地域CL決勝ラウンドの話と言いながらも・・
今回も地域CL決勝ラウンドのことについて書きたいのだが、もうこれは覚悟しているのだけど、多分7割くらいはそれと関係のないことを私は書くと思う。
というのも、今回はFC刈谷サポーターの応援が、ちょっと「大人じゃぁん・・・」と思ったことについて書くつもりで、それを伝えるためにはその対極にある「大人じゃないじゃぁん・・・」がどういうものであるのか、それについての私の考えを示しておく必要があると思うからだ。
だから、どうか辛抱強く、どうか、生暖かい目で、何卒よろしくお願い申し上げます。
俺たちがチームを勝たせる
サッカーを応援する人たちが、結構進んで行ってしまいがちな道の表面に、道路標識のように書かれている哲学が
「俺たちがチームを勝たせる」だ。
どんな人も、最初のうちは単にサッカー場へ行って試合を見るのが楽しくて、あるいは一緒に試合を見に行く仲間との時間がかけがえのないものとなって、それでスタジアムに通うようになるんだと思うんだけど、段々と選手の名前と顔を覚え、段々とチームの戦い方を知り、段々と対戦相手の情報にも詳しくなり、段々と戦っているリーグ全体の構造が見えてくるににつれて、スタジアムにおける自分自身の役割が欲しくなっていくのか
「俺(たち)は何をするためにスタジアムにいるんだ?」
っていう自問をするようになっていくように思う。
まあ、この問いに対する答えはひとつではないし、そもそも「何をするため」なんて使命感に駆られる必要がないとも言えるんだけど、人ってどうしても「自分(たち)の存在意義」を確認したくなっちゃうイキモノだから「俺(たち)は何をするために~」と真面目に考えてしまうのは無理もないのかも知れない。
ただ、そうやって「俺たちは何をするために~」がはじまっちゃうと、大抵は比較的ストイックな方向に進んで行ってしまうことも多く、これは何もサッカー場だけに限った話ではなく、家庭でも会社でも学校でも本当に良くある話(良く巻き込まれる話)だということも、理解していただけるだろうと思う。
本末転倒野郎列伝
私が会社員だった時代の話を例にしてみよう。
宿泊出張で他の事業所に行った時などに、マスト要件は早々に完了してしまって、それでもまだ「じゃあ、私はコレで」なんてそこを立ち去るのには早すぎる時間帯だったりすると、急に自分の存在意義を見いだそうとしはじめて、今そのタイミングでやる必要性の低い仕事に取り掛かってPCにベッタリ張りつきだしたり、大した興味も無いのにその事業所の営業数値を分析し出しちゃったり、それでも全然時間が費やせないといきなり掃除しはじめちゃったりすることがあった。
で、そういう状況におけるポイントとしては「何となく時間を費やしている」風情を出さない為に、いかにも「真面目にやってますよ!」感をプンプン放つことこそが重要で、PCに張りついている時も、営業数値を分析している時も、掃除をしている時も、もの凄く真面目でストイックな雰囲気を醸し出していたはずだ。
で、ここからがちょっとだけ重要なので、耳の穴かっぽじって、ご清聴願いたいのだが、この「単に時間稼ぎでどうでもいい仕事を大真面目なフリしてはじめてみた」という心境は、結構な確率で「本当にストイックにやり出してしまう」という現象に変質していってしまう。
だから、宿泊出張先の事業所で、はじめは「じゃあ、私はコレで」が出来なかったばかりに取り掛かってしまった、言ってみれば「無理矢理作った自分の存在意義」に乗っかったはずの仕事だったのに、それがいつしか「今この時にこそやるべき仕事だったはずだ!」と妙にストイックな自分自身が出現してきて、気がついたら周りの人たちが「お先に失礼しま~す」なんて言っていなくなっちゃうくらいの時間までやり込んで、下手すると
「どうせ取っているのも安ホテルだし、ココからは歩いていける場所にあるし、もうちょい頑張っちゃいますか!」
なんて、いつの間にか、どんどんおかしな状態になっていくのである。
で、こうなると本当にタチが悪くて
「なんだよ、ココの事業所のヤツらは、お先!とか言っちゃってさ、どうなってるんだよ全く(不敵な笑い)」
みたいに、もの凄~くいや~な感じしかしない「本末転倒野郎」に成り下がって行ってしまうのだ。
だってあんた、つい数時間前までは自分が「じゃあ、私はコレで」って言いたかった人だろ?!おかしいやろ!死ね!説明しろ!謝れ!
と、こうなりますわな。
と、書いているうちに会社員時代の想い出がグイグイ沸き上がってしまって、ちょっと例を出そうと思っただけなのに、サッカーの「サ」の字も出てこない文章をまあ長々と。
ここからちゃんとサッカーに繋げていきますので、この先の是非とも「耳の穴かっぽじって」おいて欲しいのだが。
この会社員時代の私の「本末転倒野郎列伝」からの、サッカー応援における「俺たちがチームを勝たせる」なんでございますですよ。
本末転倒サポーター野郎一丁あがり!
