Jリーグクラブライセンス制度 重要なのはスタジアム建設ではなく観客動員力

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都営三田線の志村坂上駅からほど近い場所にある小豆沢体育館。ここは板橋区の公共施設であり、トレーニングジムや会議室、武道場などが併設され、いわゆる「街のスポーツセンター」といった風情を強く印象づける小さな体育館だ。

この「小さな」小豆沢体育館を本拠地としているのが、現在B3リーグに参加している東京エクセレンス。2016-2017シーズンをB2リーグで戦い、千葉ジェッツや栃木ブレックスもいるB1リーグに昇格するだけの成績を残しながらも、彼らは次年度となった今シーズンをプロ・アマ混在のB3リーグで戦っている。そしてそこで仮に優勝したとしても来シーズンのB2リーグ昇格は叶わない立場にある。

Jリーグ理念も踏襲しているBリーグ

この日も見事な逆転でその勝利を飾った東京エクセレンス

Jリーグの初代チェアマンである川渕三郎氏の剛腕によって「ふたつのトップリーグ」が存在するという異常な状態からの大変革を求められた日本男子バスケットボール界。その結果として誕生したBリーグは2015年の創設から僅かな期間で一定の成果を見せ始めている。

その成果の中でも最も大きな意味を持つとされているのが、その観客動員数の増加だ。

Bリーグ全体ではもちろん年を追うごとに観客が増加傾向にあり、船橋アリーナを本拠地としている千葉ジェッツは毎試合5,000人以上の観客を確実に集めるまでに一気に成長を遂げた。

こうした状況をBリーグが迎えたのには、様々な変革と取り組みがドラスティックに行われたことの表れといってもいいのだろうが、その具体的な手法については先行のプロスポーツリーグであるJリーグの理念が少なからず反映されている。

Jリーグクラブが「クラブライセンス制度」によって厳格にその資格を審議されているのと同じように、Bリーグにも「クラブライセンス制度」が2017年から適用され、各チームはそこで決められているライセンス交付条件に沿ったチーム運営を行うことが課せらることになった。

東京エクセレンスがB2やB1でも戦えるほどの戦績をおさめながらも、今シーズンをB3リーグで戦うこととなった原因はまさにここにある。小豆沢体育館はB1はおろか、B2リーグのライセンスに見合うだけの収容人数をも満たしていないのだ。

現状、東京エクセレンスは板橋をホームタウンとしていく場合、いくらリーグ戦で好成績をおさめようともB2リーグにすら昇格することは出来ないし、将来的にも何ら見通しが立っていない。これは頼みの綱であった板橋区がB2リーグ開催規模である3000人収容クラスのアリーナ建設を断念したことに起因している。

J3リーグのブラウブリッツ秋田やアスルクラロ沼津が現在直面している「スタジアム問題」と同じような構図がBリーグにも存在するのだ。

アスルクラロ沼津の改称計画

アスルクラロ沼津のホーム 愛鷹広域公園多目的競技場

先日、スタジアム問題の出口が一向に見いだせないアスルクラロ沼津が、それに業を煮やしたかのようにクラブ名の改称、つまり沼津だけをホームタウンとしない計画があることを明らかにした。

アスルクラロがホームタウンエリアを拡大するとなれば、隣接する街をホームタウンとしているサッカークラブにとっては、その存続をも脅かすことに繋がりかねない。

こうした背景があることからも、今回のアスルクラロの計画に対しての風当たりは決して弱くない。

しかしそうした背景があったとしても、アスルクラロの未来を切り開くためには沼津だけをホームタウンとする現在のクラブの在り方では既に限界点に達しているのだとも思う。

沼津市の人口は僅か20万人足らず。私が以前このブログで書いた「Jクラブは100万人の人口にひとつが適正」という「暴論」に沿って考えてみると、その人口規模がJクラブのある街としてはかなり背伸びをしている状態にあると言うことも出来る。

仮に沼津に加えて隣接する富士市、三島市の人口を合わせたとしても、その数は50万人を僅かに超える規模。これではJ2クラブライセンスの定める10,000人収容のスタジアムを毎試合満員にするのはかなり困難であろう。

重要なのはスタジアム建設ではなく、その先にある観客動員力

私はクラブライセンス制度の定めるスタジアム規定において最も重要なのは、その収容人数ではなく、それが定めるキャパシティのスタジアムを常に満員に出来るかどうかにあると思っている。つまり、アスルクラロが行政の協力を受け愛鷹の芝生席部分を全て座席に改修しても、あるいは、沼津市や富士、三島といったエリアに新たな15,000人収容のサッカースタジアムを建設したとしても、そこで見られるのが毎試合閑古鳥では全く意味がないどころか、その時こそがクラブにとって本当の危機だと思っている。

プロスポーツクラブの価値を唯一見いだせるとすれば、私は観客動員力に尽きると考えている。

どんなに高いレベルの選手、高いレベルの試合を見せることが出来ても、それにカネを払って見に行こうとする人が継続的に存在しなければ、プロスポーツは成立しない。

こうした概念は、Jクラブは当然としてもそれを見守るファン・サポーターも持っていた方がいい。

「昇格」や「優勝」という要素をメインコンテンツとせず、そこにある日常の風景としてのサッカースタジアムが常に盛況でない限り、そのクラブが未来永劫存在し続けるという担保は得られていないようなものだ。

そういう意味では、アスルクラロのようなクラブが戦うステージとして適しているのがもしかしたらJ3ではなくJFLや東海リーグであると考えるべきなのかもしれないし、チームの戦績だけではなく、愛鷹に毎試合どれだけの観客が集まったのかにこだわり、それを自分たちがより高いステージへステップアップしていく指標として捉えていくことも必要かもしれない。

プロスポーツクラブの価値は「観客動員力」にあり、それなしにはクラブが長く存在し続けることは出来ない。

B3を戦う東京エクセレンスは1,000人収容の小豆沢体育館を一杯に出来なくなってきている。

これを全て「新アリーナ建設断念」という決断をした板橋区の責任としていてはいけないだろう。現状で彼らには観客を1,000人集めることも難しいのは事実であり「昇格」というコンテンツが無ければ、その程度の魅力しかなかったと受け入れた方がいい。

2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

まだ始めたばかりのブログではありますが、よろしければ、「ラーテル46.net」も併せてお楽しみください。

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