【京都・岡山サッカー紀行④】京都と岡山でJ2観戦 「陸スタ」の魅力を発見!

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どうしても行っておきたかった岡山・シティライトスタジアム

週末を使って京都、岡山を巡るサッカー紀行しようと思ったのは、その両日にそれぞれの街でJリーグが開催されていたことがきっかけになっていたのは間違いない。

さらに言えば、J2リーグでも屈指の観客動員数を誇るファジアーノ岡山のホームゲームが、どんなムードの中行われているのかについては、今シーズン中に必ず観ておきたいものの1つでもあった。

京都でも岡山でも雨に祟られ、しかも岡山に至ってはかなりまとまった雨が1日中降り続いてしまった為、ファジアーノの本拠地シティライトスタジアムに集まった観客も5000人台と、平均観客動員数を大きく下回る結果に終わり、日頃からファジアーノを応援されているファン・サポーターの方々にしてみれば「あの試合だけで何かを判断しないで欲しい」と言ったところではあろうが、前日の西京極も含めJリーグスタジアムの新しい価値の在り方について、思いを改たにすることがあった。

陸スタの魅力を見つけた!

西京極スタジアム

Jリーグスタジアムについて、そこが「サッカー専スタ」なのか「陸スタ」なのかについて、より臨場感のある「サッカー専スタ」に軍配を挙げるサッカーファンも多いし、その魅力についての様々な意見を見聞きすることも多い。しかしながら一方で「陸スタ」に対しての魅力が明確な意見として主張されているのを見る機会はほとんどない。

もともとJリーグ開催を想定して建設されていないスタジアムを使用している時点で、そこからはなかなかポジティブな意見が出てきにくいのは仕方のないことであるし、実際に私自身も「サッカー専スタ」で観るサッカーには、有無を言わせぬ魅力があると思っている。

しかしながら、たった25年の歴史しか持っていない日本のプロサッカーリーグを行う為に、日本のあちこちに魅力的な「サッカー専スタ」が突然現れるわけもない。

そう考えると、実情としてJリーグ54クラブの半数以上がホームスタジアムとしている「陸スタ」の魅力を見出していかなくてはならないと思ったし、それを自身の考えとして整理しておく必要もあると感じていた。

そんな私にとって「宿題」でもあった「陸スタの魅力を見つける」という課題が、西京極とシティライトスタジアムで1つ見つけられたのは大収穫でもあった。

まずは国体ありがとう!

この日、西京極に出店していた金沢の人気スタグル「能登豚串」に並ぶ京都サポーター

私が今回の京都・岡山サッカー紀行で見つけた「陸スタの魅力」とは、端的に言えば「国体ありがとう」と言ったところだろうか。

国民体育大会(国体)については、その世間的関心の低さに反して大会規模が肥大傾向にもあり、何かと批判の矛先とされることも多い。

しかしながら、日本のあらゆる都市に存在する大型陸上競技場や大型体育館、またそれらを一か所にまとめたような総合運動公園のほとんどが、国体開催によって建設・改修・再整備された施設であるのも事実。

今回私が訪れた京都の西京極スタジアムも、岡山のシティライトスタジアムも、典型的な「国体スタジアム」であり、それぞれが補助グラウンド・野球スタジアム・体育館・プールなどを併設した総合運動公園内に建てられている。

京都と岡山だけではなく、Jクラブが現在使用している「陸スタ」もそのほとんどが、国体開催のタイミングで建設・改修された「国体スタジアム」である場合は多く、もちろん例外はあるものの、その多くはその自治体で最も大きな総合運動公園の中に建っている。

ここで私が強調したいのは、この「総合運動公園の中に建っている」という部分だ。

陸スタの魅力は「総合運動公園の中に建っている」から

スジこん焼きそば(西京極スタジアム)牛スジもしっかり入っていて、本当に美味しい

そもそも総合運動公園と言えば、あらゆるスポーツに打ち込む人たちが集まり、あるいは応援にきた人たちを迎え入れる場所として、最高のロケーションであると言っていいだろう。

それが岡山のシティライトスタジアムのように、新幹線の停車駅でもある岡山駅から徒歩圏内にあるともなれば、そこは岡山市内でも最も大勢の人を収容する能力のある場所だとも言える。

