「えとみほに会ってきた」宇都宮徹壱さん主催のトークイベントで感じた「外様観点」の大切さ

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えとみほさんに会ってきた。

と言っても、何も栃木SCのクラブ事務所へ行ったのではなく、東京・高円寺kitenで行われたトークイベントを観覧してきただけの話なのだが、5月に栃木SCへの「電撃移籍」が発表されて以降、そのTwitter上の発言が、多くのサッカーファンの間で大いに物議を醸してもいた「えとみほ」さんが一体「どんな人」で、「どんな話し方をする人」で、「どんな言葉」が聞けるのか、若干の「怖いもの見たさ」も手伝って、日頃は単純にリラックスした気持ちで向かうKitenへの道中が、いつもより緊張感を帯びたものとなっていた。

 

宇都宮徹壱ウェブマガジンプレゼンツ

 

ノンフィクションライターで写真家の宇都宮徹壱さんは、日本のサッカージャーナリストにおいても指折りの方だが、そんな宇都宮さんが定期的に開催しているトークイベントのテーマは毎回、いわゆる「王道」からは外れたニッチなものが多く、サッカーファン心を常にくすぐってくるテーマばかりなのだが、今回のテーマは『スタートアップが地方クラブを変える!えとみほが考えるJ2改革とは?』というものだった。

 

「スタートアップ界のスター」

主にIT業界において起業と転職の経験が豊富で、その華々しい経歴から「スタートアップ」を夢見る人たちから崇められているえとみほさん(江藤美帆さん)は、もともとジェフサポーターでもあり、これまでもJリーグやサッカーに関するツイートもしていたが(水戸のエンブレムのツイートなども「炎上」しましたね)そんなえとみほさんが、何故J2クラブの、しかも栃木SCという小さな地方クラブに自らが「お役に立てるかも」と思って身を投じたのか。

もちろん、限られた時間のトークイベントでは、その全てを聞けるとも思ってはいなかったが、私がこのイベントを観覧して再認識したのは、えとみほさんが思った以上に「外様」であったことだ。

 

サッカー界では「外様」なえとみほさん

 

私自身はえとみほさんの作った「スナップマート」も知らなかったし、正直に言えば「スタートアップ」という言葉自体に未だピンときてもいない。

意味を調べてみると「起業」とか「立上げ」を指しているようだが、中でも「新しいビジネスで急成長している」ことが重要らしい。

格差社会がどんどん広がっているとも言われているこのご時世に、えとみほさんがこれまでいた世界は「儲からないサッカーの世界」とは対極にある。

実際に彼女のTwitterのフォロワーの9割はサッカーのことなどほとんど知らないような人ばかりで、こうした事実にもえとみほさんが「Jリーグに飛び込んできた」ということがはっきりと分かる。

栃木SCで仕事を始めてから「日常的にJリーグやサッカーの話が出来る」という仕事環境を新鮮に感じているえとみほさんは、これまでと全く異なるJリーグの世界にひと月身を置いて、相当にカルチャーショックやギャップを感じてしまったのか、私には彼女が少し疲れてしまっているようにも見えた。

それでも、えとみほさんの「外様としての観点」には私も非常に同感する部分が多いのは、私が長い間Jリーグと縁の無い生活を送ってきたことも多分に影響しているように思う。

 

「スタジアムに観客が来ないことを前提としたマーケティング」

 

この日ゲストとしてイベントに参加された福島ユナイテッドの竹鼻快GMは、長くJの世界で生きてきたクラブ経営のプロフェッショナルだ。

竹鼻GMは、これまで取り組んできた具体事例とともに、それに取り組む理由を抜群の話術で披露してくれたが(福島ユナイテッドが「農業」にも取り組んでいることなど。選手が育てた果物が売れに売れているそうだ)氏の話の中で非常に印象に残ったのは

「スタジアムに観客が来ないことを前提としたマーケティング」

という言葉だった。

サッカークラブの価値をあげて行く手法を「観客動員」だけに求めず、それ以外の価値をどれだけ「創り」世の中に「訴求」していけるか。

地域密着がJクラブにとって当たり前の概念として存在していたとしても、クラブが所在する地域に肝心の人口が少なくては、その概念だけが独り歩きするだけで、市場拡大が思うように計れない。

それであれば「地域の人たちをいかにスタジアムへ招き入れるか」という本道を横に置いてでも、地域以外のファン層、もっと言えば世界中へファンを拡大していく為の「商品提案」に注力していってもいい。

私は竹鼻GMの話の本質がそこにあったように感じたが、栃木SCが「スタートアップ界のスター」えとみほさんにクラブのマーケティング戦略を一任した理由もそんなところにあるのだと思うし、「外様」でなければ思いもつかないような挑戦に、彼女はきっと取り組んでいくのだろうと思えた。

 

Jを救うのは「外様の観点」かも

V.ファーレン長崎の高田社長然り、異業種からJの世界へ入ってくる優秀な方々は、当たり前のように「Jの常識」を打ち破ってくれる。

そして、こうした「外様の観点」は時として「拒絶反応」をされてしまうことも多い。

確かに長くその世界に居続け、それが生活の中に深く浸透しているサッカーファンにとっては、これまでの自分を否定されてしまったかのような感情が生じてしまうことも理解できる。

しかし根底で理解しておきたいのは、こうした「外様の観点」が、その世界を発展させ、生きながらえさせることを目的にして持たれているということだ。

私はJリーグをはじめ、日本のあらゆるサッカーの世界をこれから先もずっと楽しめるものであって欲しいと願っているし、決してこの日本から無くなってしまうようなことがあってはいけないとも思っている。

ただ、それを果たす為には、今ある現状では相当に難しいであろうくらいのことは理解しているつもりだ。

そうした思いがあるからこそ、少々違和感を覚えたとしても、それが新しい価値の創出に繋がっていると感じることが出来れば、殊更に反論を述べたり、発言者にレッテル貼りのようなことはしたくはない。

新たに「サッカーの家族」となってくれた人たちの言葉に耳を向けるくらいの余裕が、Jリーグファンや日本のサッカーファンには必要だとも思う。

 

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2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

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