それぞれ違う会場で行われた関東サッカーリーグを2日に渡って3試合観戦するという初体験をしたことで、それぞれのチームが見せている顔が、私の中で余計に強く印象づけられたような気がする。
既に前回の記事で触れた東京23FCの江戸川陸上競技場からはサッカースタジアムが「祝祭の空間」である事を再認識させられるとともに、かつて日本サッカーが日陰の存在であった時代の「牧歌的」なスタジアムのムードを感じ、ハシゴして観戦したブリオベッカ浦安の浦安陸上競技場で「再会」した都並敏史さんとの幼き日の想い出が、その懐かしき思いを更に強くさせた。
リーグ戦は「勝負の場」

その事情の違いこそあれ、2つのスタジアムはともに有料試合で1,000人以上の観客を集め、サッカークラブにとって本拠地で行うリーグ戦が緊張感みなぎる「勝負の場」なのだ。という強い意志を感じることが出来た。
ここで言う「勝負の場」とは決して試合だけに限ったものではなく、長いリーグ戦の中の僅か「90分間」に対して、クラブがスタジアムという「価値共感の場」を設け、如何にして多くの人々をそこに巻き込めるかといった「サッカークラブのリーグ戦運営面」での「勝負」を含んだ意味として理解して欲しい。
Jリーグ顔負けの「スタグル」が軒を連ね、スタンドの一角には日本酒を嗜むことも出来るスペースを作り、他にも沢山のイベントを企画することで「スタジアムで過ごす週末」の提供を実践した東京23FCと、スポンサー企業の女性社員を数百人規模で動員し、一種独特ではありながらも華やかなスタンド風景を演出したブリオベッカ浦安。
それぞれの「観客動員方法」に違いはあり、そこに「正解」など無いと私は思っているが、ただ1つ理解しておきたいのは、彼らがJクラブを目標として掲げていながら、現在地である関東サッカーリーグをリーグ戦運営の「腕試しの場」とするべく、多くの人々をそこに集めること自体にも価値を置いているという事実であろう。
西が丘にあった対照的な光景

しかし、この翌日に西が丘で行われたTOKYO UNITED FCのホームゲームでは、江戸川や浦安で見られたものとは対照的な光景が広がっていた。
多くのサッカーファンにも馴染み深く、これまでにも数々の名勝負が繰り広げられてきたあのサッカー専用スタジアムで行われたこの試合は、まさに見応えのあるエキサイティングな展開で、率直に言って江戸川と浦安で観戦した試合よりも面白い内容であったと私は思う。
つくばFCにとっては、これ以上気持ちの良い勝利は無いと言えるほどに素晴らしい試合であったはずだが、先制点を奪いながらその直後に追いつかれ、最終的に1-3というスコアで逆転負けを喫したTOKYO UNITEDにしてみれば「悪夢」のようなゲームであっただろう。
ただ、彼らのその「悪夢」はクラブ関係者以外にほとんど共感されることなく、それに潰されるのも乗り越えるのも自らの力だけに頼らざる得ない状況にある様にも見え、半ば不憫にさえ思えてしまった。

この日西が丘に集まった観客は、私の目算でおおよそ300人程度。それだけにクラブやリーグ関係者の比率も高く、選手の家族や友人も大勢見に来ていた。こうした背景を考えると純粋な観客数は全体の半分、約150人程度であったのかも知れない。
このような状況になっているのには、TOKYO UNITEDが関東サッカーリーグでの観客動員に対して価値を見いだしていないことが多分に影響している訳だが、私はそれ自体に批判的な思いは抱いてはいない。
日本サッカーの現状を見れば、関東サッカーリーグに1000人規模の観客を集めている状況の方が特殊なことで、そもそもリーグ自体がそうした状況をリーグの参加要件にもしていないのだから、地域リーグにこうしたクラブがあることが、決して珍しいことでもないだろう。
TOKYO UNITEDにとっての関東リーグ

TOKYO UNITEDにしてみれば、関東リーグはJリーグ昇格を果たす上で避けられない「チェックポイント」のようなもので、今いる場所は自分たちのいたい場所でもない。
こうした理屈も私は理解することが出来る。
ただしその一方で、現在のTOKYO UNITEDの在り方は、彼らがJリーグに昇格しない限りその存在すらが「無きもの」同然であるようにも思えてしまう。
TOKYO UNITEDは紛れもなく関東リーグの一員である。しかし彼らは関東リーグを戦う自らに対して価値を見いだせていないように見える。
自分たちで自分たちに価値を見いだせていないのであれば、それをアカの他人が見いだすのは難しい。
彼らが晴れてJクラブとなれば、過去の歴史の一部として顧みられるチャンスもあるのだろうが、そうなるまでは彼らの存在は「無」であると言えるのかも知れないし、言い方を変えれば、TOKYO UNITED FCというクラブは、Jリーグに昇格して初めてその存在が確かなものと出来るのかも知れない。
私が彼らを「不憫」だと感じるのは、このクラブにこうした「存在の無」を見てしまったからだ。
試合に敗れることで、自らの存在を確かなものにする機会が遠のいていく。
もちろん、これらは全て私が勝手に抱いている印象論に過ぎないし、記録的にも物理的にもTOKYO UNITEDの存在が「無」であるはずもない。そして、仮に彼らが否定しようともTOKYO UNITEDが「地獄の関東リーグ」における重要な「キャスト」であることは既に動かしようのない事実でもあるのだ。
そして、「無」から何かを生み出すことこそが、地域リーグのサッカーを楽しむ秘訣であることは私がこの数か月の間に理解し始めたことでもある。
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