「いよいよセルジオ越後さんも焼きが回ったかな」
彼がサッカーダイジェストWEBに定期掲載しているコラム「セルジオ越後の天国と地獄」を読んでいてそう感じた。
「日本サッカー界のご意見番」セルジオ越後
セルジオ越後さんといえば、その歯に衣着せぬ「辛辣な」日本サッカー批評が代名詞とも言えるサッカー界のご意見番として常にその最前線を行く存在として世間的に認識されているが、その対象は常に日本代表かJ1リーグという日本サッカー界における「日の当たる場所」ばかりで、現在のサッカー界が54ものJクラブにまで広がり、JFL、地域リーグといったコミュサカの舞台でプレーする元Jリーガー選手が珍しくなくなっているこの時代に、そうした「日陰」のサッカー世界の存在がまるで無きものであるかのような言説に私は少し前から違和感を感じていた。
そして3月7日に配信された「25回目の開幕を迎えたJリーグは話題性に欠けるね」を読むに至って、彼が「日の当たる場所」だけを今後の根城として考えていることについて、私は確信に近いものを感じることになった。
セルジオ越後「J1はクラブ数を削減すべき」
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— サッカーダイジェスト (@weeklysd) March 7, 2018
この回のコラムにおいてセルジオ越後さんは今季25周年を迎えるJリーグのスター不在、人気の低迷を嘆き、それを解決するアイディアとしてJ1のチーム数を10~14に削減するべきといった意見を述べている。
本文の一部を引用するとこんな言説だ。
25年の歩みを振り返れば、僕はクラブ数を増やしすぎたことに問題があったと思うんだ。選手の受け皿が増え、地域活性化につながった点はポジティブに捉えたい。でも、各クラブが観客を取り合う状況にもなっている。J3のゲームでは1試合あたりの観客動員数が三桁のこともあるからね。財政状況は非常に厳しいものになっているよ。
今さらレギュレーションを変えるのは難しいが、僕はJ1を10~14チームで編成するのもひとつの手だと感じる。そうすれば、1クラブへの注目度は増すからね。
サッカーダイジェストWEBより引用
確かに2013年にJ3が創設されたことについては、私もJFAに確固たるポリシーがあったのか疑問を持っているので、セルジオさんが語る「財政状況は非常に厳しいものになっている」という部分について、何ら異議を唱えるものではないし、選手の多くがサッカー選手としてだけでは生計を立てることが出来ず、クラブの職員も薄給で本来報酬を払うべき業務にまでボランティアがそれを肩代わりしているようなJ3の現状は大問題だと思っている。
しかし、それを解消する手段としてJ1のクラブ数を削減するという方法はあまりに短絡的な考え方であるし、それによって経営難に苦しんでいるJ2、J3のクラブを救うことに繋がるという理屈は成立しない。
むしろJ1のクラブ数を削減することで、J2、J3を戦うクラブは増えるわけで、J1に対する関心が高まったとしても、J2、J3への関心は今以上に下がってしまうだろう。
結局のところ、日本代表選手が選出されるような一握りのJ1クラブだけが現状より営業規模を大きくする事だけが達成されて、日本サッカー界全体の底上げや経済規模の拡大には全く繋がらないだろうし、そうした主張を大手のサッカーメディアであるサッカーダイジェストで発信しているセルジオさんの苦言も自らの飯のタネを維持させることが目的であるように見えてしまうのは私だけだろうか。
必要なのは「パイの奪い合いの回避」ではなく「パイの拡大」
記者会見後の控え室に #ワッキー
さんがいらっしゃいました。
「セルジオ越後のさわやかサッカー教室」に参加された際の懐かしいエピソードを披露してくださいました。
サッカー少年の目に戻っています。#DAZN#時代を変えろ#スポーツの新しい本拠地@wakitayasuhito@DAZN_JPN https://t.co/fl8qC8yQkk— セルジオ越後 (@sergio_echigo) February 16, 2018
それでも、世間一般の人々の中では「セルジオ越後」こそが、日本サッカー界でも最も発信力のあるサッカーご意見番として認識され、その言説には少なからず信憑性を感じる人たちも多いのかと思うと、何とももどかしい気持ちになってくる。
セルジオさんが唱える「J1クラブ削減」は、今あるパイ(関心度)の奪い合いを回避するという意味でもその必要性が伝わってしまっているが、現在の日本サッカー界が求めて行くべきは「パイの奪い合いの回避」ではなく「パイの拡大」であるはず。
セルジオさんのように既に「サッカーで飯を食っている」人だからこそ、その既得権益を守るために日本サッカーの上澄みがより潤うようなアイディアに執着するのだろうが、サッカー界にとって本当に必要なのは「サッカーで飯を食えていない」人たちをどうしたら「食える」人にすることが出来るのか、そこの部分についての取り組みであることは明らかだ。
私は日本サッカー界が完全な日陰の存在であったころから地道な少年サッカーの普及活動(さわやかサッカー教室)で全国を回っていたセルジオ越後さんのことは尊敬している。幼い頃に彼の始動を受けてJリーガーになった選手も大勢いるし、私が少年だった頃にもセルジオさんは、グランドへ来てサッカー教室をしてくれた。
しかしながら、彼の今回のコラムを読んで、もうセルジオ越後さんは完全に高みの見物をする側に行ってしまったんだな、と寂しい気持ちにもなった。
少なくともこれから先、セルジオ越後さんの言説を真に受けることのないような日本サッカー界であって欲しいし、私自身も彼の言葉が持つ意味をしっかりと吟味していきたいと思っている。
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