B.LEAGUE千葉ジェッツの試合を船橋アリーナで観戦するという経験は、いちサッカーファンである私に対して本当に様々な思いを突き付けてきた。
前回の記事では、何故世界的に「取るに足らない」存在とも言える日本バスケットボールのプロリーグが毎試合満席に近い観客を集めるだけのコンテンツになり得ているのか、その人気の理由がどこにあるのか、それを私の視点からいくつかのポイントで挙げてみた。
- 最寄駅からの導線案内が丁寧
- 無料で赤いTシャツを配布している
- 物販が非常に充実している
- 託児所がある
- 綺麗にしている女性が多い
- それも含めて女性客が多い
- アリーナにいる間、ひと時も飽きさせない演出
- 試合への「参加」が簡単
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たった一度、しかも観戦したのがB.LEAGUEでもその人気が屈指とも言われる千葉ジェッツのホームゲームであったことで、これらの全てが必ずしもB.LEAGUEのアベレージだとは思っていないし、それはDAZNで他チームの試合の配信映像を視聴しても感じるところではある。
しかし、少なくともB.LEAGUEには船橋アリーナという明確なモデルケースが存在しているというのも事実であろう。チームのホームタウンの条件によっては100%真似することに意味はないのだろうが、そこに存在する核心部分「ポリシー」のようなものは共有されているはずだ。
私が感じた千葉ジェッツ集客のポリシー

私は試合会場で販売されていた「千葉ジェッツの奇跡(Bリーグ集客ナンバー1クラブの秘密)」という書籍を購入した。千葉ジェッツの島田慎二代表の著作であるこの本を未だ読めていない段階なので、私が感じ取った千葉ジェッツの集客における「ポリシー」と実際に彼らが目指しているものとが違うのかも知れないが、それでも敢えて今回その点について書かせていただきたい。
前回の記事で私が挙げた千葉ジェッツ人気の理由は上記の8点。
これをもう一歩深く考えていくと、千葉ジェッツの集客する上での核となっているポリシーはずばり「女性ファンの獲得」であるように私は感じている。
こう書くと、バレーボール日本代表の国際試合のような人気アイドルを餌にする手法を思い浮かべてしまうかも知れないが、基本的なスタート地点はあの世界観と似ているのかも知れない。
しかし決定的に違うのは、バレーボールが「臨時営業」であるのに対してB.LEAGUEは「通常営業」であること、そしてバレーボールが「観客に人気アイドルという明確な目的を持たせている」のに対してB.LEAGUEが「その空間にいること自体を目的とさせている」ということだと言えよう。
そこにいたいと思えるような空間づくり

「女性がそこににいたいと思えるような空間づくり」
これこそがB.LEAGUEの集客ポリシーであるように感じるし、その成果は十分に出ていると言えるのではないだろうか。
プロスポーツの世界で最も重要なのは「集客」に限ると私は思っている。
どんなに競技性の高い試合や大会が行われていたとしても、その現場である試合会場に観客が集まっていないのでは「プロ」としての価値はない。それは何もその日の入場料収入の面だけを言っているのではなく、画面や画像を通してそのスポーツと触れる人にとっても「ガラガラ」であるより「一杯」になっている方がより高い価値を見いだすだろうし、多くの人々が価値を見いだすスポーツだからこそ投資の対象としても価値を持つ。
つまりB.LEAGUEのように「世界最高峰」のリーグと全く言えないコンテンツであっても、しっかりと「集客」が出来ていれば「プロ」として成立するための最大の関門を突破しているようなものだ。
B.LEAGUEは一過性のブーム?

