【ハリル解任騒動の構図】田嶋幸三や北澤豪に向かう膨大な負のエネルギーの有効利用法

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ハリル解任によって日本サッカーに関わる人々(ファン・サポーターも含めて)の中に、この一件をどう見るか、どう解釈するのかによるグルーピングが進んできている気がする。

これが「解任反対派」と「解任支持派」というような単純な構図であれば、これほどまでに混沌とした状況は生み出されなかったのであろうが、実情としては「JFA批判派」と「JFA擁護派」という副軸が存在し、私のような「どっちでもいいわ派」がそれを俯瞰視している構図があるように思う。

 

「ハリル解任反対派」の党内会派「JFA批判派」

 

細かく見ていくと「解任反対派」はハリルホジッチの代表監督としての力量を評価し、きたるロシアでの代表の戦いに期待を抱いていた人たちで、それが突然「解任」という形で奪われたことに対して異議を訴えている。

そしてそんな「解任反対派」による異議の嵐の中で、日本サッカー協会(JFA)がW杯直前のこの時期に代表監督を解任させるというエキセントリックな判断をするに至った経緯などが少しずつ明らかになっていったことで、それらに到底納得できないと感じる人たちが次々に声を上げはじめ「JFA批判派」という「党内会派」が台頭してきた。

彼らは田嶋幸三JFA会長を頂点とする協会の在り方に対して、もはや「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」状態になってしまっている。

「JFA批判派」はW杯ロシア大会後の日本サッカー界に対しても大きな危惧を抱きはじめており、その絶望のあまり「もう日本代表を応援する気になれない」といった声も聞こえてくる。

 

隠れてしまった?「ハリル解任支持派」

 

一方で「解任支持派」はこの一件が起こって以来、あまりその存在感を示せていない。

本来であれば、自分たちがそうなって欲しいと願っていた状況になったのだから、ここぞとばかりに大きな声を出してもいいようなものだが「解任反対派」の中の「JFA批判派」の勢いの凄まじさに、今は物陰に隠れてしまっているのかも知れない。

私の認識では、ハリルホジッチの代表チームはそんなに人気のあるチームでは無かったと思うし、確かに突然にして起きた解任劇ではあるものの、昨年のE-1選手権で韓国代表に大敗した時などは「解任支持派」が道の真ん中を堂々と歩いていたように記憶しているのだが、もしかしたらそんな人たちも今回の騒動に乗じてこっそり「転向」している可能性も…

何しろそう思えてしまうほどに静かなのだ。

「JFA擁護派」は「JFA批難派」に集中砲火を浴びている

ただし「解任支持派」の中でも「JFA擁護派」だけは、所々でその存在を示している。

彼らの多くはJFAの関係者やその配下にあるサッカー関係者で、元Jリーガーであったりして知名度があるので発言力だけは持っている。それだけにテレビに出演した時に発するちょっとした言動などが「JFA批判派」から大きく糾弾されているシーンを見ることも多くなっている。

こうして見てみると、今回の解任騒動が「JFAで食っている人」と「JFAで食ってない人」によってその立ち位置に相違があることにも気がつかされるが、ハリル解任に関しての論説が表に出て来た時に、こうしたバイアスがかかっていることも理解しておく必要があるだろう。

ただ、私からすればJFAに対して過度な期待をもともとしていなかったし、所詮はその程度の組織だとも思ってきたので「JFA批判派」が猛烈な勢いでJFAに噛みついているのを見ても「何を今さら」と感じているのが正直なところだ。

 

「JFA=〇〇市体協」「日本代表=○○市選抜」

 

日本サッカー協会(JFA)は公益財団法人であるとは言え、そもそもは街の体育協会の発展型であると思ったほうがいい。

ほとんど利権のないような○○市サッカー協会の会長選びに際してだって、それなりの権力闘争は発生するのだから、これがJFAともなればクリーンな姿を期待する方がどうかしている。

日本代表チームは、言ってみればJFAが運営しているクラブチームみたいなものなので、そこにおける人事についても、当然ながらJFAの思惑でどうとでもなってしまう。

感覚としてはJクラブのGMなり強化部長が監督解任を決めるのに、詳細な経緯を説明しないのと一緒で、クラブ(JFA)の運営上に差し支えると判断すれば、監督のクビを斬るのも当然のことなのだ。

つまりこれまでずっとJFAの体質はこうだったし、この先もそうである可能性が高い。

こうした風土に対して異を唱えること自体は私も理解できる。JFAが「ガラス張りの組織」であって欲しいという願いも持っていないこともないが「公益性のある組織に対して透明性を求める」という思いは、JFAだから特別に抱いている願いでもないし、このタイミングで大騒ぎしようとはこれっぽっちも思っていない。

「2050年までにW杯優勝」はJFA延命の為のスローガン

JFAが掲げている「2050年までにW杯優勝」という大目標も、私はカネを集めるために作った「スローガン」だと思っている。

まず第一にサッカーカルチャーを日本に育んでいく為に「W杯優勝」という要素が不可欠であるが如くこの大目標が叫ばれているが、そこについては疑問しか湧かない。

もちろん、W杯で優勝するような強豪国はどこも嫉妬するほどに深化したサッカーカルチャーが存在する国々である。

そうした国々と同じようなステージを目標とするのであれば、その強化・育成においてもより「グローバル化」していってもいいようなものだが、出てきた答えは「オールジャパン」なのだ。

間違いなくこの「スローガン」はまやかしだし、JFAという組織が延命する為だけに掲げられている言葉だと思った方がいい。

それは今回のハリル解任騒動の流れを見ていく中で「うっすら」どころか「丸見え」になっているとは思えないか。

 

そのエネルギーを日常に向けて

 

私が日本代表の在り方や、W杯だけに大きな関心が集まっている日本サッカーの現状に対して完全に嫌気がさしてしまっているのは、こうしたJFAの本性を感じてしまっているからでもある。

だから、ハリル解任に対しても「どっちでもいいわ派」という立ち位置になるし、北澤豪がテレビで何と言おうと「北澤はそう言うよ。そんなの当たり前じゃん」としか思えない。

ハリルホジッチの来日会見だとか、西野さんは挨拶しかしてくれなかったとか、霜田さんは好い人だったとか、中西さんは中道だね、とか、そんなことにイチイチ過剰に反応するエネルギーがあるのなら、JリーグやJFL、地域リーグや学生サッカー、なでしこ、さらにはBリーグからプロレス、プロ野球といった「日常にあるスポーツシーン」に対して私はそれを注ぎ込みたい。

ハリルホジッチの一件については、これからもその報道自体が「鉄板ネタ」として使われていくだろうし、きっと暴露本みたいなものも沢山出版されるのだろう。もちろん、それを食い扶持にしている人にとっては大切な仕事なのだから、それ自体は否定しない。

ただ、そこに注がれている膨大なエネルギーが、日本のサッカーカルチャーの深化に繋げられているのかについては疑問を持っているし「勿体ない」とも感じている。

JFAなんて所詮そんなもの。ハリルが解任されようと西野さんが監督になろうとそんなの「どっちでもいいわ派」が増えてくれれば、日本代表は根詰めない程度に応援をして、本当に盛り上げなくてはいけない国内サッカーの現場に、その膨大なエネルギーの矛先をシフトすることで有効利用出来ると思ってしまうのだが、これはあまりに夢想的な期待だろうか。

 

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