オッサンが何年か振りにボールを蹴る はじめての個サルは案外敷居が高かった!

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何年かぶりでボールを蹴る

およそ2年ぶりか、いやもしかしたらそれ以上かも知れない。何しろこの前にボールを蹴った日のことを明確に思い出せないくらいなのだから、相当の期間が空いてしまったはずだが、少し思う所があってフットサルをしてきた。

幸い、自前のサッカー用品(シューズやウェア)は使用されないままタンスにしまってあったので、それを引き出し、自宅から車で10分も掛からない場所にある人工芝の屋根付きフットサル場で行われている「個サル」というものに参加したのだ。

ご存知の方も多いだろうが、「個サル」とは「個人参加のフットサル」のことで、専門の斡旋サイトも多数存在する。チームや仲間がいなくてもプレーできる手軽さから、どんどん普及しているようだ。

サッカーを「する人」は多くない日本

W杯ロシア大会が終了した直後にサッカーキングが配信した『“2014→2018”日本代表の4年間を豪華論客と徹底検証』に登壇したアーセナルSS市川の幸野健一さんが、番組の中で話されていたこんな主張がずっと気になっていた。

「FIFAランクは、そのままその国の人たちがどれくらいの割合で日常的にサッカーをしているかが反映されている」

「そう捉えると60番前後にいる日本は妥当だとも言えるし、サッカー先進国と比較すれば明らかにその割合は低い」

幸野健一さんはこう話すとともに、日本が本当の意味でサッカー強豪国となる為には、単に代表チームの強化だけをしているのではなく、その土台となる分母(サッカーを日常的にする人たち)を増やしていく必要があると述べておられた。

FIFAランク上位国のサッカー競技者比率 ちなみに日本の競技者人口比率は3.8%

別のインタビューでサッカーキングに掲載されていた氏の言葉をそのまま引用すると

「いま日本のサッカーに関わる人達の関心はワールドカップに向いていると思いますが、日本代表は山の頂上の一角にすぎません。山の頂上を支える土台、裾野を広げることが大切なことであって、それがサッカーをプレーする人を増やすこと。つまり日本の競技者人口比率をあげることなんです。そのために何をするべきか。まずは誰でも、どこでもサッカーを楽しむことのできる環境。そして一度始めたサッカーを辞めずに、私のように50歳を越えても毎週末プレーできるような環境づくりが必要です」

サッカーキング 2018年6月18日 「プレー人口と代表の強さは比例する!? 日本代表が強くなるために必要なこと」より引用

「そう言えば俺 全然ボール蹴ってなかったな」

私は必ずしも日本がサッカーの強豪国になれば万事OKとは全く思っていないが、それでも日本社会でサッカー文化が深まっていって欲しいとは願っているので、その結果として日本代表がW杯などの世界大会で躍進するのは決して悪いことだとは思っていない。

もっと沢山の人の生活にサッカーが入り込めれば、そうした人たちの日常に彩りをもたらせることが出来ると思っているし、その「生活に入り込むサッカー」を具体的に指すイメージとしては、Jリーグをはじめとする国内サッカーへの関心度を高めていくことが重要だと考えてきた。

【今そこにあるサッカーを愛せるか】①下手くそサッカー少年が何故サッカーを愛せたのか

しかし、そう思う一方で、サッカーと言うスポーツ自体をもっと多くの人が経験出来ることへの重要性にも少なからず気がついてはいたので、このブログの中でも何回かそうしたテーマについて触れてきたつもりだ。

ただ、幸野健一さんの言葉は非常に明快であると同時に、私にもう一つの気づきを与えてくれた

「そう言えば俺、全然ボール蹴ってなかったな」

サッカーに関しては上手に年を取れていない

小学生の時にサッカーと出会い、以来長きに渡ってボールを蹴ることは私の中で日常であることが多かった。

しかしこの数年、運動と言えばランニングや水泳が中心で、仲間とともにボールを追いかけることをしてこなかった。

同世代でサッカーを続けている友人はほとんど残っておらず(これ自体が幸野さんの指摘する問題だと思うが)仮に続けていたとしても、徐々に体力が衰え「昔取った杵柄」を微塵も感じさせることの出来なくなっている自分のプレーを受け入れる勇気もなかった。

