」に繋がってしまっているのも間違いのないことで、結果的に「分かり難い=伝えにくい」となってしまい、日本全国から16人の監督を集めてみても、せいぜい20人弱の取材者しか集めることが出来ていないと・・・・・・

ダメだなぁ・・

どうしても「しみったれた話」になってしまう。。

JFLは「しみったれた」リーグ?

いや、やっぱりどう考えてもJFLは「しみったれて」しまいがちなリーグなのですよ。

ならば、その「しみったれて」しまう根本的な理由、それをこの際思いっきり書いてしまった方がいいでしょう!

じゃあ行きます。

JFLが「しみったれた」リーグと思われてしまいがちなその原因。

それはズバリ。

「優勝チームよりJ3昇格を決めたチームの方がフューチャーされてしまうからである!」

昨シーズン、JFLで3位に入りJ3昇格を決めたヴァンラーレ八戸。

2016シーズンにJ3昇格を決めたアスルクラロ沼津以来、2年ぶりとなる新J3クラブの誕生は地元八戸のみならず、日本サッカー界におけるトピックスとして大きく話題になりました。

それと同時に、あと一歩のところでJ3昇格を逃してしまったFC今治についても、その無念の様子がそれなりにニュースとして扱われていました。

でも、圧倒的な強さでリーグ3連覇という偉業を成し遂げたのは「Jの門番」Honda FCであって、当然ながらこの2019シーズンについてもHonda FCは紛れもない優勝候補であるわけです。

なのに、どうしてもJFLの注目ポイントとして筆頭となってしまうのは、FC今治、奈良クラブといった「J3リーチ」なチーム、ミラ監督が就任した鈴鹿アンリミテッドとなってしまう。

言ってみれば「優勝争い」よりも「4位争い」の方が注目されてしまっている。これがJFLの現状であるのです。

こんなのどうしたって「しみったれて」しまうでしょう。

奈良クラブ 杉山弘一監督は語る

いやいやいや。

そんなことはない!

「優勝」にしても「4位以内」にしても、それはいずれもリーグ戦の最終結果。

リーグ戦と言うものは、その道中に様々なドラマがあるのであって、それこそ「Jの門番」Honda FCに「J3昇格を目指す」FC今治、奈良クラブが挑み、ヴィアティン三重と鈴鹿アンリミテッドが三重サッカーの覇権を争い、流経大ドラゴンスのような学生チームが将来お世話になるかも知れないゴリゴリの実業団と相対するから面白いのですよ。

実際、今シーズンから奈良クラブの指揮を執る杉山弘一監督はインタビューにこう答えて下さいました。

『奈良クラブの監督をやることになって、他のチームのことを調べたら「JFL絶対面白いでしょ」と思えるようなチームが沢山いて、ずっと連続して優勝しているチームもあれば、去年昇格出来ず今年こそは絶対上がるぞと思っているチームもあれば、山を挟んでライバルとなるチーム同士があったり、外国人監督で戦おうとしている新しいチームもいたり、本当にいろんな見どころがあると思うんです』

浦和レッズ創世期に紅いユニフォームを着て戦い、東南アジアやJ3での指導経験も豊富な杉山監督。

ご自身こそが間違いなくその「見どころ」の1つでありますよ!と思いながらインタビューさせて頂いておりましたが

「JFL絶対面白いでしょ」と話されたあと監督はこう続けて下さいました。

『私は大きなクラブでプレーしたこともありましたし、一方、東南アジアでは小さなクラブで指導者をした経験もあります。そして思うのがタイやシンガポールの小さな国にもサッカーがあって、サポーターの人々が熱狂をしていて、、カテゴリーを問わずに色々なところに色々な楽しみ方があるんだと感じています。そういう意味でこのJFLにも楽しみ方はあるし、それを創っていかなくてはと考えています』

奈良クラブは2018シーズンも「J3クラブライセンス」を交付され、今シーズンについてもその成績次第では「J3昇格」が現実のものとなる位置にいるチームです。

そのチームを指揮する監督が、しかも現役時代には長く浦和レッズで戦った経験を持つ人の口から「JFL絶対面白いでしょ」という言葉を聞けたことは、あの日会見場に行って私が得た最大の収穫でしたし、ならばリーグ戦の細部、1試合1試合をフューチャーするような取り上げ方をしなくてはいけないなと、そう気持ちを新たにするのに十分な言葉でもありました。

確かにJFLは「しみったれて」しまいがちなリーグであるのかも知れません。

でも、その中でしか味わうことの出来ない「面白さ」それをどれだけ沢山見つけることが出来るか、そこに楽しむコツが詰まっている。

そしてそれは、誰かが用意するものではなく、自らが発見するものであり、そうした作業こそがこのカテゴリーでしか得られないサッカー文化であるのかも知れません。

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