Jリーグのゴール裏とかにいると、そのチームがあるからこそ、そこにいることが出来、集まることが出来ていること、熱心なサポーターともなれば毎週のように「サッカースタジアム」という非日常性に溢れる空間に通い、それを生活の一部にすることが出来ていること。この動かしようのない事実をついつい忘れがちになっちゃって、声の大きな人たちの哲学「俺たちがチームを勝たせる」にすがっちゃう傾向があるように思うんすよ。
まあはじめはね、ちょっとした違和感を覚えながらもデカい声出して、跳ねて、手拍子して、みたいな「妙に頑張っている自分自身」が微笑ましく感じられていたとしても、それがいつしか、そうすることが目的化していって(私が営業数値を分析しはじめて誰よりも終業が遅くなったように)、それを今度は周りの人に対しても求めはじめてしまう(私が「ココの事業所のヤツらは、どうなってるんだよ全く」なんて思っていたように)
でいつしか「俺たちがチームを勝たせる」のに必死になってんのに、何でこう負けてばかりいるんだよ!社長出て来いよ!説明しろ!!謝れ!!!
となっていって、そもそもの「チームがあるからこそ」みたいな大事な部分のごっそり抜け落ちた「本末転倒サポーター野郎」一丁あがり!となるわけです。
FC刈谷サポーターの「もの凄くキモチえぇ応援」
で、冒頭に書いたFC刈谷サポーターの「大人じゃぁん・・・」の対極にある「大人じゃないじゃぁん・・・」こそが、この「本末転倒サポーター野郎」であると私は思うのであります。
では、FC刈谷サポーターの応援が、「俺たちがチームを勝たせる」で有名な「大人じゃないじゃぁん・・・」の本末転倒サポーター野郎とどう違うのか、それを表す端的な言葉を見いだすとすれば、それは「もの凄くキモチえぇ応援」ということになろうかと私は思う。
ただし、私はFC刈谷サポーターに個人的な繋がりのある人もいないし、実際にその応援姿を目撃したのも、10月の全社の時と、今まさに行わている地域CL決勝ラウンドだけなので、彼らを良く知る方々からすれば、異論反論があるかも知れぬ。とは思ってもいるのだが、少なくとも私がFC刈谷の試合を見る時に、そのサポーターが「もの凄くキモチえぇ応援」をしてくれることを期待しはじめちゃっているし、多分そこについては賛同して下さる方も多いのではないかと思ってもいる。
では、何故、FC刈谷サポーターの応援が「もの凄くキモチえぇ」と感じるのかと言えば、それはひとえに「ゲームの流れを壊してない」からである。
この「ゲームの流れを壊していない」という部分があるからこそ「大人じゃぁん・・・」にも繋がっていくのだが、とにかく彼らの応援は試合のBGMとしては最高に質が高い。
キックオフ直後にテンションのあがっていく様、チャンスに使われる「ランサムチャント(西武ライオンズ コーディ・ランサム選手の応援歌)」こうしたチャントはどこのサポーターもやっていることだが、何しろFC刈谷サポーターによるそれは、タイミングも長さも「もの凄くキモチえぇ」のだ。
そして何よりも彼らを「気持ちえぇ」と感じるのは、要所で放たれるブーイングやヤジ、声援、掛け声といった「声」の内容がもう絶妙であるところ。
まあね、ブーイングとかヤジとかって書くと「ダメ!絶対!」ってアレルギー症状が出てしまう方もいると思いますが、何ていうかですね、そう!愛があるんすわ、愛が。デッカイ愛がそこにあるんですわ!
で、この「大人じゃぁん・・・」な応援、「もの凄くキモチえぇ」応援が、どうしてFC刈谷サポーターに出来るのか、それは私にも分かりません。ただ、ひとつだけ言えるのは、彼らは相当にサッカーを良く知っているし、応援をするということが何たるかも分かっている。
そして、この「大人じゃぁん・・・」な感じを少なくとも私はJリーグのスタジアムでこれまでに感じたことはありませんです。
人数なんて多分30人もいないんですよ。(地元であれば当然もっと多いのでしょうが)でも、あのデッカイ市原のゼットエーオリプリスタジアムであっても、その人数で十分、というかもう完成されていると言ってもいい。
そして彼らが「応援することが何たるかを分かっている」と書きましたが、多分彼らは「俺たちがチームを勝たせる」なんて思っていない。だって、FC刈谷は10年くらい前まではJFLに長く所属していて、そこから地域リーグに降格して、後からやってきたヴィアティン三重とか鈴鹿アンリミテッドFCにJFL昇格を長い間阻まれてきたわけで、そんなチームのサポーターが「俺たちがチームを勝たせる」なんて考えていたらモタないでしょう。
で、彼らはきっとこう思っているはずだし、実際にそうなっていると思うんだけど、FC刈谷サポーターが考える「応援とは何たるか」これはズバリ、選手たちに「もの凄くキモチえぇ」と感じてもらいながらプレーさせること。そこに尽きるんじゃないかと、私思っちゃったんです。
でもって、この「もの凄くキモチえぇ」は、Jリーグのゴール裏であっても、簡単には真似のできない芳醇なフットボールの香りをプンプンと匂わせてもいるのです。
ふぅ~。
一時はどうなるものかと思いましたが、何とか地域CL決勝ラウンドのことに繋げることが出来ました!
はい!みなさん 拍手!!
お!?
ランサムチャントが聴こえてくるぞ!
お~もの凄くキモチえぇ~
やる気スイッチがまた入ってしまったぞぉ!!!
Let’s Go! Let’s Go! Let’s Go! 俺!!