日本代表の公開練習に集まったファン4,000人超え!「おもてなし」出来ないJFA

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ハリルホジッチ監督の電撃解任以来、日本サッカー協会(JFA)に対する風当たりが一気に厳しいものとなったように感じてしまっていたが、田嶋幸三会長や西野朗監督に対する不信感などどこ吹く風。日本代表の公開練習が行われていた習志野市の秋津サッカー場は大勢の「サッカーファン」で大盛況となったようだ。

 

秋津サッカー場 金曜日の夕刻

原口・宇佐美の「仲良しコンビ」に本田圭祐が絡む

 

私が秋津へ行ったのは金曜日の夕方だったが、それでもスタンドはほぼ満員、ピッチ周りにもネット越しに見学するファンが鈴なりになってひしめき合い、2,500人程度の人々が集まっていた。この翌日、翌々日は週末だったこともあって、来場者の人数が会場のキャパシティを超えてしまい入場制限もされたそうだ。(4,000人以上が集まったとされている)

公開練習なので戦術的なトレーニングはほぼ皆無で、各選手が所属クラブからの合流タイミングもバラバラであることから、いくつかのグループに分かれてのトレーニングをしていた日本代表。コンディション面の事情で練習場に姿を現さなかった岡崎慎司選手以外の全メンバーが、比較的明るいムードでそれぞれに汗を流していた。

中断前のJ1リーグ最終戦で脳震盪と頸椎捻挫を負った中村航輔選手は終始ランニングのみの調整となっていたが、怪我の影響が心配されていた長谷部誠選手、酒井宏樹選手も、ボールを使ったトレーニングに参加。海外から早い段階で合宿に入っていた選手たちは、概ねコンディションも良さそうで、ゲーム性の高いメニューを中心にトレーニングに向き合っていた。

スタンドで見守るファンの中には幼い少年たちの姿も多く、時折掛けられる可愛い声援に、手を挙げて応じる選手も少なくなかった。

それにしても、凄いものだ。

今回の日本代表公開練習については、JFAの公式サイトなどでもはっきりと告知などがされていないのにも関わらず、平日の夕方にこれだけの人を集めてしまう。

実は私自身も、日本代表の公開練習が行われているという「確信」のないまま秋津サッカー場へ行ったのが正直なところで、練習開始時間や見学ルールすら知らない状態だったので、まさかこれほど多くのファンが見学に来ているとは思っても見なかった。

日本代表公開練習に集まったファンはJリーグを見ていない?

練習の後半にはボールを蹴り始めた長友。

2,500人といえば、J3リーグでは決して少ない観客数ではないし、地域リーグであれば「記録的観客動員」とされてもいい数字だ。

そのレベルの観客がほとんど告知らしい告知をしないまま(むしろそうした情報を伏せている傾向の方が強いと言えるだろう)集まってしまうのだから、日本サッカー界における日本代表の持つパワーはJリーグを中心とする国内リーグとまるで規模の違うものであるのだと、改めて実感させられた。

そして満員のスタンドの中で感じたもうひとつの要素は、そこに集まっている人々が、普段私が感じているJリーグや地域リーグなどのスタンドに見られる客層と微妙に「シンクロしていない」ことだ。

「ここ(秋津サッカー場)は普段何に使っているグランドなの?」

「酒井っていう選手が2人いるんだね」

「あの選手は何でずっとランニングだけしてるの?(中村航輔選手を指して)」

これらの言葉は全てこの日のスタンドから聞こえてきた言葉。

スタンドの注目の多くは、本田圭佑、香川真司、長友佑都、長谷部誠といった「THE代表選手」に集まり、国内組は「端役扱い」されているようにすら感じられる。

私は日本で最も人気のあるチームが浦和レッズでも鹿島アントラーズでもなく、日本代表チームであると思ってきたが、それをこの日の秋津サッカー場がより強い思いへと深化させた気がする。

