【京都・岡山サッカー紀行①】「あるべき姿」を模索する関西サッカーリーグ

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旅の最初は西京極へ

関西サッカーリーグ、中国サッカーリーグと触れ合う初めての旅の初日は京都。

Jリーグでも使用されている西京極スタジアムの隣にある西京極補助競技場でこの日最初に行われたのは、現在関西リーグ1部首位のバンディオンセ加古川と、地元京都のASラランジャ京都の対戦だ。

キックオフ時間を30分早く勘違いしていた私は、まだ両チームの選手たちがピッチ上で試合前練習を始める時間より随分早く会場に到着してしまった。

西京極補助競技場は、西京極スタジアムで行われる陸上競技大会の補助グランドでもあるので、天然芝のピッチの周りには陸上トラックがある。(と言うよりは陸上競技トラックの中に芝生のスペースがあると言った方がいいかも知れない。芝生はお世辞にも美しく整備されているとは言い難く、折からの荒天も影響し水を吸水しないピッチは水を多く含み、コンディションも悪かった)

地域リーグの取材申請

現在リーグ戦首位はバンディオンセ加古川

私が地域リーグの試合の撮影をする時、そこが陸上競技場である場合は事前にカメラ撮影取材の申請をすることが多い。そうする理由はひとえに、自分自身の中で勝手に「普段注目されにくいカテゴリーの試合画像だからこそ、臨場感のある画像を撮影をして、なるべく沢山の方の眼に触れるようにしたい」といったポリシーを持っているからで、私の使っているカメラ、レンズ、そして撮影技術では、至近距離からでないとなかなか迫力のある画像が撮影出来ないという弱点も、取材申請をした上でゴールライン近くから撮影することでかなり解消させてもらっている。

普段その対象の多くを占めている関東サッカーリーグや東京都1部リーグなどでは、取材申請を基本的に試合主催クラブにすることが多く、そうしたこともあってこの日の取材申請も最初は京都の2つのクラブ(ASラランジャ京都、おこしやす京都AC)に対してアプローチしたが、関西サッカーリーグの取材申請に関しては、リーグ側が一括して受けていることをご指南いただき、改めて関西サッカーリーグに対しての取材申請をさせて頂いていた。

関西サッカーリーグの「あるべき姿」とは

競技場に到着した私は、本部で取材受付のお願いをさせて頂き、取材時に着用するビブスを受け取ると、この日行われた2つの試合でマッチコミッショナーをされた、関西サッカーリーグの豊浦太郎さんと少しの間お話させて頂くことが出来た。

お話を伺っていく中で、リーグが一括して取材申請受付を行うというこのルールも含め、関西サッカーリーグではリーグ側が主導でリーグの地位向上や関心・注目度の向上に尽力されていることを理解することが出来た。

取材申請をリーグが一括で受けつけるということ

ASラランジャ京都VSバンディオンセ加古川  フォトギャラリーはこちらから !

確かに関東リーグにおいては、取材行為に対するだけでも、所属するクラブの足並みが揃っているとは言い難い。

そうであるから、結果として「取材しやすいチーム」と「そうではないチーム」が生まれてしまいがちだ。

だから私の場合も、同じ時間帯に複数の試合が重なってしまった場合、個人的な関心度合いに沿って観に行く試合を決定させているつもりではあるが、それでもそこに「取材しやすいチーム」という要素が少なからず影響はしてしまう。

これが、関西リーグのスタイルであれば、そうした要素はほとんど影響を及ぼさないだろうし、結果的にリーグ全体の関心度を高めることにも繋がりやすいように思える。

もちろん、J1などのトップリーグにおいては、メディアコントロールの主導権をリーグ側が持っていることへの功罪はあるにせよ、地域リーグの段階では、こうした取り組みは必要なのかも知れない。

金網デスマッチ撲滅キャンペーン

ASラランジャ京都VSバンディオンセ加古川  フォトギャラリーはこちらから !

取材対応についてだけではなく、リーグ戦が開催される試合会場についても、リーグ側が少なからずイニシアチブを執り「あるべき関西サッカーリーグの姿」を模索されている。

関東圏同様に試合会場の確保が非常に難しくなっている関西リーグの中でも、特に京都は決定的に試合の開催出来る場所が限定されている為、通常はクラブ側に取得義務のある試合会場について、京都の2つのクラブはそれが大きく免除されているそうだ。

こうするのにはリーグ側が目指す方向性も大きく影響しており、その方向性を表す1つの方策が、数年前から行っているという「金網デスマッチ撲滅キャンペーン」だ。

地域リーグや都道府県リーグなどでよく目にする「周囲を金網(防護ネット)で囲まれたサッカー場」ではなく、少しでも観戦者の入るスペースやスタンドのある場所でリーグ戦を行おうというキャンペーンで、この条件に沿って考えると、京都にはそれに叶う場所が決定的に不足しているのだそうだ。

他にもリーグ戦の全試合をネット配信したり、シーズン終了後の表彰式におけるMVP投票にファン投票を採用したり、関西サッカーリーグのリーグ運営の姿勢からは「リーグ自体の価値を高めていく」という気概を感じることが出来た。

「活き活きした」そして「ギラギラした」関西サッカーリーグ

ASラランジャ京都VSバンディオンセ加古川  フォトギャラリーはこちらから !

勿論、そうしたリーグ側の姿勢があった上で、所属クラブのそれぞれが自らを積極的に世間に売り込む為のプロモーションを仕掛けている訳だが、そうしたクラブにありがちな「Jクラブを目指す!」というようなありきたりでありながら唯一無二と信じられている「鉄板プロモーション」も、関西サッカーリーグが今後注目度を上げその価値を高めていけば、Jクラブを目指すという目標自体が「唯一無二の目標」から「数ある選択肢のひとつ」くらいには変化していくように私には思えた。

とは言うものの、この日西京極補助競技場でリーグ戦を戦った4チームの選手たちは、着替えのための更衣室も無いために、人目に触れながら競技場の端で着替えていた。ガーナ代表の経歴も持ち、鳴り物入りでおこしやす京都に加入したエリック・クミ選手とてそれは同じだ。

つまり何が言いたいかと言えば、関西サッカーリーグがリーグ自体の価値を高めようというポリシーを以て、リーグ運営のあらゆる場面に「あるべき関西サッカーリーグの姿」を模索していると言っても、実際のところは、他の地域リーグに見られる光景と表面的には何ら変わりはないということだ。

いや、1000人以上の観客動員も珍しくなくなっている関東リーグや東海リーグの実情を思えば、むしろ関西サッカーリーグの方がより牧歌的だと映ることの方が多いかも知れない。

ただ、この日お話させて頂いた関西サッカーリーグの豊浦さんをはじめ、試合運営の関係者の方々も含めて、関西サッカーリーグからは、非常に活き活きとした、あるいはギラギラとしたムードを感じとることが出来た。

関西サッカーリーグの優勝争いは、現時点までで、バンディオンセ加古川とおこしやす京都に絞られている。

そしてこの2つのクラブに対してこんな言葉がマッチコミッショナーから飛ぶ

「目指すは4冠や(リーグ、リーグカップ、全社、地域CL)それくらいの気持ちでやらにゃ勝ちきれん」

リーグ側が所属クラブに対して、試合会場で堂々とこう言える気風。

それが2018シーズンも終盤を迎えた関西サッカーリーグ、9月のムードだった。

 

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