チームがこんな状況なのに、仮装大会している場合か!

チームに贈呈するメッセージフラッグ
『サッカー選手に女装をさせてステージに上げるなんてどうかしてるぜ』
どこのJクラブとは言わないが、こんな議論がファン・サポーターの間でも交わされているのが、Jリーグはおろか最近では地域リーグのクラブですら実施するようになってきた「ファン感謝デー」。いわゆる「ファン感」である。
日頃ピッチ上でその雄姿を見せてくれている選手たちが、その戦いの場から一旦降り、いつもとは違った表情を見せてくれる貴重な機会ともなっているファン感が、一体どんな意義と狙いをもって行われてきているのか、おそらくそのひな形となっているプロ野球のファン感が、大抵はシーズン終了後に行われているのに対して、Jクラブのファン感はシーズン中の僅かな「隙間」を使って行われることもあって、「チームがこんな状況なのに、仮装大会している場合か!」といった批判が飛ぶことも珍しくないが、まさにチームがJ1に残留出来るのか、J2に降格してしまうのか、そんな瀬戸際の状態にある柏レイソルのファン感に私は今年も参加してきた。(レイソルの選手は女装も仮装もしていない。念のため)
レイソルのファン感参加「2年連続2回目」
「今年も参加してきた」とあたかも10年くらいは連続してファン感に参加してきたかのような口ぶりで書いてしまったが、私がレイソルのファンクラブ(アソシエイツ)に入会したのは昨シーズンの序盤の頃なので、実際はまだ「2年連続2回目」という限りなく初出場に近い状態ではあるのだが、それでもレイソルサポーターになりたての昨年と、あれから1年以上が経過した今年とでは、ファン感に対する心構えがまるで違っているのに気がついた。

端的に言えば、昨シーズンが「前のめり」でファン感に参加していたのに対して、今シーズンはまるでそういった気持ちが沸き上がってこなかったのだ。
それを自分なりに分析すると、昨シーズンのファン感は6月に開催で、当時の私はスポンジのようにレイソル成分を吸収したいというモチベーションと、その気力があったのに対し、今回のファン感が開催された10月据えまでの1年4カ月の間に私のスポンジはもうかなり黄色くなっていて(スポンジは大体黄色い?)そこから滴り落ちるレイソル成分をちびちびと味わうことをオツと思うようになってしまっていて、そこに敢えて果汁100%のレイソル成分を吸収しようとも思わないし、そもそもそれを吸収出来るほどスポンジは乾いていなかったのだと思う。
とは言え、昨シーズンの終わりから一緒にレイソルの試合を応援しに行くようになった仲間や、私の知らない所でどんどん持ち物が黄色くなっていっている我が妻などは、このファン感に対する大きな期待と少しのドキドキを持っているのは明らかで「では今年もお供するか」とばかりに、私にとって「2年連続2回目」の柏レイソルファン感参加は決まったのである。
2018柏レイソルファン感謝デー タイムスケジュール
ではここで今シーズンの柏レイソルファン感謝デーについてのざっくりとした概要に触れていこう。
11:00~ |
「北門」開門予定、フェイスペイントブース開始 |
12:30~ |
KASHIWA CIVIC PRIDE GATE開場、各種整理券配布開始 |
13:00~ |
スタジアムDJ体験オーディション@記者会見場 |
14:00~ |
「選手登場、開会あいさつ」@ピッチメインスタンド側 【終了次第ピッチオープン】 |
14:20~15:00 |
ふれあいタイム第1部イベントスタート |
15:00~15:20 |
休憩 |
15:20~16:00 |
ふれあいタイム第2部イベントスタート |
15:45頃 |
コカ・コーラ千葉ボトル、メッセージフラッグ贈呈者当選者発表@ビジョン |
16:00~16:10 |
ピッチへ移動 |
16:10~16:30 |
閉会挨拶、メッセージフラッグ贈呈、全員で記念撮影、フィナーレ@ピッチ |
柏レイソル公式サイトより引用
心ときめくイベントの数々
柏レイソルのファン感は、クラブのファンクラブ「アソシエイツ」会員に向けたもので、会員証を持っていけば非会員を1名までは連れてくることが出来る。
今回一緒に参加した4名のうち、私たち夫婦は年間パスのついた会員で、1名はチケット購入が優先・割引される会員、残りの1名が非会員だったので、ここで既にクラブが狙っている「新規ファン獲得」が達成されている。

