「スタジアムへの集客もJリーグサポーターの役割」
こんな言葉が聞かれるようになったのは、ほとんど全てのJリーグスタジアムが満員となることが稀で、ここ数年に関して言えば僅かに増加傾向にあるものの、新しいファン層の獲得について目立った成果を感じられない現状があることにも起因している。
Jリーグのスタジアムへ集まる観客の平均年齢は年々上昇傾向にあることは、一定数の固定ファンが存在することを意味しているが、その傾向が強くなればなるほどスタジアムが「熱心なJリーグのコアファン・サポーター」だけの居場所になっていっていることは危惧すべき課題でもある。
「集客もサポーターの役割」の話の前に

「集客もサポーターの役割」
この言葉の意味するところが正確に理解されないまま独り歩きしてしまっている風潮を感じるので、今回はこの言葉についての私なりの解釈をここで述べさせてもらうが、その前にひとつの大前提を確認しておきたい。
あなたはJリーグをこの先もずっと楽しんでいきたいですか?
この問いに対して必ずしも同意しないという方にとっては、ここから先に書いたことは無意味なものになる。つまり「集客もサポーターの役割」について話すとき、それが原則的にはこの問いに対してコミットされているという前提条件が必要なのだ。
私はJリーグに限らず、プロスポーツが追求すべき哲学の根本はその永続性にあると考えている。
かつてJリーグ創設時のオリジナル10のクラブのひとつであった横浜フリューゲルスが「消滅」したような事象は本来あってはならないことだ。
地域密着というJの理念を考えた時に、それが指すものは地域コミュニティの創造であると言ってもいい。週末ごとにスタジアムへ集まり、そこでサッカーを通じた人と人との繋がりが作られる。人々の生活の中で起きる喜びや哀しみを共感したり、リセットさせたり、そうした「場所」としてJリーグクラブがしっかり機能を果たす事こそが、Jリーグの掲げる地域密着という理念の目指す姿であろう。
人々の生活が多様化し、同じ生活圏に暮らすもの同士であっても共有、共感できる機会が少なくなってしまった現代社会において、新たに地域をつなぐコミュニティとしてサッカースタジアムの存在価値は今後必ず高まっていくはずだし、それだからこそ突然にしてその場が消滅してしまうような事態は避けなくてはならないのだ。
Jリーグは「プロ」と「福利厚生の実業団」との狭間にある

Jリーグがプロのスポーツリーグである以上、それを維持・存続させていく為には経済的な基盤が安定していることは欠かせない要素だ。
こう書くと何を当たり前のことをと思われてしまうかも知れないが、改めてそう言いたくなるほどにJクラブの台所事情は総じて楽な状態にはない。
もともと大企業の福利厚生の一環としてスタートした「実業団スポーツ」の世界が、プロとなったJリーグにおいて一掃されたわけではなく、実業団時代の赤字体質から全く脱却していないクラブも少なくない。Jクラブライセンスに3期連続の赤字決算の場合交付されないルールがあることで、見た目では赤字となっていなくても実際は「責任企業」からの資金投入で帳簿上だけが黒字となっているケースも存在する。
こうした「プロ」と「福利厚生の実業団」の狭間をいくようなクラブ運営では、いつその「命の綱」が絶たれても不思議ではない。実際にバブル崩壊、リーマンショックといった経済危機に際しては、多くの実業団スポーツが消滅していったのだ。
そうしたJリーグの在り方を唯一変えられるとすれば、それは観客動員に尽きると私は考えている。と言っても、年間のホームゲームがわずか20試合程度のJリーグにおいて、その入場料収入がクラブの生命線になるなどと私は思っていない。勿論それでも現状で1,000人の観客さえ集めるのが難しい状況にあるJ3のクラブにとっては、それが10倍になれば大きな収入源となるのも事実であるが、私は観客増という現象が入場料収入以上の価値を生み出す要素があると考えている。
観客でいっぱいになったスタジアムにこそ最大の価値がある

観客がほとんど入っていない閑散としたスタジアムで行われているJリーグの試合と、立錐の余地もない程の人々で埋め尽くされたスタジアムで行われているJリーグの試合を比較すれば、間違いなく後者にこそその価値を周囲に強く印象づけることが出来るだろう。
例えそれがトップカテゴリーの試合ではなくても、それが優勝決定戦でなくても、スタジアムに沢山の人々を集めている時点でその試合には一定の価値が付加されるのだ。
人は人を呼び、人の集まるところには必ずカネも集まってくる。
半ばボランティアのような気持ちで資金援助していた広告企業であっても、一杯になったスタジアムが毎度のように続いていれば、そこに大きなメリットを見いだすのは明らかだし、もっと言えばそれまで全くつながりのなかった企業がそこに参入したいと思わせる動機つけにも繋がっていく。
選手達の年俸だけではなくクラブ運営に従事する職員の待遇も良くなれば、サッカークラブ経営のエキスパートが次々に誕生する土壌も出来ていくだろう。(現状では薄給過ぎて人がいつかない「ブラック業界」でもある)
そうしたプラスの循環、クラブ経営が盤石化していくような流れを生み出す「装置」として観客動員こそが非常に大きな意味を持っていると私は考えている。
では、そこから何故「集客もサポーターの役割」といった言葉が出てくるのか。
それについては、この続編で説明していこうと思う。
「集客もサポーターの役割」を正確に捉えればその重要性が理解できる【後編】はこちらから!
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