ついにレイソルが残留PO圏に転落「ゾクゾクする残留争いがハジマル」

Jリーグ

関連リンク

 

Pocket
このエントリーをはてなブックマークに追加

柏レイソル ついに残留PO圏に転落

今週の試合に負けたことで、とうとう柏レイソルは残留プレーオフ圏の16位へと転落した。

開幕前にはACL出場を見据えた選手補強も敢行し、多くのファン・サポーターの期待も大きかった今季のレイソル。

少なくとも昨シーズンの成績以上の成果をもたらせてくれるはず。サポ歴僅か2年目の私もすっかりそう信じこんでいた。

しかしながらリーグ開幕前からスタートしたACLではレイソルとしては初めてのグループリーグ敗退を喫し、リーグ戦でもなかなか波に乗ることが出来ないまま、気がつけばもう今シーズンも終盤戦となってしまっている。

その間に、柏レイソル育成の金の卵たちを昨シーズン次々と躍動させていった下平監督はW杯中断前に退任し、代わって今シーズン柏に戻ってきた加藤望ヘッドコーチが監督に昇格。

この頃から柏レイソルがここ数年で積み上げてきたものが、少しずつ崩れ始めていたように思う。

  • 育成の象徴的存在でもあった中谷進之介の名古屋グランパスへの完全移籍
  • スーパーGK中村航輔の2度に渡る脳しんとう
  • 東京五輪日本代表のリーダー中山雄太の長期負傷リタイア

いつの間にか、昨シーズンレイソルのゴール前を守ってきた3人の「中〇」は、日立台のピッチに1人も立っていない状態になってしまった。

ジェフ千葉から高木利弥が加入し、ローン移籍でナタン・ヒペイロ、オルンガといった外国人選手が新たに加入したものの、チームは依然として状態を上向きにするには至らず、ゴール裏サポーターからは加藤監督への不満、批判の声が止まない状況になっている。

と、こう書いてしまうと、今シーズンの柏レイソルには夢も希望も感じられないように思われてしまうだろうが、「J1残留」という目標を唯一のものとするのであれば、確かにそうだろう。

加藤望監督は「天才」か「無能」

まず今季のレイソルはこれまでに1度も連勝をしていない。

だから、ファンやサポーターは1度勝ったとしてもそれをきっかけにチームが上昇気流に乗っていくイメージを出来ないままここまで来ている。

そして何よりも非常に勝負弱い。

開始早々に先制されたゲームも多く、結果的にそのまま負けてしまったり、1点リード、あるいはドローの状況から終了間際に失点し勝点を失うパターンも多い。

もともと昨年も得点数の多いチームでは無かったが、開幕前に当時の下平監督がシーズン60得点を目標としていたのは幻のよう。今のままではその3分の2の40得点に届くかどうかといった所だろう。

こんな風では確かに残留するのには厳しい戦いが続くのは自明の理。中には日立台に向かう道を苦行のように感じてしまわれているファンやサポーターもいるのかも知れない。

そしてここからは完全に私見だが、きっと加藤望監督は、天才か無能かそのどちらかだろう。

今のレイソルの試合を見ていると、まるでチームの体(てい)を成していない。

日本サッカー界の頂点を担う、選ばれしプレイヤーだけがそこにいるはずなのに、その能力をまるで発揮しないままに90分間を終えてしまう選手の姿を見ると、彼が何らかの迷いや混乱を抱いてプレーしているように見える。

こうなってしまう理由は、加藤監督の描くイメージがあまりに「高尚」過ぎて、レイソルの選手たちの戦術理解度の範疇をはるかに超えてしまっているか、あるいは加藤監督が描くイメージがJ1を勝ち抜くのにはあまりに稚拙で、選手たちがこれではいかんと自分たちの判断に頼って戦ってしまっているか、そのいずれかであろう。

実際に、9月15日に日立台で行われた清水エスパルス戦についても、スコアこそクリスティアーノのアディショナルタイム弾で2-3と何となく格好はついているものの、清水の選手たちが非常にはっきりとした狙いをもってぶつかってきているのに対して、レイソルの選手たちは最後の最後まで迷い、戸惑い、ひとつのプレーに対する参加人数が非常に少ない「個」の力に大きく依存したサッカーをしていたように見えた。