選手食堂「ピアノ」のカレーも販売された
ちなみに私以外は全員女性で、上のタイムスケジュールの中で赤字になっている部分が、彼女たち(伊東純也ファン、中山雄太ファン)の心をときめかせたイベント、青字になっているフリーマーケットが私の唯一ときめいたイベントである。
結局、伊東純也選手との「チェキ撮影会」も、中山雄太選手の「サイン会」も、先着〇〇名という限定イベントで、特に伊東純也選手との「チェキ撮影会」については、前日の夜中から待機列に並ぶツワモノまで出るくらいの大人気で、同行した彼女たちの夢は儚くも散ってしまうのだが、それでも試合の日では考えられない選手との距離の近さを他のイベントでも感じることが出来たことで、それなりの満足感は得られたようだ。(私自身はフリーマーケットで目をつけていた山崎亮平選手が出品していたカッコいいナイキのスニーカーをあと10㎝の差でライバルにかすめ取られしまい非常に悔いの残る戦いとなった)
ファン感は女性と子どもたちに向けたもの
でである。
ファン感はやっぱり女性や子どもたちに向けたマーケティングなのだと、今回の参加でつくづく感じた。
これは昨シーズンのファン感の際は自身が「前のめり」だったこともあって、ほとんど気がつかなかったことだ。

宮本駿晃(19歳)が出品した漫画の単行本をわずか100円で子どもたちに売ってしまう鎌田次郎(33歳)
この日行われた数々のイベントを見てみても、オッサンに向けられたものはせいぜいスタグルで酒が売られていることくらいで、選手との「チェキ」にしても、もう伊東純也や江坂任がお洒落な私服に着替えちゃったりしていて、もの凄くアレなんである。
オッサンは選手たちが恥ずかしそうに笑顔を浮かべているのも見ていられないし、キッズ相手であってもついつい中村航輔の好セーブに本気(マジ)な視線を向けてしまう。
女性や子どもたちのように、素直に心の底から選手との触れ合いを楽しむ能力がないというか、んんん、これはもしかして若くカッコいい選手たちへの嫉妬心がそうさせているのか・・?

レイソルの選手たちがいつも食べているという「ピアノ」のカレー。全く辛くない、優しい味だ。
とにかく、クラブはファン感を通じて、主に女性や子どものファンと何とか接点を作ろうとしているのは間違いないことだろうし、実際に一定の効果を生んでいるのは、私の同行者に「非会員」が1名いたことからも明らか。
だからこそ、シーズンの途中であっても、今にもJ2に降格しそうであっても、選手・スタッフ総動員でファン感を作り上げる。
選手に女装させたり、歌を歌わせたり、一発芸をさせたりするのも、出来るだけ沢山の「フック」を仕掛けることで、ファンとの絆を確かなものにしようという動機がそこにあるのであって、決して選手たちが自発的に悪ふざけしているわけでもないだろう。(繰り返すが、柏レイソルの選手は女装もしないし、歌も歌わないし、一発芸も、少なくともこの2年はしていない)
ファン感の在り方にオッサンがどうこう言ってはならぬ
今回、結局何が言いたいか、それは「ファン感の在り方にオッサンがどうこう言ってはならぬ」ということ。
勿論これは自戒の意味も込めての思いである。

子ども相手にビッグセーブを連発した中村航輔。すぐにでも戦線復帰出来そうだ。
そもそもファン感はオッサンに向けられたものではないし、大勢の女性や子どもたちが喜んでいるのにケチをつけるんじゃ、男の沽券(こけん)にかかわる。
そして、自分が応援するサッカーチームのファン感で、家族や子どもたちが心から楽しそうにしている様子を見ることが出来れば、それはそれで幸せなことじゃないかとも思う。
SNS上では多くのレイソルサポーターの怒りの矛先が向いている、瀧川社長や加藤望監督がマイクの前に立って挨拶しても、変わらず穏やかなムードがあるファン感の空気感。
「意外とクラブを支えているのは、ここに集まっている人たちなんじゃないか」
そんな風にも感じたりする「2年連続2回目」の柏レイソルファン感謝デーだった。