前回このブログで、柏レイソル対セレッソ大阪戦で発生した「キム・ジンヒョン騒動」についての私見を書かせていただいた。
Jリーグに人種差別があってはならないという大前提のもと、それが何故あってはならないのか、差別が憎悪を生み、憎悪が争いと破壊をもたらせる可能性への想像力とサッカーファンひとりひとりが「反差別」の認識をしっかりと持っていく必要があるというのがその主旨であったが、では自分自身、柏サポーターとしての私が今後具体的にどういったアクションを起こしていくべきか、それについても書いてみようと思う。
関連記事はこちらから『柏ゴール裏からキム・ジンヒョンに向けた「人種差別行為」が無かったとしても』
この1年で少なくとも2度の「未遂」があった
https://twitter.com/MIMORIAN0915/status/972697820686819328
私が柏レイソルを応援しだしたのは2017年の4月からなので、サポーター歴はわずか1年足らずという新参者だ。
それでも、ホーム日立台で行われた試合は昨シーズンのルヴァンカップの2試合以外は全て現地で観戦しているので、20回以上あのゴール裏「柏熱地帯」にいたことになる。
その20試合の中で、今回の「キム・ジンヒョン騒動」のように表面化しなかったものの、サポーターの人種差別行為について疑いのあった事案が2度あった。
一度目は2017年11月18日に行われたJ1リーグ第32節「対ジュビロ磐田戦」で、試合終了後ジュビロの川又堅碁選手がTwitter上で柏ゴール裏からアダウイトン選手に対して黒人差別と取れるような行動があったことをコメントした。このツイートはほどなくして削除されたので、それほど大きな話題にはならなかったが、私自身は「これが川又選手の思い違いであってくれ」と願うような気持ちをもった記憶がある。
二度目は今年になってからの試合だ。
2月20日に行われたACLグループステージ「対天津権健戦」でのこと、天津のフランス人ストライカー、モデスト選手が試合中に柏ゴール裏をしきりに指差し、レフリーに何か訴えている様子が確認できた。
今季のACLではゴール裏1階が入場禁止となっており、サポーターは全員2階部分で応援している。モデスト選手はあの時明らかにその2階部分を指さしていた。そして彼もアダウイトンと同じく「黒人選手」である。
結果的にレフリーがこれを全く取り合わなかったので、あのシーンはあの日あの場にいた人たちだけの記憶に残ることになったかも知れないが、私はACLという国際大会でもしサポーターの「人種差別行為」が認められようものなら、どんな処罰が待っているのかと試合を見ながらも本当にヒヤヒヤする思いだった。
こうして僅か半年の間に2度もの「未遂」があったことを私も認識していたので、今回の「キム・ジンヒョン騒動」は起こるべくして起こった側面があると思ってしまうのだ。
Jリーグは「反差別」を主張する。ではサポーターは?
「JFA リスペクト フェアプレー デイズ2017」を設置(9/1~10) #jfa https://t.co/ShgWyPSCOi pic.twitter.com/sCYRWInmf3
— 日本サッカー協会 (@JFA) August 15, 2017
こうした情報は、間違いなくJリーグで戦う選手たちの間では認知されているはずだし、場合によっては「柏のゴール裏をちょっと挑発すれば人種差別行為をしてくる」というような捉え方をしている選手も出てくるかも知れない。
キム・ジンヒョンの件が「クロ」であろうと「シロ」であろうと、あの瞬間にゴール裏を覆っていた「憎悪」の空気感が今後も事あるごとに顔を出していくのだとすれば、いずれ大問題へと発展するような事件が起きても少しも不思議はない。
Jリーグは「あらゆる差別を認めない」という主張を一貫して発信している。私から見ればそれでも毅然とした姿勢をはっきりと示したのは「Japanese only」の無観客試合裁定くらいだと思ってはいるものの、それでも「反差別デー」などを設けるなどしてその意識向上を促す姿勢は見せている。
では私たちファン・サポーターはどうすればいいのか。
ひとりひとりの人間の頭の中から「差別思想」を一掃することなど不可能だ。私だって無意識のうちに人を人種や宗教などで差別してしまっている時はあるし、人間にはもともと差別をするように出来ている気もする。
ならば、積極的に「反差別」の気持ちがあることを発信していってみてはどうだろうか。
「反差別」を具体的なアクションで示していこう
No government can put an end to this racism, no matter what the rule does, the law does not change the chauvinist state only when the law does its duty pic.twitter.com/FO3CwydcHr
— Mohamed Anwar (@AnwarMPC) March 5, 2018
スタジアムで隣になった人が「おい!チョンコロ!!」と叫んだとして、それに対して「ダメですよ」と言うのは勇気がいることかも知れないが、「NO RACISM」「人種差別反対!」と書かれたゲーフラを掲げることならもしかして出来るかも知れない。
昨今のようにTwitterなどのSNSで主張を広く伝えていく手段もあるのだから、自分自身が人種差別に反対していること、そしてそれが何故いけないと思うのか、そうした思いを声高に叫ぶことならスタジアムで何らかのアクションを起こすよりもハードルは低いだろう。
客観的に「人種差別はいけないんだよね」と言うのではなく、「私は人種差別に反対です」という意思表示をしていくこと、そしてそうしたアクションが決して特殊なものとして周囲に受け取られない状況へと進化させていくこと、これこそが「Jリーグにはあらゆる差別が存在してはいけない」という理想へと近づいていく唯一の道なのではないだろうか。
「決まりごと」だからではなく「自分がそう思うから」
これが持つエネルギーはルールに従う受動的な姿勢に比べてはるかに大きなものになっていくだろう。
よろしければこちらも!

日頃あまり人の目に触れることの多くない下位カテゴリーの試合画像を中心に、私が試合会場などで撮影した画像をまとめたPHOTO GALLERYです。

私が撮影したJ.LEAGUEのフォトギャラリーです。基本的にJ2リーグ、J3リーグのみをまとめてあります。

首都圏、関東圏を中心にJリーグから都県リーグまでの試合日程を記したカレンダーを作成しました。是非とも現地観戦のご参考に!

2017年9月から、私が開設しているブログがあります。
ブログタイトルは「ラーテル46.net」
こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。