【B.LEAGUE】ブレックスアリーナで感じた地方都市クラブの在り方を餃子を通して語ってみる

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初めてのBリーグを船橋アリーナで現地観戦したのが今年の3月の終わり。

それ以降、立川でアルバルク東京、横浜でビーコルセアーズ、小豆沢で東京エクセレンスと立て続けに観戦することになった。

「初体験」となった千葉ジェッツのホームゲームで受けた衝撃の大きさが、他のチームの試合にまでBリーグの現場を「確認」しに行かせる原動力となったのは間違いがなく、それぞれで少しづつ違った印象、違った状況を体感してきた。

それらをこのブログでも都度記事にして書いてきたが、それを読んで下さった方々から、Bリーグに関する様々な情報をいただくきっかけにもなっていった。

「栃木ブレックスの試合を見に宇都宮へ行ってみて」という声

そんな中で、宇都宮でホームゲームを行っている栃木ブレックスの試合会場に行くことを勧めてくださる方が複数いらっしゃった。

その時点で私はそれを認識していなかったが、栃木ブレックスこそがBリーグの初代チャンピオンであり、言って見れば日本バスケットボール界における盟主でもある。

そしてブレックスのホーム、ブレックスアリーナを包む熱狂のさまについては、千葉ジェッツのそれを凌駕するとも聞こえてくる。

新幹線を使わずとも都心から2時間程度で宇都宮へは行けることを改めて確認し、私は栃木ブレックスのホームゲームのチケットを入手することにした。

餃子に溢れる街、宇都宮

宇都宮につくと、そこにあったのは餃子に溢れる街だった。

駅の西側を出るとすぐに沢山の餃子屋が軒を連ねている。この日がGWの初日だったことも影響しているのか、どこの店にも長い行列が出来ている。

実はこの日の朝、少々寝坊してしまった私には時間があまりなかった。

本来であれば、Bリーグを観戦する前に餃子で腹ごしらえをしようと思っていたのだが、この混雑具合では餃子を食べ終わった頃には試合の第2Qくらいまでは終わってしまいそうだ。

仕方なく観戦前の餃子は諦め「きっと現地にも餃子屋が出店しているだろう」という淡い期待を抱きつつ、駅東口から出ているシャトルバスに乗り込んだ。

そこにあったのは「祭り」の姿

アリーナ外の飲食スペース 餃子はない。

ブレックスアリーナに到着すると、そこに存在したのは「GWをBリーグアリーナで過ごす幸福感」が満たす空間だった。

アリーナの外には飲食のブースがいくつか並び立ち、そこで食事が出来るようにテーブルと椅子も用意されている。バルーンアートのデモンストレーションは子どもたちに「包囲」され、ブレックスの黄色いTシャツを身につけた人たちが思い思いに時を過ごしている。

アリーナの中に入っても飲食ブースの出店があり、ブレックスエンブレムなどをボディペインティングしてくれるコーナーには大勢の人が列を成して集まっていた。

まさにこれは「祭り」だ。バスケットボールの試合にかこつけて、そこに集まる人々はこの「非日常感」を満喫している。

積極的に参加するブースターの姿

生声で4000人に訴えるコールリーダー

もちろん栃木ブレックスにはスター選手もいるし、今シーズンもこの時点でチームは連覇を狙える位置にスタンディングしている。この日の対戦相手サンロッカーズ渋谷に対しても終始リードを取ったまま、全く危なげない試合展開で「予想通り」勝利を飾った。

そして、そんなブレックスを取り巻く「祭り」に集まった人々からは、その場に参加する積極性も強く感じられる。

まず驚いたのは、ブレックスのブースターの中にはJリーグで言うところの「コールリーダー」にあたる人たちがいたことだ。

彼らはホーム側の二階席最上段で、大きなブレックスエンブレムを背に大きな旗をはためかせている。そして試合開始の直前には4,000人以上が収容できるこの大きなアリーナ全体に聞こえるほどの大きな声で、この試合に勝利することの大切さを説いている。トラメガなど使わず生声だ。

こうした状況になっているのは、栃木ブレックスの試合会場では千葉ジェッツのそれに比べて、明らかに演出面で「カネを掛けていない」ことも多分に作用しているのかも知れない。

船橋アリーナではスターティングメンバーが紹介されコートに現れる時にその脇では炎が吹き上がっているし、始球式にはドローンが使われていた。ハーフタイムやタイムアウトの時にブースターに向けてプレゼントを飛ばす時も、船橋アリーナでは専用のバズーカ砲が使われていたが、ブレックスアリーナでは人間が手投げしている。もちろんゲストを招いて演奏させたり、デモンストレーションさせることもない。

