ACLでJリーグには絶対真似できないサッカーカルチャーを!

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昨今のACLで良く見られるJサポーターの光景

ACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)が始まると毎年のように論争のタネとなるのが「ターンオーバーの是非」について。

特にJリーグ序盤戦と並行して行われるそのグループステージについては、出場するJクラブがそこを突破出来るかどうかが、多くのサッカーファンにとって1つの注目ポイントにもなっていることもあって、リーグ戦メンバーから選手を総入れ替えして結果が出なかった時などは、そのチームのファン・サポーター以外からも批難の声が挙がっているのを見ることすらあります。

Jリーグと異なり、ACLにおける戦いは限られたものだけに許されるのであって、それだけに日本サッカー界を代表して出場しているチームに対しては、不甲斐ない戦いをしてくれるなという思いが湧いてくるのでしょうし、現実的にその戦績が、後のACL出場枠に影響してくることからも、最低限グループステージくらいは突破してくれよ、といった感情も生み出されやすいのかも知れません。

最近は特に、ACL出場の常連でありながら、なかなかグループステージを突破出来ないサンフレッチェ広島や、川崎フロンターレ、そして昨シーズンのACLグループステージで、あからさまなターンオーバーを遂行してあっけなく散ったセレッソ大阪などのチームが、その怒りの矛先になることも多く、そんな状況にあっても「ターンオーバー」という基本方針を変えることのないクラブに対しては「出場を辞退すべき」と言うような意見がサッカーファンの中から飛び出してくるまでになってしまっています。

JクラブがACL出場にメリットを感じる方が難しい

これは今年の元旦にも書いたことですが、今シーズンからは仮にACLで優勝したとしても、その先のCWC(クラブワールドカップ)への出場が叶わないことをサッカーファンの皆さまに限っては良くご存知なところ。

さらに言えば、CWCという大会自体が終了しましたので(今後さらに拡大された枠組みでクラブの世界選手権が作られる予定)例えACLに優勝したとしても、12月に欧州や南米の強豪クラブと戦うチャンスも当分の間ないわけです。

そして恐らくこの事実は、多くのファン・サポーターが思っている以上に、ACL出場クラブのモチベーションに影響を及ぼしているはずだと私は思っています。

はっきり言って、CWCという大会自体が華試合のようなもので、独占放送している日テレが大袈裟に騒げば騒ぐほど、興覚めされている方も多いはずですが、れでもFIFA主催の公式大会であるCWCは、その賞金額もACLとは比較にならないほど割高で、単月で得られる臨時収入としてはかなり魅力的な大会でもあったわけです。

クラブだけでなく、選手たちの間でも、数年前の柴崎岳選手がレアル・マドリーを相手に大活躍し、その知名度を移籍先のスペインで高めることに成功したように、欧州の強豪クラブというフィルター越しではあっても、自らの価値を欧州市場に向けてアピール出来るチャンスに直結する大会として、ACLで優勝することに意義が感じられていた向きもあったでしょう。

しかしながら、そうしたクラブ、そして選手も含めたチームの下心にも似た思惑(下心は決して悪いものじゃないと思ってます)が抱けなくなったACLに、それに代わる意義を持たせることが出来ているかと言えば、そこについては甚だ疑問が残ります。

ACLでグループステージの場合に支給されるボーナスは、1勝で約550万円、ドローで約110万円。

決勝トーナメントについては勝ち上がる度にそのボーナスも上がって行きますが、試合運営費などを考慮してやっと黒字が出せるのが準々決勝以降でしょう。(準々決勝のボーナスは約1650万円)

Jリーグのリーグ戦1試合の運営費に1,000万円以上かかっているクラブも珍しくないですから、言ってみればグループステージについては全勝したって赤字を垂れ流しているようなものでしす。(一応遠征費は補助金がAFCから出ます)

