3月の初めにしては暖かく、すっきりとした空が晴れ渡った日曜日。
東京カップ準々決勝が行われる大井ふ頭公園第二球技場へ車を走らせた。
この球技場は自分自身も東京都4部の試合で何度も来たことがあるし、サラリーマン時代にはこの近隣にある「施設」へ良く出入りしていたので、比較的親近感のある地域でもある。
東京五輪でこの大井ふ頭公園が「ホッケー会場」として使用される関係で、段階的に改修工事が進む中、この第二球技場も今月を以て改修工事期間に入るため、今シーズンの「コミュサカ」をここで見られるのは恐らく最後の機会になってしまうのだろう。

ウォーミングアップする東京23FCの選手達
と、何となく感傷にひたりながらスタンドへと入って行ったのだが、そこで見ることの出来た3試合(第1試合は10時キックオフで、残念ながら二日酔いのダメージに勝てず観戦出来なかった)はいずれも非常に見どころのあるゲームで、1日で合計270分間もコミュサカを見たことで、私のように昨日今日コミュサカに関心を持つようになった者にとっても、選手やチーム、そしてそれを取り巻く人々から放たれるムードが、ほんの少しだけでも感じ取ることが出来たような気がする。
風晴れ渡り、風の強い大井第二
私がスタンドに入った時は、丁度第2試合「東京23FC(関東1部)対CERVEZA(東京1部)」の試合開始30分ほど前で、選手たちが人工芝のピッチの上でウォーミングアップを開始していた。
この球技場はピッチとスタンドとの間にほとんどスペースがない。そうであるためにスタンドの一番前の壁がベンチに座る選手たちの背もたれになってしまうほどなのだが、それだけにウォーミングアップ中の選手たちの声もはっきりと聞こえてくる。
この日は日中非常に風が強く、高くボールを蹴るとかなり強めのアゲインストで戻されてしまう。
こういう天候の中でサッカーをしたことがある人であれば分かって頂けると思うが、風の強い日のサッカーではなかなか集中力を保つのが難しい。風が常に自分の顔に吹き付け、蹴ったボールも予想外の方向に飛んでいったりする。場合によっては風に煽られて互いの声も聞こえにくくもなるので、私はどんなに雨が強く降っている日であっても、風が強い日よりはマシだと思っていたほどだ。
格下都リーグCERVEZAに敗れた東京23FC

ゴール裏に集まる東京23FCサポーター
そんな状況の中で、東京23の選手もウォーミングアップ中、しきりに「集中していこう!」という声を上げている。「そうなんだよ、こういう日ってサッカーしづらいんだよな」と心の中で思いつつ、今年初めて見る東京23FCが「どうやって勝つのか」そこを見ようと私は思っていた。
結果を先にいえば、東京23FCは格下のCERVEZAに後半2点を先行され、選手交代で新加入選手を投入するなどして必死に追いつこうとしたが、それも1点を返すだけにとどまり1-2で敗れてしまった。
これまでずっと東京23FCを見てきている人たちにとっては「新しい選手も入ってチームとして機能しきれていない」というのが実際だそうだ。
私の眼には全てにおいて東京23FCの選手たちが上に見えた

東京23FCにとっては新しいデザインのユニフォームを身にまとっての初戦だった。
私は昨年の暮れに関東リーグのカップ戦「市原カップ」で東京23FCを初めてスタジアムで見て、この日がそれを合わせても「2度目の東京23FC」であったので、チームとしてというよりどうしても個々の選手へを目が行ってしまう。
これは完全に私見ではあるが、私はハーフタイムの段階で東京23FCが負けてしまうとはよもや思わなかった。
両チームの選手たちの体格、ボールコントロールする際の体幹の強さ、キックフォームの美しさ、そのどれをとっても東京23FCの選手たちが全てにおいて勝っているように私の眼には見えていたのだ。
それでも、CERVEZAの選手たちはおそらく自分たちの狙い通りに試合を進め、狙い通りのゴールを奪い、最後は全員が高い集中力を切らさずに1失点を献上するだけにとどめた。
選手のこれまでの経歴なども私はほとんど知らない、というかCERVEZAに知っている選手などいようはずもないのだが、大学サッカーを非常に良く見ている方からすれば、こうした試合結果になっても不思議ではなかったそうだ。
私は「関東リーグ」という色眼鏡を掛けてこの試合を見てしまっていたのだろうか?いや、必ずしもそんなことはないはずだ。では、どうして東京23FCの選手達だけから個々のポテンシャルの高さを感じたのだろう。
仮説『「選ばれた選手」と「選ばれなかった選手」』

その理由として考えられるのは、両チームの選手たちの体格だ。
この日私が見た3試合を戦ったチームの中で、東京23FC、東京ユナイテッド、日立ビルシステム、この3つのチームの選手たちの体つきはそれぞれの対戦相手のチームのそれと明らかな違いがあったように感じる。
簡単にいえば「絞れている」いかにもアスリート然とした体形をしているのだ。
それに対して東京23FCの対戦相手CERVEZAの選手の中には、良く言えば「親しみを感じる」悪く言えば「やや締まりのない」体形の選手も含まれていたし、極端に華奢な選手もいた。その原因が両チームの練習量や頻度の違いのせいなのか、生活サイクルのせいなのか、もちろん正確なことは分からないし、そうした原因も少なからず選手達の体づくりに影響は与えているのだろうが、私はこんな風にその原因についての仮説を立てるに至った。
「選ばれた」選手と「選ばれなかった」選手の違い
東京23FCや東京ユナイテッドの選手たちは全員が完全なプロサッカー選手とは言えないかも知れないが(何人かはそうした契約の選手は含まれている)「チームから必要とされて」いない限りはチームに所属することは出来ないし、クラブが将来のJリーグ入りを目標として掲げている以上、そうでなくてはいけないチームでもある。
一方のCERVEZAをはじめとした東京都リーグのチームは、選手それぞれに「プレーしたい」という意志があって初めて成立する社会人チーム。それでも南葛SCのように元Jリーガーを補強しているようなチームはあるのだが、第3試合に登場したFC KOREAなどもまさにそうした「社会人チーム」としての色が濃く出ているチームで、選手たちは自分たちがプレーするためにおそらく東京23や東京ユナイテッドの選手たちが絶対に払っていない「部費・活動費」をチームに払っているはずだ。

「選ばれた」選手たちであるから、サッカー技術に加えてより体格に優れた選手たちである必然が生まれるし、同等の技量があっても体格面で不利な選手は「選ばれない」選手となる可能性が高くなるのではないか。
これらはそれぞれの背景をそれほど深く分かっていない人間の戯言と思って頂いた方がいいのだが、こうした部分にそれぞれのチームの違いを見いだすことが出来るのもコミュサカならではだと思うし、私の立てた仮説「選ばれた選手・選ばれなかった選手」があったとしても、必ずしもそれがそのまま対戦結果に現れないところが、サッカーの面白いところでもある。
と、いつもにも増して独断と偏見に満ちた記事を書いてしまったが、いずれにしてもサッカーはそれがどのカテゴリーであっても、必ず楽しむポイントを見つけることが出来る。
オットナー参謀長が語ったこの言葉の意味を、毎日ひしひしと感じているのだ。
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