ただ、そんな演出に全く必要性を感じないくらいに、ブレックスアリーナに集まっている人々のテンションは非常に高い。

チームの運営サイドによる盛り上げる為の仕掛けに依存しなくても、彼らはその空間を楽しむ術を知っている。そんな印象を持った。

気になった「内向きな姿勢」

しかしそう思う一方で、この「祭り」に地方都市独特の「内向きな姿勢」が感じられたのも事実だ。

特にこの3点については、私のBリーグ欲を少し削がれた気もする。

  • チアの出番がやや少ない
  • アリーナの飲食に餃子が無いに等しい
  • シャトルバスの案内が甘い

チアリーダーがその力を発揮しきれていない

狭いところに押し込まれているBREXY

一つ目のチアの出番についてだが、Bリーグでは全てのチームにチアリーダーが存在し、ゲームの合間などにダンスを踊って会場を盛り上げる役割を担っているが、ブレックスはこのチアの力を過小評価している気がする。いや、過小評価というより「中央がやれと言うから一応やっている」という風に考えているのでは、とすら思えた。

恥も外聞もなく言いきってしまうが、私はチアが大好きだ。彼女たちがアリーナで愛嬌を振りまいてくれているからこそ、ここまでBリーグに関心を持てたと言っても過言ではない。ゲームの合間に見せてくれるダンスのフォーメーションは勿論、ゲーム中もブースターと共にチームを必死に応援する姿に心を動かされる。

横浜ではビーコルセアーズのちびっ子ブースターたちが、ゲーム中に彼女たちの傍で一緒に踊りながら応援する姿があった。

しかしブレックスアリーナでは、ゲーム中彼女たちはゴール裏の狭い空間に押し込まれていて、ほとんどその存在感を発揮出来ていない。これは単純にスペースの問題もあるのだろうが、もう少し彼女たち「BREXY」の力を活かして欲しいのが正直な思いだ。

餃子を食べるのは観光客?

二つ目の餃子については、私の中ではかなり重要な要素だと思っている。

先にも触れたが、宇都宮駅を出ると本当に餃子屋が街に溢れている。駅を出なくともお土産コーナーには餃子、餃子、餃子のオンパレードだ。こうまで餃子の押しが強いと、ほとんどの人は絶対に餃子を食べたくなるだろう。

しかしブレックスアリーナでは餃子がほとんど食べらない。厳密に言うと「たこ焼きなどとのセット」で少しだけ売られてはいるのだが、駅の周りにあれほどあった餃子がここには存在しないのだ。

これはどういうことなのか、私なりに導き出した仮説はこうだ。

「餃子は観光客が食べている」

駅周辺で見られた大行列に並ぶ人々も、実はそのほとんどが宇都宮の人ではないのかも知れない。もちろん全くのゼロではないにしても、決して人が多いという印象を受けなかった駅周辺で餃子屋だけに人が集まっているあの光景を説明するのには、それが観光客によるものであると考えれば合点がいく。

つまりブレックスアリーナは「地元民」以外の来場をほとんどイメージしていない。

私のようにどちらのチームのファンでも無い人間が来るとはまさか思っていないのだろう。

ただこれは結構重要な問題だ。Bリーグがこれからも成長していく為には、ホームタウンエリア外からの来場客を取り込む必要は必ず出てくるだろう。地方都市のチームであればなおさらだ。

今の倍くらいの観客を集める為にはアリーナで餃子を振舞うことは絶対に必要な要素になるだろう。

シャトルバスで市場に連れていかれる

三つ目のシャトルバスについても餃子と状況は似ている。

何しろその案内が非常に甘い。

まずバス乗り場にほとんどソレと気づくような表示がされていないので、同じ時間帯にバスを使う黄色いTシャツを着た人たちがいなければ、私はもう少し見つけるのに時間が掛かっただろう。

そして少し困ることが試合が終わってから宇都宮駅まで戻るために乗ったシャトルバスで起きた。

私は宇都宮駅を通り越して駅からかなり離れた中央卸売市場というところに連れていかれてしまったのだ。

どうやらその市場の駐車場に車を停めていた人たちが多く、そこが巡回の終点地となっているようなのだが、はっきり言ってその日宇都宮に来た人にはそんなローカルルール分かるはずもない。(ちなみに私以外にも数人が市場まで連れていかれた。駅で一旦停車した時には一人も降車しなかったので、てっきり駅での降車ポイントが他にあるのかと思ってしまった)

もちろんシャトルバスを無料乗車している身分だし、それなのに文句を言っているようでカッコ悪くもあるが、餃子同様に「地元民」以外の来場をイメージしていないからこそ、こういう事態が起きてしまうのだと私は感じた。

地方都市にあるチームの在り方

Bリーグの作っている世界は、日本のプロスポーツの中においても非常に斬新さがあると私は感じている。「アリーナという空間で時を過ごすことへの価値」を追求している姿は、他のプロスポーツはもちろん、あらゆるスポーツの現場が参考にすべきだし、それを実現するためにヒントが沢山発見出来る。

ただ、今回栃木ブレックスの試合を観戦しに行って「地方都市」に存在するチームの姿勢については気になる点も見つけることが出来た。

そして、これはJリーグの世界でも同様の傾向が少なからず存在するはずだ。

近いうちに今度は栃木SCの試合を観戦しに、グリーンスタジアムへ行くことも計画している。そこでもブレックスアリーナで感じたのと同じような感覚を覚えるのだろうか。

かなり楽しみだ。

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