ACLでJリーグには絶対真似できないサッカーカルチャーを

ただ、今回私が言いたいのはこうしたJクラブのしみったれたフトコロ事情を憐れむ話などではなく、Jクラブが「やっぱりACLに出てよかったよ!」と心底思えるような、そんなサッカーカルチャーを作っていけないかと、そういうことなのです。

とは言え、突如としてACLのボーナス額が10倍になったりはしないわけで、クラブの赤字補填をJFAが出来るほどの余裕もないし、そんなことは公益財団法人の性格上100%賛同される種類の話でもない。

であれば、このACLという大会自体の価値、そこに出場することの意義、それを創出していく他ないわけです。

そこで例えばイニエスタやビジャのいるヴィッセル神戸がACLを盛り上げると言った方向のみで考えるのではなく、この大会の在り方、それを今一度立ち止まって考えてみるべきなのではないかと、私はそれを提言させて頂きたい!

このACLという大会は、普段なかなか接することのないアジア各国がサッカーを通して交流する場であって、それがクラブ同士の戦いの場であることから、W杯のアジア予選などであっても接点を持ちえない街の人々が交わるチャンスがある大会でもあるわけです。

グループステージで鹿島アントラーズと同組になっている韓国の慶南FCのホームタウン、慶州は「韓国の京都」とも呼ばれる、韓国における修学旅行先のメッカです。

またこれも同じく鹿島アントラーズと同組のジョホール・ダルル・タクジムが使っているホームスタジアムは、日本代表が初めてのW杯出場を決めたあの「タン・スリ・ハッサン・ユーヌススタジアム」です。

こうした街にサッカーを通じて旅行出来ることなど、そうそうある機会ではありませんし、これは対する慶州やジョホール・バルの人々にとってもそうなのです。

ACLは紛れもなくサッカーの大会なのですが、スタジアムをアジア各国、各都市との交流の場にすることが出来れば、Jリーグには絶対に真似のできないサッカーカルチャーを創出出来るのではないでしょうか。

「ACLでアジアの友だちを作ろう!」

平日のナイターであることから、ガラガラのスタンドがお決まりとなっているACLグループステージですが、それならば当該クラブのファン・サポーターではない人たちも、どんどん積極的にスタジアムへ、国際交流の場へ集まってしまえばいいわけで、その時だけは臨時でシドニーFCのサポーターになって、川崎フロンターレを相手に応援に加勢するのもいいですし、中国語や韓国語を学んでいる人であれば、遠方から来てくれた選手たちに対して、その日限定のメッセージボードやゲーフラを掲げてみてもいいでしょう。

そして、こうしたムーブメントをクラブ側だけに依存せずに、そこに参加する人たちがそれぞれで起こしていければ最高ですよね。

ここでもう一度ACLの意義を考えてみます。

よぉく考えて下さい。

日本国内で行われるスポーツイベントで、毎年同じようにアジア各都市からチームがやってきて熱い試合を見せてくれる大会って存在しますか?

プロ野球にだって、大相撲にだって、バスケットボールにだって、こんな大会をすぐに開催するのは不可能でしょう。

サッカーだからこそ、広州や全州やブリーラムからチームがやって来るのです。これは本当に凄いことです。

もう、ACLのグループステージでターンオーバーを敷いて負けたクラブを叩いている場合じゃありませんよ。

むしろ、ACLに出場するJクラブの外的要因だけを考えれば、ACLなんて出来れば戦いたくないと思っても不思議じゃないところを、それでも毎シーズン2つ3つのクラブがグループステージを突破しているのですから、それだけで十分立派でしょう。

ただ、そんな「瞬間的快感」だけで、ACLをJリーグと同じようなスタンスのまま消費してしまうのは実に勿体ないことだと言う私の思い、少しだけでもご理解頂けましたでしょうか??

『ACLでアジアの友だちを作ろう!』

少なくとも私は、今シーズン中に何とかこのスローガンを実現させたいと思っています。

柏レイソルはACLに出場しませんけど。

そんなことは関係ありません!だって楽しいでしょ間違いなく。

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