もちろん、この日のCBがしばらく実戦から離れていた出戻りの鈴木大輔と新人の中川創という未知数なコンビで、前の試合で負傷した右サイドの小池龍太に代わって亀川諒史が入るという慣れない布陣であったことは確かだが、それでもパスの出し手と受け手という1対1の関係性ですら意思疎通が図れていない場面のオンパレードで、それだけに単純なミスも多い試合だった。

あ、いけない。書けば書くほど夢も希望も感じられない方向へ進んで行ってしまう。どうしたことか。

そろそろ、この辺で切り返していこう。

つまりここまで書いてきたように、柏レイソルのJ1残留がかかった戦いは、この先になんら希望をもてない状況が現在も継続していることだけは理解して頂けたと思うが、そんな状況にあるレイソルのドロドロの戦いを、実のところ私はゾクゾクする気持ちで見つめ、これまで以上に応援に気持ちを入れられるチャンスがやってきたと思っているのだ。

ゾクゾクする残留争いがハジマル

対清水戦でレイソルが決めた2つのゴールは、いずれもなかなか熱いゴールだった。

ここ最近の活躍をサポーターに認められ、この日に初めてゴール裏から個人チャントを歌ってもらった瀬川祐輔は、小さな身体で相手DFとの競り合いに挑み、そのまま左足で地を這うような素晴らしいシュートを決めた。

加入以来、すっかり左サイドでレギュラーポジションを獲得した高木利弥があげた高めのアーリークロスは、狙い通り194㎝のオルンガの頭に合い、折り返されたボールにクリスティアーノが足先で合わせ、終了間際に1点差へと迫るシュートが決まった。

この2つのゴールだけではなく、終盤に投入された山崎亮平はキレキレで、かつて中山雅史をして「山崎君ギュンギュン行ってますねぇ~」と言わしめた、相手DFを切り裂くようなドリブルで、あわやPKかというシーンを創出した。

先に書いたように、加藤望監督就任以降のレイソルに「チームとしての連動性」を感じられるシーンは非常に少ない。良く使われる「3人目の動き」すら怪しいところだ。

しかしならが、この清水戦がそうであったように、選手たちはそんな状況を何とか打開しようと、例え連動性はなかったとしても「個」の力で勝負しようとしてくれてもいる。

こう書くと「チームプレーこそ大切なのに、そんなのはサッカーとは言えない」

と怒られてしまうだろうが、それは私も十分分かっている。

ただ、ここまで来てチームを劇的に変える方法があるとすれば、それは指揮官を変えるか、選手を総入れ替えするしかないし、現実的にそこへのジャッジ権を持っていない一介のサポーターである私に出来ることと言えば、そんな困難なチーム状況であっても、トライしファイトする選手たちを励まし鼓舞する以外にないと思っているのだ。

そしてきっとこの先、日立台ゴール裏でもファン・サポーターの感情の揺れや、鬱積したムードや、場合によっては歓喜の光景が毎試合イヤと言うほど見られることになるだろう。(もちろん自分自身も含めて)確かにそれは優勝争いやACL出場権を掛けた戦いではないが、中位を彷徨いながら感情の起伏もほとんどないままにシーズンを終えてしまうのに比べれば、何とも刺激的だし、ある意味で得難い経験となるかも知れないのだ。

昨シーズンのレイソルは上位争いをする中で、優勝の可能性が徐々に薄くなっていくのに連れて、私自身の気持ちも少しずつ落ち着いていってしまったように思う。

しかし今シーズンは違う。

もしかしたら、最後の最後にもの凄いものを見せてもらえるかも知れない。そんな風に考えるだけでゾクゾクしてきてしまう。

これを「負け惜しみ」と言うのならいくらでも言ってもらって構わない。

でも勝敗のあるスポーツで「負け惜しみ」を言わなくて済むのは唯一「王者」だけであることも事実であろう。という「負け惜しみ」で締めてみる。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で