Fリーグは同じアリーナスポーツのBリーグにどうしてこんなに差をつけられたのか

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浦安でフットサルとサッカーのハシゴ観戦

先週の日曜日は浦安市運動公園で、Fリーグ「バルドラール浦安VSパサジィ大分」を観戦した後に、隣の陸上競技場で行われた関東サッカーリーグ「ブリオベッカ浦安VS栃木ウーヴァ」のカメラ取材をさせてもらったが、短時間ではあったものの非常に効率の良い「ハシゴ観戦」をすることが出来た。

専らサッカー観戦が私にとってスポーツ観戦の中心となってはいるものの、空いた時間を見つけてなるべく他のスポーツの現場にも行くようにしている。

そうしてきたことで、Bリーグからは新たなマーケットを創出しようとする勢いを感じることが出来たし、千葉ロッテマリーンズからはスタジアムが「アミューズメント化」している現状を、新日本プロレスからは「陶酔する快感」を感じることが出来た。

それぞれの「プロスポーツ」がそれぞれの強み弱みを認識すると同時に、他競技の強み弱みも認識することで、補完したり改善したりしながらファン層をさらに拡大していくことが、日本のスポーツ「エンターテインメント」市場を持続的に活性化させる道だと私は思っているので、その競技自体にはそれほど興味がなくても、ついつい試合が行われている会場へ足が向いてしまう。

Fリーグもそんな「それほど興味のない競技」のうちのひとつで、未だ試合そのものよりもその周辺で起きていることや人々の様子に対する関心の方が勝ってしまっているのが正直なところだ。

 

減少するFリーグの観客数

この日浦安で見たフットサルとサッカーの試合は、ともに観客数が700人台。フットサルとサッカーの観客数を比較するのは少し乱暴でもあるが、一方が日本トップカテゴリーの試合で、もう一方が地域リーグの試合であったことを鑑みれば、Fリーグが興行面においても「プロ」と呼ぶのには難しいということが言えよう。

実際にFリーグの観客動員数は微増傾向にあった2014-2015シーズンを頂点に、その後は年々右肩下がりで減少している。

Fリーグ(F1)のレギュラーシーズンは12チームの3回戦総当たりで行われるので、年間のリーグ戦試合数は30試合あまり。

同じアリーナスポーツのBリーグ(B1)はレギュラーシーズンの試合数が60試合なので、この時点でFリーグはBリーグの倍の観客を集めることが出来ないと同等にすらなれないのだが、現状を考えればほとんどのチームが毎試合数千人の観客を集めることに成功しつつあるBリーグに対して、Fリーグはその半分の観客を集めることも出来ていない。

BリーグとFリーグの明暗を分けたもの

2005年にbjリーグとしてスタートしたプロバスケの世界と、それから2年後の2007年にスタートしたFリーグ。

それから10年の時を経て、両者の明暗はくっきりと分かれてしまった。

しかしながら私は、この結果は当然の定めであるとも感じている。

表に出ているものを比較するだけでも、そこには大きな違いがある。

その最たるものが、両者の公式ウェブサイトの在り方だ。

 

「ファン予備軍の4大ニーズ」

Bリーグ公式サイトの完成度の高さについては、全てのプロスポーツの公式サイトが手本にすべきといつも思わされているが、私が思うところの「ファン予備軍の4大ニーズ」にしっかりと応えるコンテンツとなっているのがBリーグ公式サイトの最も優れた点であると思う。

「ファン予備軍の4大ニーズ」とは

  • リーグ戦績
  • 試合スケジュール
  • チケット購入
  • グッズ購入

と私は勝手に定義している。

まずはそのプロスポーツに何らかのきっかけで関心を持ち「リーグ戦績」を眺める、そこで初めて「試合スケジュール」を確認する心理が働き、「チケット購入」という関門を越えるに至る。こうなれば最後の「グッズ購入」まではかなりの高確率で進んで行くだろうし、彼は日常的にそのプロスポーツを観戦するようになっていく。と言うのが私が立てている仮説だ。

