可哀そうなレイソルファンの子

『うちの子はクラスで唯一のレイソルファン。降格が決まったことで友だちにそれを揶揄されて辛い思いをしている。そういうこともクラブのフロントには分かっておいて欲しい』
これ、コピペじゃないので多少の表現の違いはありますが、こういう主旨のツイートをタイムライン上で目にしました。
いや、ホント可哀そうですわ、この子。
不憫ですわ、あまりに不憫ですわ。
もうね、マジで瀧川社長を筆頭に、柏レイソルのクラブ首脳陣は、この子のところまで行って謝って欲しいですわ。
選手全員のサインが入ったレプリカユニを持参してさ
「ごめんなさい。友だちにからかわれるような目に合わせてしまって、本当にごめんなさい。レイソルが弱くて本当にごめんなさい。」
って、玄関先で膝ついて土下座ですよ。その子が顔を上げていいって言うまで床におでこ擦りつけてね、許してくれなければちゃんと「誠意」見せてさ、最低でも年チケ代くらいの「誠意」見せてさ…
・・・・・・って違ぁぁあーう!!全然違ぁーうぅ!!!!!
この子が可哀そうなのは、レイソルファンの我が子が学校でからかわれたことをクラブのせいにしちゃう親に育てられているからじゃぁ~い!!!!
レイソルファンでいることを、一瞬でも恥ずかしいと思ってしまうような感性しか持っていない親に育てられているからじゃぁ~い!!!!
自分が好きになったチームに対して、その責任を取れ的な思考回路をもってしまうような親に育てられているからじゃぁ~い!!!!!
強いレイソルじゃなきゃ納得出来ん

柏レイソルのJ2降格が決まって以来、もうこういった「強いレイソルじゃなくちゃ納得出来ん」みたいな主張が一気に湧き出してますね。
いや、分かりますよ、9年ぶりの降格ですからね、しかも今シーズンのレイソルって開幕前は「もしかしたら優勝しちゃうかも」くらいに思う人も少なくなかったし、言っても春先はACLにすら出場してたわけで、そっからのJ2降格って、そのギャップたるや「青海かと思ったら青梅かよ!」以上の破壊力ありましたよ、実際。
でね、まだ降格が決まったばかりですから、レイソルファンの1人1人がそれをどうやって消化し受け入れられるのか悶々とする中で、当然ながら感情が昂って思ってもないようなことを叫んでしまいたくなる気持ちにもなるんでしょう。
その辺は、降格が決まった直後、まだ選手たちが柏にすら戻ってこれていないくらいのタイミングから
「来シーズンはJ2で勝点100積み上げて優勝しよう。そして天皇杯もルヴァンも獲ろう!」
などの、明らかに威勢の良さだけが先行逃げ切りしちゃってる、実体の全く伴っていない主張にも非常に良く表われているんすけど、まあ冒頭に挙げた「学校でからかわれちゃったレイソルサポの子の親」にしても「勝点100で優勝、天皇杯もルヴァンも」にしてもそうなんですけど、その根本には
「自分が好きなチームだからこそ強くあって欲しい。というかそうであってくれないと、応援している自分が恥ずかしい目に合いそうだし、実際にちょっと恥ずかしいんだよ!!!」
というような心理が見え隠れするんですよ。
急に「私が妻を愛する理由」

はい、ここで急に私の妻の話をしまーす。
私の妻は美人でお洒落で、どこへ連れて行っても評判のいい、ホントに出来た人なんですけどね、そうだから彼女と夫婦やらせてもらっているのかって言えば、全然違うわけ。
と言うのもですね、「美人ねぇ」「お洒落ねぇ」なんて言われている私の妻にはですよ、多分私しか気がついていないような魅力、人間として愛でたくなる部分が沢山あるわけです。
で、そういう部分にこそ私が彼女と夫婦をやらせてもらっている理由が多く存在していたりする。
そして、そんな数々の魅力はですよ、他人に説明したところで絶対に伝わらないだろうなという確信もある。
そりゃそうですよ、彼女の〇歳~〇歳までのこの17年をですね、この世で夫婦としてともに過ごしたのは、唯一この私だけしかいないのだから当たり前です。
で、この「多分私しか気がついていないような妻の魅力、人間として愛でたくなる部分」はですね、妻が齢を取っていって、おばあちゃんになって、今みたいに「美人ねぇ」とか周りの人からあんまり言われなくなっていったとしてもですね、私の中では決して揺らぐことはないと思っています。
「は?書くだけタダだな、あんたのカミサンが美人だなんて証拠はどこにあるんだよ」
って思っちゃった皆さん!
ここで重要なのはそこじゃないですよ!私だけが持ちえている妻を愛する理由があるというとこ、そこが重要なんですからね!(とうとう「愛する」というワードまで使うあたり、何か後ろめたいことでもあるのか?!)
レイソルのJ2降格は「好き力」と向き合う絶好のチャンス

はい、レイソルの話に戻しまーす。
まあ今回は、私自身が柏レイソルのサポーターなのでレイソルのことを例に挙げましたが、結局のところチームがJ2に降格しようが、それによって主力選手がどんどん引き抜かれようが、場合によってはJ2沼にはまり今度はJ3降格の可能性なんかが浮上してこようがですよ、そのクラブを好きな理由をどれだけ自分で思いつくことが出来るか、そしてその思いついた好きな理由にどれだけこだわることが出来るか、そうしたサポーターとしての「好き力」みたいなのがあんまり強くないと
「学校でからかわれちゃったレイソルサポの子の親」がクラブを責めるような考えになっていったり
「勝点100で優勝、天皇杯もルヴァンも」なんて威勢の良さが先行逃げ切りしちゃったりするんじゃないかと、そんな風に感じるわけです。
でですね、このサポーターの「好き力」なんですけど、総じて強いチームを応援しているファンやサポーターは脆弱なんじゃないかと、そうも思ってしまう。
そういう意味で、柏レイソルのファン・サポーターにとって、このJ2降格という結果はですね、「好き力」と向き合う絶好のチャンスなんじゃないかと
「レイソル弱いね!」なんて言ってくる周りの人をあざ笑うかのようにですよ、自分自身がレイソルの魅力、愛でたくなる部分をどれだけ沢山発見することが出来るか。
そういう作業をするのには、ここ数年の中で最高に素晴らしい状況にあるんだと。
少なくとも私は、そう考えるシーズンにしたい!

で、折角J2リーグに行くのですから「1年でココを抜け出してやる感」をプンプン臭わせることはしないで、J2リーグの魅力や愛でたくなる部分も出来るだけ沢山見つけていきたい。
多分、そうやってファン・サポーターがチームやリーグに対する「好き力」を高めていこと、別に競争する必要はありませんけど、そこに集まっている人たちの「好き力」が全体で上がって行けば、Jリーグって更に面白くなっていくんだと私はそう思います。
「やーい!レイソルJ2降格じゃーん!」
なんてからかわれても
「は?J2に降格したってレイソルは私の大好きな日立台で試合をしますけど、なにか?」
って言える子は
「わぁ~!レイソルすげえなJ2優勝じゃーん!」
に対しても
「は?頑張ったのは選手たちですよ、私の手柄ではない。どうか選手たちを褒めてあげてください。私はただ日立台に通ったに過ぎない」
とクールに返せる子になっちゃうかも。