「スペリオ城北」規格外の観客動員力 東京都2部にある気楽で幸せな空間

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「・・・寄ってく?」

ハーフタイムにスタンドから表の通りに出て一服していた時、目の前を自転車で通り過ぎる父親が息子に対してそう言った。

スペリオ城北。東京都2部の凄いチーム

ここは赤羽スポーツの森公園競技場。この小さなスタンドがついた人工芝ピッチの「スタジアム」は、東京の「城北地区(北・板橋・豊島・荒川・足立)をホームタウンとする東京都社会人サッカーリーグ2部で戦うスペリオ城北の本拠地だ。

この日行われていたのは東京都2部の開幕戦。「スペリオ城北対丸紅」の一戦だった。

「東京都2部に凄いチームがある」

こんな風なニュアンスでスペリオ城北の存在を知ったのはつい数か月前。完全なオフシーズンの最中で、それを確かめたくても確かめられるチャンスを逃していた。しかし、この日ついにスペリオ城北のホームゲームを自分の目で見る機会がやってきたのだ。

信じられない観客動員力

スペリオ城北が「凄い」と話題になる時、真っ先に挙げられる理由がその観客動員力だ。

東京都リーグといえばそれが例え1部の上位対決であったとしても、必ずしもスタンドのある会場で試合が行われている訳ではない。これは何も東京都リーグに限った話ではなく、全ての都道府県リーグにしても同じことが言えるはずだが、地域リーグは「興行」としての姿を求められていないし、実情としても上位カテゴリーへチームを送り出す「仕組み」「機能」としての姿がそこに漫然と存在する。

それであるから、リーグ公式戦に大勢の観客が集まることを連盟側もチーム側も期待しないどころか想定もしていないのが普通で、これは都道府県リーグの上位カテゴリーにあたる各地域リーグ(関東リーグがこれにあたる)であっても同様の傾向が見られる場合が多い。

地域リーグや東京都1部ですら試合会場にチーム関係者しか集まっていないようなケースすら存在するのに、スペリオ城北のホームゲームでは500人収容の赤スポが満員になる日もあると言うのだ。こんな俄かには信じられないような光景が見られるかも知れない。私はそんな思いを持って赤羽へ向かった。

噂は本当だった

クラブマスコット「スペロくん」 クラブエンブレムにお稲荷さんが使われているので、キツネですね。

東京サッカーの聖地「西が丘」から目と鼻の先のエリアにある赤羽スポーツの森競技場。

南葛SCサポーターの方の車に便乗させていただいて、試合開始1時間前にはそこに到着した私たち。この日は19:00キックオフのナイター。まだ日暮れを迎えるくらいの時間帯だったが、早速スタンドにあがるとそこにはまだ人もまばら。スペリオ城北サポーターの方々が横断幕の設置などをしていた。

そんな中、信じられないことにサポーターの方からこのゲームの「マッチデーチラシ」を受け取る。上質な紙にカラー印刷されたその両面チラシには対戦相手丸紅の情報、予想フォーメーションなど基本的情報だけでなく、「スぺめし」と称した「選手やサポーターの馴染みの店一覧」から、城北地域で活動しているプロレスの情報まで盛り込まれている。

「凄いここまでやるのか」と思うと同時に「ちょっと過剰なのでは」という思いが頭をよぎったのも事実だったが、これが思い違いであったことをその後私は思い知らされる。

試合が始まる19:00近くなると赤スポのスタンドには本当に人がどんどん集まってきた。子どもから老人まで、そして男性も女性も、あらゆる人たちが1人もう1人と「馴染みの店」に入ってくるかのようにスタンドに自分の居場所を確保していく様子は衝撃ですらあった。最終的にスタンドを埋めた人々の数は目算で6割くらいだっただろうか、それでもサッカー場独特の「にぎやか」なムードが間違いなくそこあり、サポーターが配布する「マッチデーチラシ」に目を通しているのだ。

私を次々と襲った衝撃

Ustream試合中継 解説は松田勇希さん(中央)、カメラは銀さん(右)、スタジアムDJは割さん(左)

この日私はスペリオ城北から、赤スポから、次々と衝撃を受け続け、正直にいうと未だ頭の中できちんと整理が出来ていない。その為、上手く文章でまとめていく自信がないので、特に衝撃を受けた点を箇条書きさせていただく。

  • サポーターによる「生スタジアムDJ」
  • 選手入場時に登場したスタンドの中央部分を全て覆うほどの大きさのビッグフラッグ
  • クラブマスコットとエスコートキッズの登場
  • Ustreamによる試合の生配信
  • 試合開始前やハーフタイム、試合終了後に流れていた「スペリオ城北応援ソング」

これらは、Jリーグのスタジアムなどでは当たり前に存在するものかも知れないが、東京都2部の試合会場で遭遇すると、それぞれがもの凄いインパクトを持っていることに改めて気がつかされる。クラブ側以上にサポーター達が「スペリオ城北のホームゲーム」を価値のあるものにしようとしている姿には、サッカー場にあるべき本当の姿が存在しているようにも見える。

何しろ彼らは赤スポでスペリオ城北を思い切り楽しもうとしているし、そこに集まる人たちにとっても、試合そのものをより楽しむ要素として「生スタジアムDJ」の叫ぶゴールアナウンスを求めているようにも感じられた。

もちろん、スペリオ城北の戦いぶりも非常に魅力的なものではあったが、「それだから」これだけの人々が赤スポに集まっているかと言えば、そうは言いきれないだろう。恐らく「選手」と「応援する側」とが互いに刺激をしあって、クラブが創設された2005年から13年の時を経て今ある環境を作り上げてきたのであろう。

気楽で幸せな空間

冒頭で書いた親子は、自転車をゴール裏にある自転車置き場へおいて、そのまま後半からスペリオ城北の試合を楽しむことに決めた様子だった。

犬を膝にのせコンビニで買ってきたお弁当をモグモグしながら、ネット越しに熱心に試合観戦をしている人の姿もあった。

試合が終わると解放される人工芝のピッチには、スペリオ城北の見事な開幕戦勝利を見たばかりで少し興奮気味の子どもたちが思い思いにボールを蹴っていた。

このクラブが経営面でどんな状況にあるのか私はまだ知らない。

ただ、間違いなくこのクラブは地域の人たちにとって「ちょっと寄ってく?」と言われる場所になっている。この気楽さに何とも幸せな気持ちにさせられてしまうのは私だけであろうか。

そう、スポーツは、サッカーは、本来気楽な存在であるべきなのだ。そこに大きな歓喜や絶望は無いかもしれないけれど、人間の人生だって本当はもっと気楽なものであるのかも知れない。

スペリオ城北公式サイトはこちらから

2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

まだ始めたばかりのブログではありますが、よろしければ、「ラーテル46.net」も併せてお楽しみください。

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