日本代表とW杯の在り方「日本サッカー近未来コラム~2022年の最期の日に~」

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日本サッカー近未来コラム~2022年の最期の日に~

今日は12月31日、

2022年も残りあと僅か。

この年が我々サッカーファンにとってどんな年であったのか、それを1つの言葉で言い現わすことが出来る人はいないかも知れない。

ある人に言わせれば「歓喜」であったろうし、またある人に言わせれば「絶望」であっただろう、それくらいに複雑な思いが多くの人々の胸に刻まれるような、難解な年だったのだ。

2022年のサッカーシーンを語るうえでは、つい先だって行われたW杯カタール大会について触れぬわけには行かないだろう。

前回ロシアで行われたこの大会で、ヨーロッパ大陸と南米大陸以外から初めて誕生した王者セネガルを相手に、日本代表チームはW杯史に残るような極端に「消極的な戦術」を見せ、そのスコアこそ0-0に終わったものの、この引き分けによって辛うじて勝ち点1を得ることが出来た。

そしてこの大会が終了すると同時に、日本サッカーにとって真(まこと)な意味でのW杯への挑戦は終わってしまったとも言える。

今年の初め日本代表がカタールへの切符を手にした時、東京の巨大なオリンピックスタジアムに集まった観客の数は、かつて常に満員となっていた頃の「代表戦」とは比べるべくもなく、その閑散としたスタジアムで行われた対インドネシア戦での勝利も、それが7大会連続となるW杯出場を決めた状況とは思えないほどに淡々としたものであった。

日本と共にアジアの代表となった8か国の中には、初出場のタイやウズベキスタン、20年振りの出場を決めた中国などフレッシュな顔も含まれ、それらの国においては俄かにW杯フィーバーが巻き起こったものの、予選開始前から日本代表のW杯出場には半ば当確が打たれているかのような状況の中、いつの間にか「絶対に負けられない戦い・・・」といった決めゼリフもすっかり過去のものとなっていた。

W杯の出場国が48か国となったことで、そこにある風景は大きく変わってしまったのだ。

欧州や南米の強豪国はもちろん、前回王者を誕生させたアフリカ大陸の代表国に至っても、グループリーグに重要な選手を登録しないまま、グループリーグを完全な「2軍チーム」で戦い、決勝トーナメント進出とともに選手登録を含めた「仕切り直し」が行われるというスタイルがこの先のW杯でもスタンダードとなっていくのだろう。

こうした強豪国の「スタンスの変化」によって日本代表の「快挙」が裏打ちされたとも言うべきではあるが、まるで1つの大会が2つのコンペティションで構成されているかのような状況に、長くW杯を見てきたサッカーファンに対しては大きな戸惑いを生んだのも間違いのない事実だ。

タイや中国からまるで「民族の大移動」を彷彿とさせるようなサポーターがカタールに押し寄せたことだけを見ても、それが興行面において一定の成功を収めたのは皆さんが十分理解するところではあろうが、日本代表がドイツの2軍チームに惜敗し、チリの2軍チームに勝利したことで得た決勝トーナメント進出という久しぶりの「躍進」も、それ自体に諸手を挙げて喜べるような心情にあるサッカーファンはほとんどいなかったし、決勝トーナメント1回戦で対戦したロシアチームが「2軍を使わず」に勝ち上がってきたチームであったことがプラスに作用し、日本代表がW杯で初めて8強入りという「快挙」を成し遂げたあとも、そのムードが大きく変わることはなかった。

既に大手メディアに対する「信頼」が失墜している現代においては、いくら彼らがベスト8という「快挙」を華々しく伝えたところで、多くの日本人はもう気づいてしまっているのだ。「W杯に夢を見る時代は終わった」と。

 

ハリルホジッチの電撃解任を受けて、多くの人々が日本代表のW杯での戦いを「重要視」し「期待」を持っていることを改めて実感した。

W杯は確かに素晴らしい大会だ。多くの人々が憧れるのに相応しい大舞台であるとも思う。

しかし、そこで日本代表がどんな戦いを見せようとも、それが日本サッカー界に大きな影響を及ぼすようでは日本のサッカーカルチャーは、相も変らぬ姿であり続けるだろう。

「戦術トレンド」がサッカーを楽しむ要素として全てのサッカーファンの欲求を満たすことに寄与出来るのか。

「世界有数の強豪国」となることで普通の人がサッカーを楽しむ環境は良き方向へと変わっていくのか。

「JFAの示す方向性」が本当にサッカーを愛する人々に向かわせるべき道を照らしているのか。

2022年大会からW杯の在り方は大転換を余儀なくされる。

私たちがイメージするW杯の姿はこの夏のロシアが見納めになるかも知れないのだ。

 

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