「エリアで隔離分断」サポーター同士の交流が圧倒的に欠如したJのスタジアム

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天皇杯千葉県代表決定戦でもあった千葉県サッカー選手権決勝「ブリオベッカ浦安対VONDS市原FC」が行われたフクダ電子アリーナで、私がそこにいること自体に居心地の良さを感じたのは、両軍サポーターが試合前に「エールの交換」を行ったことが大きく影響していた気がする。

フクアリに響く「エールの交換」

ブリオベッカサポーターが掲げた弾幕「湾岸決戦」にはVONDSのチームカラーもあしらわれていた

 

それは決して「決まりごと」として行われている感じがなく、先ずはブリオベッカサポーターがVONDS市原コールをしたことがきっかけとなり、スタンドの反対側に陣取った緑色のVONDSサポーターがブリオベッカコールを大声で叫ぶことでそれに応えた。

フクダ電子アリーナに響き渡った両軍の「エールの交換」に、スタンドに集まった多くの観客が拍手を送る。

天皇杯出場というリーグ戦とはまた違った目的と緊張感のある試合の前に、互いの健闘を祈るようなムードがスタジアム全体に広がっていったこと。こうした光景に触れたことで「純粋にこの試合を堪能しよう」という思いが私の心の中で自然と生まれてきた。

私は両軍サポーターに仲良くさせて頂いている方も多いし、彼ら同士も十分に知った仲であるのは承知している。

ただ、こうして両軍サポーターの顔が分かっていると、その両者がいざ対戦となった時に、実は少しだけ身の置きどころに窮してしまうのが正直なところで、どちらか一方に肩入れすることなくサッカーの試合を観戦することの難しさも最近感じることが多くなっている。

これは何もサポーターに知人や友人がいなかったとしても同じようなことが言えて、例えばJ2の試合を1人でフクアリに観に行く時はこっそりジェフサポーターのフリをしているし、三ツ沢に横浜FCの試合を観に行った時は意識的に青い服を身につけた私がスタンドに座っていた。

つまり多くのサッカー場が、対戦するチームのどちらかに「肩入れ」することによって「居心地の良さ」を獲得出来るという現実があることを私は無意識に「会得」してしまっているのだ。

 

Jリーグスタジアムにある「分断」

日立台「ビジターエリア」

 

Jリーグの試合会場に行くと多くの場合、スタンドは「ホームエリア」と「ビジターエリア」とに完全に分断され、対戦する両チームのユニフォームを身につけた観客が隣同士になって試合の観戦をする光景などはほとんど見ることが出来ない。

こうした状況は当たり前の様で実は当たり前ではないのではないか。

「分断」を生み出した原因が、過去に度々発生したサポーター同士の揉め事や傷害事件などにあることは承知しているが、何らかの規制を設けた当初にこそ「問題を回避するため」といった苦渋の判断が存在していたはずだが、規制されている状態が長く続いてきたことで「サッカースタジアムとはこういうもの」という様な解釈のされ方が一般化されてしまっているようにも感じている。

ビジターエリアに隔離される観客

例えば鹿島アントラーズのホーム「カシマサッカースタジアム」は素晴らしいサッカー専用スタジアムではあるが、「ビジターエリア」で観戦する人たちは「Jリーグ随一」との誉れ高い鹿島の「スタグル」を十分に堪能することを諦めなくてはならない。

私が通っている柏レイソルのホーム「日立台」もそうだ。ホームゴール裏には沢山のスタグルが軒を連ね、隣接する芝生グラウンドに入って沢山の子どもたちがボールを蹴って走り回っているのに、ビジターエリアの観客は狭いエリアに押し込められ、スタグルも十分でないので食事も近所のコンビニで買ってくる必要がある。

こうして「分断」されたスタジアムがもたらせる「不利益」がスタグルだけであれば、ビジターエリアにも観客数に応じた飲食ブースを出店することで解決してしまうが、私が思う「不利益」は決してそれだけではない。

 

決定的に欠如している交流の場

「分断」されたスタジアムがもたらせる最大の「不利益」は

「Jリーグのスタジアムでは両軍サポーターが交流できる場が圧倒的に欠如させられている」

ということだ。

「分断」を招いた原因が「過激すぎた交流」とされてしまえばそれまでだが、果たしてこれから先もJリーグのスタジアムは「分断」されたままでいいのだろうか。

宗教的対立や民族的対立といった副軸的な対立構造が存在しないJリーグで、スタジアムを「赤と白」に分けてしまうことが、あるはずのない「対立」を生み出し、存在しなくてもいい「憎悪」を作り出してはいないか。

本来は同じように「Jクラブを応援する」仲間であるはずなのに、違うチームを応援しているというだけで「理解し合えない奴ら」と思わせられてはいないか。

 

サポーター同士が交流している光景こそ日本サッカーに相応しい姿

選手達も試合前と試合後に必ず「握手」で交流している

私が週末のフクダ電子アリーナで居心地の良さを感じたのは、両軍サポーターが「エールの交換」をしたことが要因であろうことは先に書いた。

双方のサポーターが互いに存在を認め合い交流を図っている現場であったからこそ、そのどちらにも肩入れしていない私のような第三者が居場所を作ることが出来たのだと思う。

これをJリーグのスタジアムに当てはめた時、対戦するサポーター同士がスタジアムの中で交流出来るような環境にしていくことで、どちらのサポーターでもない観客が居心地の良さを感じられるようなスタジアムが出来ていくのではないかとも想像してしまう。

そして「サポーター同士が交流している光景」はきっと、日本サッカーであるから可能で、日本サッカーに最も相応しい姿ではないかとも思うのだ。

 

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首都圏、関東圏を中心にJリーグから都県リーグまでの試合日程を記したカレンダーを作成しました。是非とも現地観戦のご参考に!

2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

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