そんなロケーションにある総合運動公園に、沢山の飲食店ブースや物販ブースが軒を連ねて出店し、ちょっとしたステージショーでも行われている時点で、そこは既に「〇〇グルメフェス」のようなイベントと比べてもほとんど遜色のない空間を作り出しているとも言える。

実際に、西京極でもシティライトスタジアムでも、スタジアムの周辺には私が思っていた以上にスタグルの店が並び、クラブグッズやサプライヤー商品を販売するブースも非常に充実しており、それに対して飲食スペースや休憩スペースも十分に取られていた。

西京極に現れたヤサガラス一座のみなさん

総合運動公園という非常に贅沢なロケーションは、つまり広大な空間もそこにあることを意味し、人の流動も非常にスムーズで(ビジターサポーターを隔離するようなこともない。と言うか物理的に難しい)極端に言えば、必ずしもサッカー観戦が目的でない人やJリーグ自体がそこで開催されることを知らない人であっても、そこで美味しいご飯を食べ、ちょっとしたお土産を買い、ヤサガラスが出てくるショーイベントを見ることが出来れば、十分満足のいく休日が過ごせるのではないかとさえ思えた。

どんなに素晴らしいサッカー専用スタジアムであったとしても、これと同じ空間を吹田スタジアムでは作れないし、埼玉スタジアムでも作ることは出来ない。何せ「国体スタジアム」が建っているのは、人々の憩いの場である公園なのだ。

残念ながら岡山のシティライトスタジアムでは、かなり激しい雨が降り続いていた為に、有名な「ファジフーズ」を心置きなく堪能することは出来ず、堪能出来ている人も多く見ることは出来なかった。それでも、前日に曇天ながら西京極の「フェスタ」を体感することが出来ていたので、「もし今ここが晴天であれば」という想像を膨らますことは出来た。街の中心から続く目抜き通り沿いにある総合運動公園なのだから、間違いなく西京極を超える「フェスタ」が、ここシティライトスタジアムでは見られるのだろう。

時代は「コト」消費から「トキ」消費へ

並んで仲良く観戦するファジアーノサポーターとジェフサポーター

最近ビジネスニーズのキーワードが「コト」消費から「トキ」消費へと移行してきているらしい。

モノを手に入れれば満足出来ていた時代はとっくに終わり、次にやってきた「コト」消費(体験や経験を買うという考え方)も時代遅れになりつつあるそうだ。

そこに新しく生まれたのが「トキ」消費という考え方。

「非再現性・限定性」「参加性」「貢献性」という3つの特徴を持っているとされる「トキ」消費。

それぞれを何となく当てはめてみても、まさにJリーグスタジアムで、さらに言えば総合運動公園で過ごす週末が、ぴったりと嵌るように感じられてならない。

対戦相手チームにちなんだスタグルを食べることは「非再現性・限定性」であるし、サッカースタジアムという空間にいること自体が「参加性」が刺激される行動でもある。シティライトスタジアムのメインスタンドコンコースでは「被災地支援」や「強化費」を目的とした「たる募金」が行われていたが、これなどまさに「貢献性」そのものであると言っていいだろう。

ビジネスニーズの新しいキーワード「トキ」消費が「サッカー専スタ」で味わえないわけではないが、「陸スタ」「国体スタジアム」だから、そこが「総合運動公園」だからこそ、余計に「トキ」消費につながる糸口は見つかりやすいのかも知れないし、それを見つけ出す努力をしていれば、必ずしも「サッカー専スタ」で開催されているJリーグが最上などとは言いきれなくなってくるのではないだろうか。

まさか西京極とシティライトスタジアムで「陸スタ」の魅力を発見出来るとは私も全く思っていなかったが、今回発見した「陸スタ」の魅力は、それを意識すればするほど楽しめそうな気もしてくる。

今後は、地方での観戦試合を決める上で「サッカー専スタ」のアドバンテージは、私の中で確実に低くなっていくだろう。

【京都・岡山サッカー紀行①】「あるべき姿」を模索する関西サッカーリーグ

【京都・岡山サッカー紀行②】「ビジョンはインバウンドJクラブ」おこしやす京都

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