4大ニーズに応えるBリーグ 応えられないFリーグ

Bリーグ公式サイトより 既に10月から始まるリーグ戦のスケジュールがアップロードされており、現時点で販売前ではあるもののチケット購入ページへクリック1つで移ることが出来る。

 

この一連の流れをBリーグ公式サイトでは非常にスムーズに進めることが出来る。

リーグ戦績については、全試合の詳細な記録から順位などの基本情報、個人やチームのスタッツといったやや専門的な数値まで簡単に確認することが出来るし、スケジュールのページに行けばそこから直ぐにチケット購入ページへ移動することも可能だ。またグッズについても各チームのグッズからBリーググッズまで、非常に良く整理されたオンラインショップがサイト内で展開されている。

おおよそBリーグ観戦に必要な情報は、公式サイトを見ればほとんど得ることが出来るので、公式サイトが「ファン予備軍」を含めたあらゆるBリーグファンのプラットホームとして大いに機能していると言える。

一方でFリーグ公式サイト「ファン予備軍の4大ニーズ」に応える作りになっているとは言い難い。

Fリーグ公式サイトより  チケット情報ページは開幕戦のセントラル開催以降、情報が更新されていない。

 

「リーグ戦績」「スケジュール」については、Bリーグ公式サイトと同等レベルの情報が網羅されているものの、最も脆弱なのが「チケット購入」について。

まず、Fリーグ公式サイトにはチケット購入する機能が備えられていない。基本的にチケットぴあなどにチケット販売が委託されている為、ファンも改めてそのサイトへ移ってチケットを購入しなくてはならない。

新たなファンを獲得する上で、最初の大きな関門となる「チケット購入」をFリーグ公式サイトで出来ないということは、単に販売機会を失いかねないということだけではなく、顧客属性などのマーケティングデータもリーグ側に蓄積されていかないことを意味している。

チケット購入が出来ないことに加えて、Fリーグ公式サイトではグッズ販売を一切していない。(正確には試合画像データをF-SHOTというコンビニサービスで購入出来るという商品があるが、導線が複雑すぎて実際に購入している人がいるようには思えない代物だ)絶対王者である名古屋オーシャンズですらチームの公式サイト内のオンラインショップでレプリカユニフォームしか扱っていないレベルなのだ。(いくつかのチームはオンライン上でグッズ販売にもしっかり取り組んでいる)

こうしてBリーグとFリーグをその公式サイトだけで比較しても、両者の間に存在する埋めがたいギャップを実感して頂けるだろう。

Fリーグが見つめているのは「業界ニーズ」?

では何故こうしたギャップが両者の間に生まれてしまっているのか、それはBリーグとFリーグが見つめている先が全く違った対象だからなのではないか。

Bリーグが「一般ニーズ」に応える形で興行としてのプロリーグ運営に邁進しているのに対して、Fリーグは「業界ニーズ」にしか目が向いていないように見える。

「業界ニーズ」とはFリーグ本体であり、関係者であり、スポンサー企業を指している。

つまりFリーグが何故存在しているのかと言えば、それは既存のフットサル業界で生きている人たちの食い扶持を確保する為と言っても過言ではないのだ。

Fリーグは新たなファン層を本気で獲得しようとは思っていないのだろうし、だからこそリーグが開幕して随分経っているのにも関わらず、公式サイトのチケット情報の更新すら満足に行っていないのだろう。

勿論経済的な成功だけが、そのスポーツの価値を決めるものではないことは私も分かっている。しかし、その世界を継続させていく為には一定の後ろ盾は必要で、さらに言えば、どれだけ多くの人々をその世界に巻き込んでいけるか、巻き込んでいるか、それについてはそのスポーツの価値を決める大きな要素であると私は思っている。

今後日本のフットサルがどんな道を歩んでいくのか。

Bリーグのように「見るスポーツ」としての進化を遂げていくのか、それとも「するスポーツ」としての裾野を今以上に広げていくのか。

本来であれば、その両方が上手く融合してこそ、日本のフットサル文化が深化していくものと私には思えているが、実際にFリーグの試合会場に集めっているファンの方々はどう考えているのだろう。

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