「11人の群れ 2018関東サッカーリーグ1部 この選手が凄かった!」後編

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「11人の群れ 2018関東サッカーリーグ1部 この選手が凄かった!」後編

9月23日に最終節が行われ、2018シーズンの関東サッカーリーグが全日程を終了した。

開幕前から「地獄の関東リーグ」と称されたこの過酷なリーグにおいて、その覇権を握ったのはJFLからの降格チームだった栃木ウーヴァFC。

オフシーズンに元Jリーガー選手を次々と獲得し、JFLで下位に沈んでいた昨シーズンとは大幅に選手を入れ替え、開幕時にはチームとしてなかなか機能していないかのようにも見えていたが、リーグも中盤を過ぎる頃になると、常に盤石な戦いぶりを見せるようになり、2位以下を大きく引き離し、圧倒的な強さを見せつけながら見事に優勝を果たした。

しかしながら、初めてシーズンを通して現場観戦してきた今季の関東リーグにおいて、優勝した栃木ウーヴァだけをフューチャーするような気にはなれないのは、そこで戦ってきたそれぞれのチームから、あるいは観戦した試合から、私は本当に多くの驚きと衝撃、そして気づきを与えてもらってきたからだ。

 

プロフェッショナルとアマチュアが混在するリーグならではの、ドラマティックなサイドストーリーにも数多く遭遇してきた。

そんな私にとっては宝物になるような体験を与えてくれた今季の関東サッカーリーグの終焉を節目として、「11人の群れ 2018関東サッカーリーグ1部 この選手が凄かった!」という企画をしてみようと思いつた。

前回はリーグ最終順位に沿って、栃木ウーヴァ、VONDS市原、TOKYO UNITED、東京23FCからそれぞれ1人ずつ「凄かった!」選手を紹介したが、今回は最終順位5位以降のチームの「凄かった!」選手を紹介していこうと思う。

それでは「11人の群れ 2018関東サッカーリーグ1部 この選手が凄かった!」後編 是非ともご覧いただきたい。

流通経済大学FC 背番号1 薄井覇斗選手(GK)

実のところ、私は彼らのリーグ戦での戦いを第2節 対TOKYO UNITED FC戦でしか現地観戦していない。

その為、こういう企画で誰か1人の選手を挙げることに幾ばくかの抵抗はあるのだが、それでも敢えて1試合を見た印象だけで選出するとなると、GKの薄井覇斗選手ということになる。

と言うのも、私は彼のプレーを流経大柏高時代に何度か見ている。その中でも特に印象に残っているのは、昨年の高校選手権千葉県予選準決勝 対日体大柏高戦。

この試合は両者譲らずPK合戦にもつれ、当時3年生だった薄井選手は、そこで高校生離れした存在感と威圧感で駆け引きを繰り返し、そのPK合戦に「圧勝」した。

チームはその後、決勝で市立船橋を破って千葉県代表となり、正月の選手権決勝で前橋育英高校に惜しくも敗れ日本一にはなれなかったものの、この決勝戦も稀に見る名勝負で、そこでも薄井選手の存在感は際立っていた。

こんな風に、つい最近まで高校サッカー界のスターであった選手がプレーしているのもまた、関東サッカーリーグの面白いところで、恐らくは来年の流経大FCでも次の高校選手権で活躍した選手たちがプレーするはずで、他の社会人チームとは違った視点で彼らの戦いを見てみるのも、それはそれでオツであるなと思ったりもする。

ブリオベッカ浦安 背番号8 富塚 隼選手(MF)

羽中田昌監督率いるブリオベッカ浦安は、今季の関東リーグにおいて異質な存在として私の眼には映っていた。

DFラインから丁寧に、そして根気強くボールを保持するスタイルが結果を出すことは叶わなかったが、それでも彼らがこの過酷な関東サッカーリーグという舞台で、敢えて「魅せる」ことを意識したサッカーに挑戦したことは、十分に評価に値することだと私は思っている。

理想を高く持ちながら、厳しい戦いの連続を強いられたチームにあって、ブリオベッカ浦安の主将、富塚隼選手を表現する言葉があるとすれば、それはまさに「闘将」。

高い技術をもった選手がゲームを作っていくその後方には、身体を相手にぶつけ、ボールを奪い、そして90分間檄を飛ばし続けるこの闘将の存在があった。

ジョイフル本田つくばFC 背番号9 齊藤拓哉選手(DF)

