W杯ロシア大会の開幕を2か月後に控えた4月9日。JFAが日本代表監督ヴァヒド・ハリルホジチの解任を会見で発表するとともに、後任監督としてJFA理事で技術委員長の西野朗氏が就任することを明らかにした。
前日の夜、4月8日の段階からハリルホジッチの進退についての記者会見が行われるというニュースがネットを中心にサッカーファンの間で大きく広がっていき、私のTwitterタイムライン上もこの件に関しての発信で溢れかえっていた。
一夜明け、正式にJFA田嶋幸三会長の記者会見が行われた午後4:00を過ぎると、W杯本大会目前に下されたこの判断についての賛否が多くの人々によってされることになっていった。その関心度の高さはここ数年のサッカー界におけるニュースの中でも群を抜くものとなっており、今後もサッカーファンに限らず、スキャンダラスな事案として世間一般にも捉えられていくのだろう。
解任劇に賛否の感情すら湧かない
SAMURAI BLUE(日本代表) ヴァイッド・ハリルホジッチ監督との契約を解除 #jfa #daihyo https://t.co/O6iO7XBSiI pic.twitter.com/c5z6G3GGuo
— 日本サッカー協会 (@JFA) April 9, 2018
私はこのブログで何度も書いてきているが、日本サッカー界に漫然と存在する「日本代表至上主義」にはもう完全に嫌気がさしている。
日本サッカーに関わるその全てが、あたかも日本代表がW杯での躍進を果たす為に存在するかのような光景や風潮を目にする度に、サッカーという素晴らしいスポーツが一部の者たちに利益をもたらせる為に存在する「装置」とされているような気がしてしまい、非常に不愉快な気分になってしまう。
だから今回の解任劇についても、それ自体については賛否の感情さえ湧き上がってこない。
はっきり言ってしまえば、誰が監督であろうがどうでもいいのだ。
ただ、今回ハリルホジッチ監督が何故解任されてしまったのか。それについてだけは私なりの思いが無いわけではない。
解任理由は選手との溝?
田嶋幸三会長はその理由として「選手たちの監督に対する信頼が薄らいでしまった」「選手と監督との間に溝が生まれてしまった」というようなことを挙げていたが、こんな理由で代表監督をクビにするとは考えられない。勿論、そうした事実が無かったとは思わないし、サッカーチームの監督がチームの全ての選手達から愛されているケースの方が珍しいだろう。その起用や采配を巡っては、選手と監督は日々戦っているようなものだし、そもそも代表チームであれば選手は監督が好きに選べるという大前提があるはずだ。
とすると、このタイミングでの解任劇が起きた大きな要因としては、JFAに対して日本代表スポンサーサイドからの何らかの働きかけがあったと思った方が自然だろう。
代表人気低迷の原因はハリルに?

チケットはプラチナ化しどんな試合であってもスタジアムが満員の観客で埋まるのが、かつての日本代表戦のスタンダードな姿であった。
それがここ数年では満員になるのはW杯アジア予選くらいで、親善試合にマイナーな対戦チームを呼んでしまえばスタンドはガラガラ、地上波での生中継も視聴率が稼げない状況となっていている。そんな厳しい台所事情を忖度せずに「カネとヒト」を呼ぶことの出来るスター選手たちであっても無碍も無く斬り捨てていくハリルホジッチ監督が生じさせた損害は少なくなかろう。「伝統的」にアディダス契約選手がつけていた背番号10をMIZUNOのスパイクを履く選手がつけることになったのも、ハリルJAPANを象徴するような出来事であったのかも知れない。
しかし、現在の「日本代表人気の低迷」の原因は本当にハリルホジッチ監督にあるのだろうか。
確かにハリルホジッチはいつも厳しい顔つきをしているし、何となく近寄りがたいオーラのようなものを発している。名前も何だか覚えにくくてややこしいし、試合後の記者会見でのコメントも言い訳じみていて潔さが感じられない。
それでもハリルホジッチは日本代表を6度目のW杯出場へと導き、しかもそれを決定させた試合ではこれまで日本代表がW杯予選で一度として勝つことの出来なかった相手オーストラリアに完璧とも言える内容で完勝させた指揮官なのだ。これ以上の成果を誰が達成出来よう。
つまり昨今の「日本代表人気の低迷」の原因は、日本人がそして多くのサッカーファンがW杯に日本代表チームが出場するだけでは全く満足出来なくなってきたからなのだ。もっと言えば、日本代表チームがW杯に出場している姿を見ても、それ自体に感動する人はほとんどいなくなったと言ってもいい。
W杯出場が日本サッカー界の夢であった時代、それを目指して戦う日本代表の姿は人々の心を揺るがした。ドーハでその夢が破れ、ジョホールバルで岡野雅行のゴールが決まった瞬間には日本の全てのサッカーファンが涙を流して喜んだ。
しかし、あの時代に日本代表が果たしていた役割を現在の日本代表に求めても、それは土台無理な話なのだ。
日本代表はもう最強のコンテンツではない

いい加減日本サッカー界はこの事実に気がつくべきだ。
「日本代表が未来永劫存在し得るサッカー界最強のコンテンツではない」ことを
そしてサッカーファンもこの事実に気がつくべきだ。
「日本代表など所詮スポンサーありきの集金装置」であることを
元Jリーガー、元日本代表という経歴を持つサッカー選手がプロではない5部に相当するリーグでプレーしている。これが何を意味しているのか。
日本のサッカーは、ドーハの悲劇に泣いたあの時から四半世紀の時を経て、多くの人たちにとって欠かせないものとなってきたのだ。そこで生計を立てる人だけでなく、そこで人生を踏み誤ってしまう人も出てしまうほどにサッカーは日本社会において徐々に浸透してきている。
そうした人々の欲求を満たすコンテンツが4年に一度しか訪れないW杯であるわけがないし、これからはもっとその傾向が強まっていくだろう。
W杯本大会直前であろうが開催期間中だろうが、代表監督のクビが切られるケースはこれまでにもいくらだってあった。繰り返すがだから私はそのこと自体に賛否のどちらの考えもない。
ただ今回の解任劇で、日本代表という唯一無二のサッカーチームが、本当はそこまでの価値を見いだすべきものではなかったことは明らかになったであろう。
「日本代表の強化」
この言葉が持つ本当の意味が、奇しくもそれを口実にしカネにおもねることで存在してきた組織の側の言葉によってはっきりと伝えられた。
かつて我々の希望の星だった日本代表チームは、たかられるだけたかられて、もはやその実態すら危うい状態になり下がってしまったのだ。
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