本来なら「おっさんなり」のサッカーの楽しみ方があって然るべきなのだろうが、少なくとも私自身はそれを身につけてこなかったし、変な言い方になってしまうがサッカーに関しては「上手に年を取ること」が出来ていないように思う。

そこで今回の「個サル」参加へと心が動いていくのだが、この個人参加のフットサルの世界もある意味では少し衝撃的な経験となった。

「エンジョイ」クラスに参加したが・・・

私が参加した「個サル」は、週に何回か定期的に開催されていて、それぞれがある程度のカテゴリーに分けられている。

「ガチ(実力者たちが真剣にやる感じか・・)」「初心者+女性」「中級」「O-30」「O-35」「エンジョイ」と言った具合で、見ず知らずの人たちがフットサルをしに集まったとしても、そこで実力的なミスマッチが起きないように配慮されている。

私はこの中で本当に軽い気持ちから「エンジョイ」を選んだのだが、そこに集まってきた人たちは想像していたのとは少し違っていた。

想像では、お腹の出っ張ったおじさんや、ほとんど未経験の人たちと、ゆったりフットサルをやるものとばかり思っていたのだが、集まってきた30人ほどの人たちは全員が男性で、お腹の出ているような人はいないし、年齢的には20代から40代くらいまでで幅広かったものの、明らかに「常連」と思われる人が多勢を占めていた。

「常連」であるから彼らは当然ながら非常に良く動けるし、フットサルに慣れている。

「エンジョイ」クラスだということで、ミスをしても殺伐とした空気にはならないものの、若い人同士がマッチアップしたりすれば、相当バチバチやりあっている。

もう何年もボールを蹴ってこなかった私は、最初の5分で酸欠になるほど息が上がり、ボールが足につかないどころか、まともにステップも踏めていない。

自分自身の衰えに相当がっかりしながらも、取り合えず声だけは出して行こうと、チームメートを励ましつつも実は自分を奮い立たせながら、何とか10分×4本まではやり切った。

思ったより敷居が高かった「はじめての個サル」

「思ったより敷居が高いな」

これが初めて「個サル」に参加した私の率直な思いだ。

スタッフの方に尋ねてみると、最もゆったりプレー出来るのは「O-35」クラスだそうで、私は自分が選ぶカテゴリーを少し間違ってしまったきらいはあるにせよ、これがほとんどサッカーやフットサルの経験を持っていない人であれば「トラウマ」になってしまいそうな1時間となったかも知れない。

「普通の人がボールを蹴ろうと思っても、なかなかそうした場を見つけるのは難しい」

こうした実情を、自分が参加した「個サル」において改めて痛感させられた。

もちろん、たった一度の「個サル」参加で、その全てが見えようとは思ってもいないが、少なくとも私が暮らす地域で毎週のように「エンジョイ」クラスでフットサルをやっている人たちは、結構動けて上手な人たちだったし、初めてボールを蹴るような人であれば、完全に排除されてもおかしくないレベルにはあった。

恐らくこうした事実こそが、幸野健一さんのいう所の「日常的にサッカーをする人が少ない日本」を如実に表しているのだろう。

と、何となく「個サル」に対してネガティブな印象を与えるような内容となってしまったかも知れないが、その実、私は目標としていた1ゴールも挙げることに成功し、翌日は筋肉痛で身体がガタガタになってしまったものの、気分は非常に爽快だ。

そして、近いうちに今度は「O-35」クラスにエントリーし、今度はもう少しハツラツとしたフットサルをしたいと思っている。

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