私はサッカーファンなので、サッカーの話に戻そう。
Jリーグでも全ての試合会場が観客で一杯になっていた時代があるので、現在のB.LEAGUEの姿を見て「どうせ一過性のブームだろう」と思われている方もいるだろうし、実際にそういう末路が待っていないとは限らない。これは偏見を承知で書いてしまうが、元来女性にはそうした流行やブームを楽しんでしまう傾向もあるような気もする。しかし本当にB.LEAGUEは単なる「流行」や「ブーム」なのだろうか?千葉ジェッツであればスター選手である富樫選手がいなくなってしまえば、集客は一気に落ち込むのだろうか?
私にはどうしてもそうは思えない。おそらく現在B.LEAGUEに集まっている女性ファンは「そこにいること自体」を楽しんでいる。つまりB.LEAGUEは彼女たちに新たな「居場所」を提供しているようにも見えてくるのだ。
これは「集客」つまり「沢山の人を集める」という目的を果たすうえで、非常に大きな要素だとは言えないか。
Jリーグは「そこにいたいと思える空間」が提供出来ているのか

私が柏レイソルのホーム「日立台」へ通うようになった最も大きなきっかけは、そこに妙な居心地の良さ、自分の新しい居場所を見つけたような新鮮な気持ちが生まれてきたからに他ならない。
私自身はもともとサッカーが大好きだったし、子どもの頃からスタジアムへ行くのも好きな少年だったので「日立台」に魅せられ、そのままレイソルサポーターに「なるべくして」なってしまったとも思っているのだが、では、Jリーグはより多くのファン層を拡大していくという大目標に向けて、新しいファンに対する「そこにいたいと思える空間づくり」が十分に出来ていると言えるのだろうか。
「新しいファン=女性ファン」とは言いきれないとしても「新しいファン=サッカーを知らない人」という構図は成り立つかも知れない。
ではそうした「サッカーを知らない人たち」でも「そこにいたいと思える空間」にJリーグのスタジアムはなっているのか。
スタートから四半世紀が経過したJリーグにはその25年という歴史が否応なしについて回る。
そこにはJリーグ文化として一層深みを増していくものがある一方で、ともすれば「同好の士の集まり」「排他的なムラ文化」が出来てしまっている側面も無視できない。
これはJリーグの運営側にもそうした「ムラ文化」に埋没してしまっている甘えを感じるし、そこに既に存在する多くのファン・サポーターの姿勢にも感じることだ。
チームが勝てない状況が続くと、ブーイングや口汚いヤジが当然のごとくスタンドから発せられ、場合によっては「応援放棄」をするゴール裏も存在する。
指定席のチケットを購入したのにも関わらず、その席にコアサポーターが陣取ってどいてくれないという事案も先日あったばかりだし、人種差別行為なども頻繁に発生している。
もちろん、こうした事象がスタジアムの全域に存在するとまでは言わないが「ゴール裏は特別だから」という発想自体、「サッカーを知らない人」には理解出来ようはずもない。
こうした状況を顧みても、Jリーグのスタジアムが新しいファンになるべく人々にとって「そこにいたいと思える空間」足り得ているとは到底思えない。
JとBのギャップの核心
プロスポーツとして「集客」が最も重要だということ。
そして「集客」という目的を果たす為には新たなファン層に対して「そこにいたいと思える空間」の提供こそがポイントだということ。
私がB.LEAGUEを初めて現場で体感して、Jリーグの現状との大きなギャップを感じたのは結局この部分だった。
日頃通っている日立台だけでなく、どこのサッカー場に行ったところで私自身は楽しめていたとしても、ではそれをどれだけ多くの人に「共有してもらえる」と思うことが出来るか。
人を選ばず誘うことが出来そうな魅力をB.LEAGUEは間違いなく手にしつつある。
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日頃あまり人の目に触れることの多くない下位カテゴリーの試合画像を中心に、私が試合会場などで撮影した画像をまとめたPHOTO GALLERYです。

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首都圏、関東圏を中心にJリーグから都県リーグまでの試合日程を記したカレンダーを作成しました。是非とも現地観戦のご参考に!

2017年9月から、私が開設しているブログがあります。
ブログタイトルは「ラーテル46.net」
こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。