コバルトーレ女川 所属選手の職場は?「町は選手たちを町民として迎える」

コミュサカ
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サッカーだけでは生活していけない選手たち

2018JFL 東京武蔵野シティVS奈良クラブ(武蔵野陸上競技場)

多くの場合、Jリーグより「下位」と位置づけられているサッカーリーグでプレーしている選手たちは、サッカー選手としての収入だけで生活しているわけではない。(厳密に言えば、J3クラブに所属する選手たちもそうである場合がほとんどなのだが)

それでも、建前上は「J3と同格」であるとされているJFLのチームでプレーする選手などは、Jリーガーのようにほぼ毎日トレーニングを行っているので、就業している会社や事業所の理解や容認があって初めて選手生活を送ることが出来ている。

こうしたアマチュア選手の在り方は、実業団スポーツ全盛だった時代にはあまり見られないスタイルであったはずだが、日本経済が不景気の波にのまれていくうちに、現在では至って当たり前に存在するようになっている。

「実業団」と「クラブチーム」

 

2018JFL ラインメール青森VSホンダロックSC(八戸・ダイハツスタジアム)

現在JFLを戦う16チームのうち、いわゆる実業団チームとして存在しているのは僅か数チーム。

ここ数年、JFLで圧倒的な強さを見せつけ「Jの門番」との異名も持つようになっているHonda FCなどは、かつての実業団チームがそうであったように、選手としてのトレーニング環境と、社員としての経済的安定を保障されていることが、チームとしての戦績にそのまま現れているようにも思える。(ソニー仙台も「北の門番」と言われるほど安定して好成績を残し続けているし、弱いチームの代名詞のように言わてしまっているホンダロックSCにしても、10シーズンの長きに渡ってJFLに踏みとどまっているのだから十分立派と言えるだろう)

Hondaやソニーのような大企業が丸抱えしている実業団チームではないチームのことをここでは便宜上「クラブチーム」と称させてもらうが、JFLクラスに所属するクラブチームの場合、所属する選手たちに対して従事する仕事を斡旋するのが一般的だが、その斡旋先は多くは、クラブが運営する事業体であったり、クラブを支援する地元のスポンサー企業である場合がほとんどだ。

ただし、それもあくまでその選手がチームに所属しているということが大前提であって、JFLクラスでもサッカー選手には移籍がつきものだし、社会人としてのキャリアを長く積めるような働き口を得られるようなことはほぼ期待できない。

コバルトーレ女川所属選手たちの職場は?

そんな中で、今季東北リーグからJFLに昇格したコバルトーレ女川は、震災によって人口が激減した町の新たな担い手として、所属選手たちを「新しい町人」として積極的に受け入れている様に見える。

実際にコバルトーレ女川に所属する選手の中には、地元スポンサー企業に正社員として就業している選手も少なくなく、引退後もそのままその企業での仕事に従事し、もともとは全く地縁のなかった元コバルトーレ選手が引退後、女川町に完全移住しているケースもあるそうだ。(現在の現役選手にも、既に女川に家を建てた選手がいる)

今季のコバルトーレ女川のホームゲームで配布されている選手名鑑には、全ての選手の「職場」が明記されている。

こうして選手たちの「職場」を公開することで、地元のファンがよりチームに親しみをもち、さらに言えば同じ職場で働く方々にとっては、選手たちの存在が誇らしくも思えてもらえるのだと思うが、また違った見方をすれば、その選手がどこで働いているのかによって、彼がこの先も女川で長く生活出来る、あるいは生活しようとしている、といったことも見て取ることも出来るのかも知れない。

2018年コバルトーレ女川 所属選手の「職場」一覧

GK

1 石井龍誠  仲興警備保障(株)

21 近嵐大地 (株)高政

30 緑川光希  仲興警備保障(株)☆

31 冨澤雅文   (株)高政

DF

2 小田切啓 (株)ナリサワ ☆

3 及川 陸 (株)高政 ☆

4 宮坂 瑠   仲興警備保障(株)

5 舛沢 樹   仲興警備保障(株)☆

8   嶺岸祐介   (株)トヨタレンタリース仙台

11 鳥山祥之     (株)日興管財エイブルネットワーク石巻西店 ☆

15 鵜飼亮多     仲興警備保障(株)☆

19 土遠修平     仲興警備保障(株)☆

23 湯浅秀紀     仲興警備保障(株)

6 黒田涼太  (株)石巻日日新聞社

7 小川和也  (株)トヨタレンタリース仙台

10 池田幸樹     仲興警備保障(株)

MF

17 畑中秀斗   (株)高政

18 森蔭冬威   (株)渡邊商店

20 佐藤明生     仲興警備保障(株)

22 高橋晃司     太平ビルサービス石巻営業所

25 武田晃平     太平ビルサービス石巻営業所

26 井上 丈   仲興警備保障(株)☆

27 國分俊樹   仲興警備保障(株)

9 千葉洸星     (株)御前屋

FW

13 成田星矢     (株)高政

14 吉田 圭     佐藤水産(株)

16 佐々木将人  仲興警備保障(株)☆

24 橋本光晟     仲興警備保障(株)☆

28 野口龍也     仲興警備保障(株)

29 千葉銀次郎  仲興警備保障(株)

☆は新加入選手

コバルトーレのような環境が選択肢にあること

2018JFL コバルトーレ女川 VS FC今治(石巻フットボール場)

とは言うものの、JFLというカテゴリーで戦う選手たちは、その実力を示す場さえあれば、いつJリーガーになっても全く不思議のないレベルにある選手ばかりなわけで、コバルトーレ女川でプレーする選手の中にも、Jリーグでプレーすることを目標としている選手もいるだろう。

そうした選手にとっては、むしろ恵まれない環境に身を置くことで奮起する場合もあるだろうし、仮に女川が暮らしやすい町であったとしても、そこに安住してはいけないと戒めの気持ちを持っているかも知れない。

つまり、選手の在り方については、そこに正解を求めることなど出来ないとも言える。

ただ、コバルトーレ女川というクラブチームが、長くその地域で愛され、活動を続けていく上で、所属選手たちを「町人」として受け入れる姿勢があることが不可欠な要素なのかも知れないし、他のクラブチームと明確に違いを生み出せる「強み」だとも言える。

いずれにせよ、サッカー選手がプレーする環境を選択する時に、コバルトーレのような環境がその選択肢の中にあるということは、非常に大きな意義があるように思う。

 

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2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

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