神奈川県の社会人サッカーがなかなか活況にあるように感じられるのはどうしてか

アンダーカテゴリー

関連リンク

 

Pocket
このエントリーをはてなブックマークに追加

神奈川社会人の「天皇杯への道」を取材して

今シーズン初めて「神奈川県社会人サッカー選手権」を取材してみて、神奈川県の社会人サッカーがなかなかの活況にあるのを実感することが出来ました。

この「神奈川県社会人サッカー選手権」とは、神奈川県における「社会人チーム」にとっての「天皇杯への道トーナメント」で、昨年暮れ12月の初頭から県リーグ3部上位チーム(12ブロック各1位、2位の計24チームが参加)が4つの決勝トーナメント進出枠を巡った1次トーナメントを行い、年が明けてから行われていた決勝トーナメントからはそこに県1~2部チームが加わり、3月中頃から行われる天皇杯神奈川県代表決定大会「神奈川県サッカー選手権」に出場出来るただ1つのチームを決める大会であるのですが、私のように神奈川の社会人サッカー事情にそれほど詳しくない者にとっては、その仕組みが非常にスッキリしていて分かり易いのが印象的でした。

故に「天皇杯への道トーナメント」の最中にある社会人チームの戦いぶりを見ていても、彼らがどういったモチベーションでそこに挑んでいるのか、それが比較的掴みやすく、取材で選手や監督に質問する時も「何を聞きたいか、何を聞くべきか」それらが、そのチームの背景や情報がほとんど分からなくても意外にスッと頭の中に湧いてくるとでも言うのでしょうか。

とにかく「知らないなりに興味が湧きやすい」そんな独特のムードを持っているのです。

「天皇杯への道」の背後にあるもの

神奈川県社会人にとっての「天皇杯への道」

例えば神奈川県社会人サッカー選手権1次トーナメントは、その決勝トーナメントに進出する4チームを決定する大会である他に、参加する県3部上位チームにとっては、2部リーグ昇格プレーオフ大会でもある。

つまり、決勝トーナメント進出を決めた4つのチームが、そのまま今シーズンの県2部リーグ昇格チームになるわけですが、それだけに、このトーナメントが「天皇杯まで遥かな道のりがある」段階にあるにもかかわらず、参加チームは相当高いモチベーションをそこに持っているだろうことは容易に予想がつきます。

その上、1次トーナメントを勝ち抜いて決勝トーナメントへ進出すれば、2部昇格を決めることが出来、その後すぐに決勝トーナメントで県1~2部チームを相手にした真剣勝負で腕試しも出来る。

そしてこれは、決勝トーナメントから参戦する県1~2部チームにとっても、新たなライバルとなる2部昇格チームと、リーグ戦開幕前に「天皇杯への道トーナメント」で対戦出来るメリットがあると考えることも出来ます。

言ってみれば、この「神奈川県社会人サッカー選手権」が、天皇杯神奈川県代表チームを決定する大会へ続く道、つまり「天皇杯への道トーナメント」でありながら、いずれのチームもが最重要としている、来るべき県リーグに向けた前哨戦であり、自分たちの立ち位置を再確認する場でもあるわけです。

と書いてきながらも、私自身この大会の1次トーナメントは全く取材出来ておらず、決勝トーナメント以降で限られたチームを中心にその道中を追ったに過ぎないのですが、その中でも例えば、昨年の県1部王者である品川CC横浜や、県1部2位から関東リーグ2部に復帰した東邦チタニウムに関しても、前述した「来るべき県リーグ(関東リーグ)に向けた前哨戦であり、自分たちの立ち位置を再確認する場」という側面は随所に感じられるわけで、これを単に「天皇杯に向けたノックアウトトーナメント」としてだけ注目するのは、非常に勿体ないことであるなとも痛感させられたわけです。

「分かり易さ」は人の関心を惹く

これらを踏まえた上で、今回私が何を思ったかと言えば、こと地域リーグ、都道府県リーグといったアンダーカテゴリーのサッカーに関しては、その情報が圧倒的に少ない分だけ、そこで行われている大会、リーグ戦然り、「天皇杯への道トーナメント」然り、各カテゴリーの昇格システム然り、それらを出来るだけ分かり易くしていく努力が必要なんじゃないかと、そういうことなのです。

どうしてそう思うのか、それは単純な話です。

人は「分かり易くない」とそこへ近づこうと思いませんし、それに対して興味を持とうにも、あまりに「属人的」な慣例などが存在していれば、すぐにそっぽを向いてしまいがちだからです。

これは私自身がまさにそうでして、他の関東地方都県を見渡した時に、結構真面目に情報を取ったつもりであっても、かなり重要な要素が抜け落ちてしまっていたり、そもそもその情報自体を見つけることが出来なかったり、そういう局面に遭遇することも少なくないわけで、その「情報を取るのが困難な世界」に対して相当高い関心を持っていない限りは、大抵の場合それ以上追っかけるのを止めてしまうのを自覚しているわけです。

もちろん、私自身のバイタリティとか時間的制約とか、そういう事情が多分に影響しているのは間違いのないことではありますが、それでも、関心を持ちかけていたのに情報を取るのが疎かになってしまったリーグや大会は結構あるのです。

ただそうは言っても、例えば山梨県サッカー協会が自分のところの「県リーグ」を広く知ってもらおうと思っていないのであれば、そう簡単に「分かり易く」と言ってもそれを変えていくのも難しいでしょう。

Jクラブであるヴァンフォーレ甲府ですら、決してその世間的露出が多いとは言えないのに、カネにもならない社会人サッカーの世界に日を当てる労力も残っていないはずです。

そしてこれは栃木SCのある栃木県も、鹿島アントラーズと水戸ホーリーホックのある茨城県も、ジェフやレイソルのある我が千葉県も、その実情についてはそれほど大差がない。

だからこそ、今回「神奈川県社会人サッカー選手権」を通して、神奈川県の社会人サッカーの世界がそれらと比較した時にかなり「分かり易く」私には感じられたのかも知れませんが、であれば次に私が取り組むべきこと、それはその「比較的分かり易く」なっている神奈川県の社会人サッカーをフューチャーして「分かり易くすること」のメリットを微力ながら伝えていくことでもあるのかな、と思ったりもしています。

今シーズンの神奈川県社会人リーグ

実際今シーズンの神奈川県1部リーグはまさに群雄割拠という表現がしっくりくる激しい戦いの場になるはずで、十分に追いかけるだけの価値があると感じています。

これは例えば、昨年の王者品川CC横浜にしても、さらにパワーアップしなければ関東リーグ昇格はおろか、県リーグすら勝ち抜くことは難しいと、彼らが危機感を強く持って新しいシーズンに対して取り組んでいることなどからも実感させられます。

品川CC横浜だけではありません、元浦和レッズのレジェンド達(山田暢久、永井雄一郎)を監督や選手として迎え入れているチームもありますし、件の「天皇杯への道トーナメント」で見た中でも、十分に優勝を狙えそうなだけの迫力を持ったチームも1つや2つではありませんでした。

そして何よりも、そんな力のあるチーム、活気に満ち溢れたチームが戦う舞台であるからこそ、そのリーグ戦も全体として勢いを持つことが出来ている。

とは言え、私自身今シーズンについては地域リーグに注力することを決めてもおりますし、どの程度神奈川県の社会人サッカーを追うことが出来るのか、「フューチャーする」なんてことが出来るのか、それについては不安もありますが、少なくともこの「比較的分かり易い」神奈川県社会人サッカーシーンについて、昨シーズンより間違いなく比重を置くことになるだろうと、現時点では感じてもいるのです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で