54,194人!!!

54,194人だそうですよ。
高校サッカー人気の凄さたるや、改めてそのパワーを感じざるを得ませんねぇ。
2018シーズンの浦和レッズを振り返ってみても、この動員数を超えた試合は、あのイニエスタが水族館に行った時の「浦和VS神戸」戦のみですから、日本サッカー界においては依然として高校サッカー選手権大会が大人気コンテンツとしての地位を維持している。
ユース年代の試合であれほど大きな箱が満員になっちゃうなんて、世界的に見れば考えられない話でしょうし、いい意味で日本サッカーにしか存在しない「フットボールカルチャー」でもありますから、私もそれなりに楽しませてもらっております。
ただ今大会については、実はそれほど試合会場で観戦出来ておりませんで、年が明けてから等々力で3回戦「青森山田VS大津」を、あとは準決勝2試合と決勝戦と、合計で4試合のみの現地観戦ではあったものの、前回大会から得た高校選手権に対する印象が、今年この4試合を見たことでまた少し変わってきた部分もありました。
今回はそんな「改めて感じたこと」について、いくつかまとめて書いていこうと思います。
尚志高校が素晴らしかった

まずはじめに、これについて触れないわけにはまいりません。
尚志高校、実に美しく素晴らしいサッカーを見せてくれました。
ある意味で今大会におけるベストチームであったのではないでしょうか。
大会が進んでいく中「見に行かなきゃ見に行かなきゃ」と思いながらも、なかなか都合をつけることが出来ず、彼らの試合を見ることが出来たのは青森山田との準決勝になってしまいましたが、少なくとも今大会でベスト4に勝ち上がったチームの中で、尚志高校だけは「別次元」なサッカーを目指しているように見えましたし、実際にそれを青森山田に対して十分に見せてもくれた。
Twitterのタイムラインに日テレが放送した「最後のロッカールーム」の動画も上がっていますけど、その中で準決勝でPK合戦の末に敗れた選手たちを前に、尚志高校の仲村浩二監督がこんな風に声を掛けていました。

「俺たちはやりたいサッカーやったぞ」
「これからの人生、もっといろいろなことがあると思うから、自分らしい何かをもってやりましょう」
私、日テレのこの手の演出が好きな方じゃないんですが、この仲村監督の言葉は素晴らしい言葉だなと感じてしまいました。
尚志イレブンには「やりたいサッカー」があって、それが彼らにとっての「自分らしさ」でもあったのかな、と。
仲村監督がどんな指導をされているのか、それは全然分かりませんけど、最後にこんな言葉で教え子たちを励ますのですから、きっとその指導の中では常に「自分らしさ」を選手たちに発見させる作業があったんじゃないかと。
今大会で尚志高校という素晴らしいチームを見て「高校サッカーってここまでのチームを作れちゃうんだ」と、ちょっと衝撃を受けました。
青森山田のスペシャルな選手

優勝した青森山田にはスペシャルな選手が2人いました。
1人はCBの三國ケネディエブス選手。
身長192㎝。もともと背の高いCBですが、あのジャンプ力はJリーグでもなかなか見ることの出来ない迫力です。
競り合う相手より「頭二つ分」くらい高く飛べてしまうので、彼は結構なハイボールを頭ではじき返す時も、ちゃんとコースを狙って返すことが出来てしまう。
極端な話、三國選手はヘディングによってビルドアップのはじめの一歩を取ることが出来ちゃうのです。
そしてもう1人のスペシャルは、サイドアタッカーのバイロン・バスケス選手。

彼の主戦場は右サイドでしたが、ちょっとでもスペースを与えたら最後、ゴールラインの際からグイグイえぐってきますし、カットインしてからの左足シュートも持っている。
で何と言っても彼の素晴らしいところは、いい意味で「エゴイスト」なところ。
彼が2019シーズンは東北リーグで見られるのですから、いわきの皆さん!良かったですね!!羨ましいぞ!!!
で、このスペシャルな2人、三國選手とバイロン選手が主にポジションを取っているエリア。
決勝戦の対戦相手、流経大柏からしたら「アタッキングサード」と「自陣左サイド」ですね、この2つのエリアにおいては主導権「争い」すら青森山田は許さなかった。
もう90分間に渡って独壇場になっちゃったわけです。
「高校サッカーなのに、個のプレーで客呼べちゃいそうな選手が2人もいるチームって・・・・Jリーグにだってなかなかいないのに・・・」と思わせられました。
満員の埼スタでも動じている様子が感じられない選手たち

今回ベスト4に勝ち残ったチームの中で、初出場だった広島の瀬戸内からだけは「堅くなってんなぁ」ってムードを感じはしましたが、他の3つのチームは堅くなるどころか
「普段からこんな舞台でやってますけど」
みたいな堂々たる姿勢が見てとれました。
もちろん、彼らにとってこんな大きなスタジアムで、しかも満員のお客さんが入った状態で試合をするのなんて、慣れているわけはないんですが、恐らくこれはユース年代育成の為に取り入れられて久しいリーグ戦、プレミアリーグとかプリンスリーグとか、そういう舞台で厳しい戦いをシーズン通して繰り返してきている、その経験値がそうさせているんじゃないかと、私はそう思っています。
青森山田の檀崎選手なんて、ゴールを決めた後のポーズにしても実に堂に入っている。
流経大柏の関川選手の試合中の表情も、憎たらしくなってくるほどオラオラ状態です。

そしてもう1つの要因として私が感じるのは、彼らは高体連管轄の高校サッカー部員でありながら、日々の練習をJクラブのユースチームはおろか、J2クラブでも負けてしまうところがあるくらいに恵まれた環境でやることが出来ているであろうこと。
言ってみれば、彼らは高校生でありながら、ことサッカーについてはプロ選手となんら変わらない環境でトレーニングすることが出来ている。
高校サッカーのイメージとして、練習が終わったらみんなで自転車を漕いでラーメン屋へ行って、みたいなのってあるじゃないですか。
でも、少なくともそのトップレベルにおいては、もうそういう世界では無くなっているのかもなぁと、ちゃんと栄養士の指導の下で寮の晩飯も出てくるんだろうなぁと。
青森山田と流経大柏という、その象徴のような2チームが決勝戦に勝ち残ったことで、そんな思いを改めて強くしましたね。
以上、今年の高校サッカー選手権を4試合だけ現地観戦した私が、この大会に対して「改めて感じたこと」を3つ挙げてみました。
そう言えば来年の元旦には新国立競技場で天皇杯決勝が開催されることが決まっています。
となると、もともとは国立競技場で行われていた高校サッカーの準決勝、決勝も新国立競技場が会場となるのでしょうかね。
なんだかそれはそれで楽しみになってきたぞ。
5万人じゃ足りない!6万8千人必要だ!!!!!