2度目となったゼットエーオリプリスタジアムでの関東リーグ観戦。
先日ここへ来た時は前日からの荒天で、サポーターは大旗を身体全体で支えないといけないくらいに激しい風が吹いていて、その風の影響でピッチ脇の移動式ベンチも設置することが出来ず、スタジアム外の「スタグル」も出店することが出来なかった。
そんな状況であっても、初めて体感したVONDS市原FCのホームゲームからは、選手を含めたクラブ全体が応援に駆け付けたファン・サポーターとともに勝利を喜ぶ姿を見ることが出来た。
再び訪れたVONDSのホームゲーム

この日はスタグルが3店舗出店。私はガパオライスを食べた。ナチュラルな味だった。
私はVONDS市原のサポーターではないのに、あの空間でサッカーを眺める時間を非常に心地よく感じていた。スタジアムの近くにはコンビニすらない、最寄りのJR五井駅からはシャトルバスが運行されているわけでもない、おまけにあの日は食べ物を調達しようと思っていたスタグルも出なかったのでずいぶん空腹だった。
それでも再びゼットエーオリプリスタジアムへと足が向いたのは「サッカー」が「VONDS市原」というチームが愛されているという事実を改めて感じたかったからだと思う。
前回とは打って変わってこの日は好天で、太陽の日差しが痛くかんじるくらいに良く晴れた日だった。
隣のゼットエーボールパークでは高校野球の大会も行われていて、人や車もその数は前回とは比べものにならない。もちろんそうして集まった人たちの胃袋を満たす為のスタグルも3店舗出店しているのでヒモジイ思いもしなくて済みそうだ。
こうして公園全体にちょっとしたお祭りのような雰囲気が感じられる中、VONDS市原FC対ジョイフル本田つくばFCの関東リーグ第4節に集まった観客の数は540人。
先日インタビューさせて頂いたVONDSサポーターのヒロさんによると、この観客数はずいぶん少なくて物足りないそうだが、それでもサッカー場のムードを作り上げるのには十分(いや八分くらいか?)な人の群れは感じることが出来た。
流れを変えた1人の選手

歓喜するVONDS市原の選手たち 17番が野田卓宏選手
そんな牧歌的なサッカー場でVONDS市原イレブンは最高に過激なゲームを見せてくれた。
序盤にPKを2度献上し、これまでのリーグ3試合を無失点で切り抜けて来ていたチームが、前半だけで3ゴールをつくばFCに奪われた。VONDS市原も2点を返すものの、前半を1点のビハインドで終える。
しかし後半の初めに交代出場したMF野田卓宏選手が大きく流れを変える。
私はまだVONDS市原の選手のことをそれほど細かく知らないので、彼が入ったことで戦術的にどういう変化が起きたのか、それを正確に書くことは出来ないので控えておくが、ゴールライン際から彼を見ていて感じたのは「非常に楽しそうにプレーする選手だな」という印象だった。
少し話題がそれてしまうが、最近こうして地域リーグの試合をピッチ際で見ることが多くなっている私の中である気づきが生まれてきている。
選手の「個性」とでも言おうか、それはサッカーというスポーツ自体の技術的なものではなく、「良くしゃべる選手」「常に真剣な表情をしている選手」「声の通る選手」「レフリーとのコミュニケーションが上手い選手」といった、選手たちの人間としての「個性」のようなものを指している。
それがサッカーの試合においても「いかんなく発揮」されている事に少しづつ気がつきはじめたのだ。
私もサッカーをしていたし、そんなことを改めて気がつくのも少し変な話ではあるのだが、「観る対象」「応援する対象」として私の頭の中にいるサッカー選手たちにも、こうした人間臭い振る舞いがあるのだと気がついたのは発見でもあった。
長くなったが、こうしたサッカー選手の「個性」で言えば、野田卓宏選手は「非常に楽しそうにプレーする選手」であったのだ。
スルーパスに反応してダッシュするも追いつかず、ボールがゴールラインを割ってしまえば「ヒイェー」と声を上げ、プレー中も終始微笑んでいるようにすら見える。彼が投入されたことでVONDS市原が上手く機能し出した理由がその笑顔だけにあるはずもないが、少なくとも彼は交代出場というこのチャンスで、心を躍らせワクワクしながらプレーしていたのだと思う。
これ以上ないような派手な試合結果

レナチーニョ選手はハットトリック
後半怒涛の攻撃で一気に6ゴールを挙げたVONDS市原は、8-3という野球のようなスコアでこの試合に勝利した。
レナチーニョがハットトリックをし、この日の対戦相手であるつくばFCから今シーズン移籍してきた池田晃太選手も「恩返し」とばかりに2つの印象的なゴールを決めた。
元日本代表で「市原」に帰って来た男、山岸智選手も終盤にリーグ戦初出場を果たし、自らのダメ押しゴールで集まった「山岸サポ」の気持ちに応えた。
これ以上ないような派手な試合を終えた選手たちは、こうしてまた「サッカーの歓喜」が溢れる空間をスタジアムに集まったファン・サポーターと共感するのだ。
「歓喜空間の共感」ではなく「再会の約束」

試合後サポータエリアへ挨拶にくるVONDS市原の選手たち 彼らの「送賓」はこの後も続く
試合後私が挨拶に伺うと、祖母井秀隆代表はこう話された。
「監督も選手も、クラブスタッフも、試合の終わったあとに少しの時間を共に過ごすのは、欧州ではスタンダードなスタイルなんです。勿論ビッグクラブともなれば、限られたクラブ会員にしかそういう時間を過ごしてもらえませんが」
私はVONDS市原FCが行っている試合後の選手による「送賓」が「歓喜空間の共感」であると、このブログの中で記事に書いた。
しかし、この解釈は少しだけ違っていたことに気がついた。
彼らは何も「歓喜」だけを共感しようとしているのではない。
週末のひと時をそこで共に過ごせたこと。それを別れ際に改めて共感しながら、再びそこで出会うことへの思いにつなげているのだ。
この日の対戦相手つくばFCとは、サポーター同士もハーフタイムに「交流」していた。
そして彼らも別れ際に声を掛け合っている
「今度はチャレスタ(つくばFCのホーム、セキショウチャレンジスタジアム)で!」
サッカーの世界には出会いがあり、そこで起きたことを共感した者は仲間になる。そして仲間たちは再び会うことを誓い合うのだ。
この日VONDS市原FCのホームゲームに集まった540人が、それぞれに再会を願い、徐々にその輪を広げていく。
サポーターのヒロさんはきっと「まだまだ」と言うだろうが、私にはその未来図が素晴らしいものであるように見えている。
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