今シーズンの関東リーグで戦ったチームの中で、私が最も「巧い」と思っていたチームがジョイフル本田つくばFCだった。

選手個々の技術はもちろん、その技術の高さがチーム戦術にしっかり落とし込まれているつくばFCの戦い方は、優勝した栃木ウーヴァ、リーグ2位のVONDS市原のような迫力についてはやや劣る部分があったにせよ、派手な経歴を持つ選手も在籍していない中で、本当に良く戦っていると常に感心させられていた。

そんなつくばFCの中で、小柄なDF齊藤拓哉選手の躍動感には驚嘆させられっぱなしであった。大抵の場合CFがつけることの多い9番を背負ったこのディフェンダーは、チャンスと見るやサイドをドリブルで切り裂き、決定的なクロスボールをあげることも、カットインしてフィニッシュまで持っていく推進力も持った、攻撃センスの塊のような選手だった。

全社でもその活躍を大いに期待したい。

横浜猛蹴 背番号15 平間 駿選手(MF)

関東サッカーリーグ1部において、横浜猛蹴のような「自主自営」のクラブチームが堂々たる闘いを見せてくれるのは、それだけで社会人サッカーの素晴らしさを感じることが出来る。

膝や太ももをテーピングでぐるぐる巻きにしていても、その激痛に耐えながら90分間を走り抜き、チームが上手く戦えていない時は、ピッチの真ん中で「緊急ミーティング」をして戦い方の修正しようとし、難敵相手に挙げた僅かな成果を雄叫びをあげ喜び合う。

言わば、そこにあるのはサッカーへの情熱以外の何ものでもなく、それだけに彼らに対する時は、自然と尊敬の念を抱いてしまう。

横浜猛蹴のMF平間駿選手は、そんなチームの中にあって飄々(ひょうひょう)と彼だけが持つリズム感にのってプレーしている印象だ。身長も高くなく、スピードがあるわけでもない。それでも平間選手がボールを持つ時だけは、チームのリズムが明らかに変調する。

そのチーム自体の存在感が注目されがちな横浜猛蹴の中にあって、数少ない魅せるプレーヤーであると思う。

さいたまSC 背番号35 瓜谷 紫選手(MF)

流経大FCとともに、シーズンを通して1試合しか観戦することが出来なかったチームがさいたまSCだ。

それも、彼らにとっては関東1部残留への希望の灯がほとんど消えかかっていた頃に行われた試合で、大方の予想通り、その試合においてもジョイフル本田つくばFCを相手に、さいたまSCはいいところを見せられず完敗してしまった。

本来であれば、少しでも彼らの良さが感じることが出来た試合の印象で「凄かった!」選手を決めたいところだったが、今さらそう思っても仕方のないことなので、撮影した写真を眺めながら、どの選手が印象的であったか、それを思い出そうとしてみた。

すると、私の撮った写真の中では、瓜谷紫選手がボールを捌いているシーンが非常に多くあることに気づく。

開幕時のリーグ公式プログラムにも載っていない、この35番の選手がどういう選手であるのか、それをクラブ公式サイトで確認してみると、1998年生まれで20歳になったばかりであることが分かり、自身のアピールポイントとして『ボールタッチやパス、視野の広さ。』と答えていることを知った。

確かに瓜谷選手は、視野の広い選手に共通する特徴、背筋がピンと伸びた姿勢でドリブルしパスを捌く。

こんな安易な理由づけで選出されてしまうことは、当の瓜谷選手自身も不本意であるかも知れないが、これをきっかけに私は彼を覚えたし、来季の瓜谷紫選手の活躍する場面も是非この眼で見てみたいと思っている。

2018シーズン関東サッカーリーグの振り返り企画 第一弾はひとまず終了

以上、9チームの「凄かった!」選手を完全に私の独断で選出してみた。

残念ながら、冒頭でも触れたようにヴェルフェたかはら那須の試合は1試合も観戦することが出来なかったので、「凄かった!」選手を選ぶことは出来なかったが、観戦した試合も特定チームに偏ることなく、初めてのシーズンであった割には、我ながらバランス良く観戦カードを選べたのではないかと思っている。

前回の前編に続いて、2回に渡り紹介させていただいた「11人の群れ 2018関東サッカーリーグ1部 この選手が凄かった!」。

今度はまた違った切り口で、2018シーズンの関東リーグを振り返ることがあるかも知れないが、ひとまずその第一弾はこれで終わりにしようと思う。

 

「11人の群れ 2018関東サッカーリーグ1部 この選手が凄かった!」前編

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