FCバルセロナには世界中に18万人ものクラブ会員(ソシオ)が存在し、彼らソシオの会費によってチーム運営が行われていることは「地域密着クラブの理想形」として非常に良く知られている。
ちなみにFCバルセロナのソシオ年会費は170万ユーロ(約23,000円)ソシオはこの年会費をクラブに支払うことで、年間シートの購入権やカンテラ(下部組織)の無料観戦権を手にするだけでなく、クラブの会長選挙投票権までも手に入れることが出来る。世界一のビッグクラブFCバルセロナの会長は、その会員たちの選挙によって決められているのだ。
株式会社が運営しているJリーグクラブ
カンプ・ノウ×リオネル・メッシ pic.twitter.com/VtJ1hXUyKR
— サッカースゴ技特集&ニュース (@teviginaxor) January 14, 2018
こうした情報を見ると、FCバルセロナにとってソシオは「株主」のような存在であるようにも感じてしまうが、実際にはソシオから集められた会費(約23億円)はFCバルセロナの年間収入およそ800億円の中にあっては絶対の3%程度。それでもクラブが自分たちのトップを決める選挙をソシオに委ねているのは、彼らがそもそも「株式会社」ではないからだ。
翻ってJリーグクラブの現状を見てみると、現在J1からJ3に所属するクラブの全てが株式会社によって運営されている。モンテディオ山形や湘南ベルマーレのように育成組織はNPOなどの非営利法人で運営し、トップチームのみを株式会社化しているケースも見られるが、少なくともFCバルセロナのような運営スタイルを取っているクラブは存在しない。
日本社会における企業とスポーツの関係
大阪実業団駅伝結果
(個人成績のみ)☆1部
・1区(7.1km)
中川 22'03" 区間3位
衣斐 22'05" 区間4位
粟田 22'40" 区間7位
外村 23'03"
寺井 23'32"・2区(3.3km)
佐藤(泰) 12'18"・5区(3.3km)
濱出 13'21"応援ありがとうございました!#大阪実業団駅伝#GRlab#労働 pic.twitter.com/aT0w107vrP
— GRlab(大阪・兵庫・関東)驚異的 (@grlabkouhou) January 15, 2018
日本社会において企業とスポーツは長く強い関係性の下に置かれている。
戦前から存在するプロ野球についても、その実情は大企業の「福利厚生」「広告宣伝」を目的としている実業団スポーツの構造とそう大きくは変わらない。「地域密着」をうたい革新的なプロスポーツとして誕生したかに見えるJリーグクラブの中にも、もちろん大企業が「責任企業」となっているクラブは多く、プロ野球や実業団スポーツと何ら変わりがないとも言える。
こうした日本のスポーツ文化の中にあっては、それが例えプロスポーツであったとしても「株式会社」として運営されていること自体に違和感を感じる方も少ないだろう。
経営判断は株主ファースト
株式会社とは当然ながら、株主の利益を優先しその運営方針の決定がされていく。Jリーグクラブの中には大企業が赤字を見込んで資本投入しているクラブも多いので、Jクラブの株主が莫大な利益を得ているというイメージを抱きにくいが、制度も仕組みも「株主ファースト」が大原則である。
そうなると当然ながら、クラブのトップを決めるのにあたって、ファンやサポーターがそこに介入することはあり得ない。もっと言えばチームの成績や選手の獲得、放出などについてもシステム上、完全に蚊帳の外にいると言っていい。
「株式会社」としてのクラブが存続していく為には、株主こそが重要であり絶対。そしてそこで生まれた利益は株主に還元する。営利法人とは利益還元先が特定されているということでもあるのだ。
「公益性ファースト」なクラブ運営であって欲しい
録画していたクラシコ(バスケ)やっと見れる。レアルマドリードvsFCバルセロナ(バスケ)面白いなー!いい!#copa del rey #コパ・デル・レイ #スペイン国王杯 #クラシコ #レアルマドリード #FCバルセロナ pic.twitter.com/NEvaQkFz2Y
— 橋本 貴智 Hashimoto Takatomo (@0t_t_t_t0) July 7, 2014
私は日本のスポーツ界が、例えそれがプロスポーツであったとしても運営組織が非営利法人であって欲しいと願っている。
非営利法人であっても、多くの企業がスポンサーとなっていくことが出来るのは、FCバルセロナが実に良く示してくれている。営利法人と非営利法人との違いは決して経済規模によるものではない、重要なのはそこで生まれた利益が「公益性」を以て還元されているかなのだ。
「非営利=公益性」これは地域密着、地域振興を標榜するJリーグにとって、非常に相性のいい組合せと言えないだろうか。
FCバルセロナにはメッシやスアレスがプレーするトップチームを頂点とした育成のピラミッドが存在するだけでなく、バスケットボールやハンドボールなど他競技のチーム(野球まである)から、障害者や競技者指向ではない子どもから大人まで、あらゆる人々がスポーツを楽しめる環境が存在する。また、その領域はスポーツだけにとどまらず様々な文化的活動においても、地域のコミュニティーとしての価値を創出している。
もちろん、FCバルセロナの現状をそっくりそのまま取り入れることは不可能だし、こうした世界を作り出すまでにFCバルセロナは長い歴史の積みかさねが必要であったはずだ。
非営利法人は決して魔法の杖ではないが
JFLに所属しているNPO法人「奈良クラブ」をパートナーとして応援しています。
GMの矢部次郎さんを中心にJリーグ昇格を目指して活動されています。
いつの日かこの願いが「カタチ」になりますように。 pic.twitter.com/y3Phd9Fasd— 透塾 高田 (@toh0613) May 9, 2015
営利法人「株式会社」としてスポーツクラブを運営する上で、最も大きなリスクはその支援を切られてしまうことだ。バブル崩壊やリーマンショックの煽りを受けて消滅してしまった実業団スポーツチームも多かった。株主や大企業に対して長期に渡って採算の合わない事業から手を引くな!と言ってもそれでは道理が通らない。
「公益性」を追求する非営利法人としてクラブ運営をしていくことが、クラブを永続的に存在させる「魔法の杖」とは言わない。しかし、私にはJリーグが目指している理念と、営利法人で運営されているJリーグクラブの実情とが、どうしても同じ方向を向いているように見えてこないのだ。
Jリーグクラブを目指す多くのクラブが「非営利法人」であるNPOなどの立ち位置からスタートしながらも、カテゴリーを上げていくにつれ「営利法人」株式会社化していっている現状からは、日本社会においてあらゆるスポーツが企業による資本投入なしには成り立たないものになってしまっていることを如実に表している。
しかし、かつてあれ程までにJリーグ理念に反目したプロ野球の世界でも「地域密着」という言葉が使われる時代になった。
Jリーグは素晴らしい理念を持っていると思う。
あとは、その素晴らしい理念と現状との乖離(かいり)をこれからどうやって埋めていくのか、それが更なる発展をしていく上で、非常に重要な作業となっていくのではないだろうか。
非営利法人で運営されるJリーグクラブの誕生。
これが現実となった時に、日本のスポーツの世界は時計の針を大きく動かすことになるのではなかろうか。
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日頃あまり人の目に触れることの多くない下位カテゴリーの試合画像を中心に、私が試合会場などで撮影した画像をまとめたPHOTO GALLERYです。

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2017年9月から、私が開設しているブログがあります。
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