もちろん、そこにいた全ての人が「日本代表しか」サッカーを見ない人たちであるとも思っていないが、普段Jリーグや国内リーグ全般を見に行くことのない人たちが相当数集まっていたのも実態であったはずだ。

もっと言えば、あの日の秋津サッカー場は、日本サッカーの「導入口」としての意味も持っていたはずで、多くのJリーグファンが日本代表を介してJリーグに関心を持つに至ったように、あの場でスター選手たちの練習を見学した人たちが、未来のJリーグファン、サポーターになっていく可能性も秘めている。

JFAは日本代表の公開練習にファンを集める気がない

選手達に明るい表情が見られたのに対し、この人の表情は終始堅いように見えた。西野さんはもっと笑顔のカッコいい人だったはず。

 

そう考えると、今回の日本代表公開練習の現場に見られた光景が、実に勿体ないものであったようにも思えてしまう。

まず第1に、W杯を目前に控え、日本代表が最も注目を集める時期に行われた、国内での公開練習期間であったにもかかわらず、それについての告知がほぼされていないに等しい状況であったことには、残念な気持ちしか湧いてこない。

練習会場の秋津サッカー場のキャパシティや周辺環境を考えれば、3,000人~5,000人を集めるのがやっとで、それ以上ともなればチームが安全にトレーニングする環境を維持できないということもあったのかも知れないが、それであればそうした状況に対応可能なスタジアムを使用すればいいだけの話で、そもそもJFAは日本代表公開練習の場にファンを多く集めようという意思を全く持っていないようにも思える。

だからこそ、JFAが手配しているのは最低限の警備スタッフのみで、それはあくまでも「事故防止」が目的であって、見学に訪れたファンを「迎え入れる」といった姿勢に欠けたものであったのかも知れない。

本来であれば、多くのファンが来場することを想定し、飲食の出店などもするべきだし、そうすることでよりファンの満足度は上がったはずだ。

「日本代表に対してネガティブな報道がされている」と監督の口から言わせてしまうのであれば、あの場に集まったファンに対してどれだけ「サービス精神」をJFAが持てていたのか、そこには疑問しか湧かない。(「サービス精神」は、選手である槙野智章と乾貴士にしか見られなかった)

折しも、世間的に日本代表への風当たりは厳しいものになっているのにである。

折角何日にも渡って練習を公開する判断をしたのに、その現場からは「熱量」を全く感じることが出来なかった。

JFAに過度な期待は禁物

練習が終了すると、スタンドにいたファンの多くが選手の引き揚げてくるゾーンへと移動し始めた。

 

ただ、こうしたことはきっと今に始まったことではないのだ。

Jリーグが苦しみながらも少しずつ前へ歩もうとしているのに対し、JFAは「日本代表」という強大な集金装置を手にした「名士の寄り合い」の域を脱していない。

彼らは日本代表という集金装置が機能し続ける限りは解体される事のない「後ろ盾を持つ寄り合い」であり、Jリーグや他の国内サッカーがこの先どうなっていこうと、そこにそれほどの関心も無いし、日本代表人気を国内サッカーに還元しようという気もほとんど無いはずだ。

それであるから、日本代表がロシアでどんな戦いを見せようと、その結果が日本サッカー界に大きな影響を与えるかのような論説は幻想であると私は思っているのだが、日本サッカーを愛する人々もそろそろJFAの実態を受け入れ、そこに過度な期待をするのはやめた方がいいように思ってしまうのだ。

秋津サッカー場で行われた日本代表の公開練習の姿に、私が感じていたJFAの実態と限界を見たような気がした。

そしてこうも思う。世界中どこを見回しても、国のサッカー協会とはせいぜいこの程度のものではないか。それがにわかに露呈しただけのことであって、JFAが少々「イケてない」組織であったとしても、それを以て日本サッカーの文化の価値が貶められることなどあってはならないのだ。

 

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