このブログでも何回か記事を書いてきた「齋藤学0円移籍」について「今そこにあるサッカーを愛せ」でお馴染みのロック総統率いる錦糸町フットボール義勇軍も黙ってはいられなかったようだ。
私の中で今回の一連の騒動がJリーグに与える影響は決して小さくはないと感じており、齋藤学のフロンターレ移籍が発表されてから約ひと月が経過した現在に至っても、私の書いた記事に対するリアクションが完全に鎮静化していかない状況を見ても、この事案を横浜F・マリノスとそのファン・サポーターがどのように消化していくべきなのか、答えが出せずにいた。
しかし今回、錦糸町フットボール義勇軍第172回配信を聴くことで、おぼろげながらも一応の答えが自分の中で導き出せた気がしている。
配信を聴かれていない方には分かりづらい部分もあろうかと思うが、その私が現段階で導き出すことが出来た「答え」について、少しまとめてみようと思う。
ロック総統とマリノスサポーターの論戦
マリノスサポーターの間では、もう今さら感のある話題ですが、あえてオファーを受けて出演しました。収穫はライト曹長の数々の発言。この一年ちょっとの間に我々には、このようなイメージが付いているのか、ということがよく分かりました。そして会話は楽しかったです。 https://t.co/Sw1UEhDnVQ
— malicia (@malicia_yfm) February 5, 2018
第172回配信のタイトルは『F・マリノスと齋藤学とゼロ円移籍』。
ゲストにマリノスサポーターを代表してモック少尉(日本のサポーター史などの著書で知られる石井和裕さん)が出演した。
齋藤学0円移籍がどうしてこれほどまでに波紋を広げ、大きな問題として捉えられてしまっているのか、モック少尉はそれに対して、この移籍が「0円移籍」であったことこそがその根幹にあるという考えを述べ、その一方でロック総統はマリノスにクラブとしての「哲学」が存在していないことこそが問題であるという考えを述べた。
モック少尉からは、マリノスサポーターが「スター選手」の流出に対していたずらに大騒ぎしているのではなく、個々の選手移籍に対して「ケースバイケース」でしっかりと判断し、今回の齋藤学のように厳しい目を向けるケースもあれば、快く送り出すケースもあるように見えているようだ。
これは確かに事実であろう。そして齋藤学の移籍に際してサポーターが非常に厳しい反応をしたこと自体には私も共感することが出来る。
しかし、今回の騒動の大きな特徴として、マリノスサポーターの怒りの矛先がクラブに向くのではなく、齋藤学とその代理人であるロベルト佃に向いていること。そこに私は大きな違和感を持ってきた。
ロック総統は、こうして選手やその代理人が「悪」とされてしまうような、あるいは意図的にそうした流れを作り出して選手を他クラブへ移籍させたマリノスというクラブに対して「崇高な哲学」が感じられずマリノスのクラブとしての求心力の低下を危惧しているのだ。
意図的に演出された「マナブのために」
【悲報】10番齋藤学の川崎F移籍でショックの小学生サポ、自室から学の存在を消す https://t.co/NQ20EAgVfI
— 蹴球アンテナ (@shukyuantenna) February 4, 2018
私はこれまでに書いた記事の中でも、クラブは齋藤学がオフに移籍する可能性が高いことが分かっていたにもかかわらず、シーズンを通して(途中で大怪我を負って長期離脱した後も)チームのプロモーションの中で齋藤学を意図的に「フラッグシップ」として使ったからこそ、この移籍がこうまで波紋を呼ぶことになったと考えている。
チームの新しい10番、新しい主将、唯一無二の選手。リーグ前半戦の活躍を見れば当然であったのかも知れないが、少なくとも齋藤学が秋のはじめに大怪我を負って戦線を離脱したのであれば「マナブのために」はやりすぎであった。
私の目には、マリノスサポーターがシーズン終盤になるにつれ、悪い意味でどんどん「ロマンチック」になっていっているように見えていた。
あれだけクラブから持ち上げられていた選手が、単年契約で移籍の可能性(当然オファーは怪我をする前にも届いていたはず)があるとはサポーターも想像出来なかったのではないか。そしてこの意図的に作りだされた「思いのすれ違い」こそがマリノスサポーターの大きな怒りを生んだ要因であり、齋藤学と代理人にその矛先が向くことに繋がったものと感じている。
「悪」はどこにもいない
RT @shukyuantenna: 柴崎岳と一緒にインタビューを受ける代理人のロベルト佃氏のロベルト感のなさは異常www https://t.co/WE2xTK8LUM pic.twitter.com/plinm099cd
— 想子@満男会 (@hiraso) January 31, 2017
選手がプレー環境を変えるために移籍することは、全く問題のないこと。
それは齋藤学のフロンターレ0円移籍についても当然そうである。
この事案について、そこに関わる選手、代理人、クラブ、そしてサポーター、これら全ての人たちのどこを探しても「悪」など存在しない。
ただし、このケースを客観的に見た時に最も得をしたのは誰だろう。いや「得」とは言い切れないかもしれない、こう言おう、最もキズが浅く済んだのは誰か?
齋藤学は今や何を言っても批難される対象になってしまった。代理人ロベルト佃はこの一件でさらなるイメージダウンを負うことになるだろうし、マリノスとの縁も切れてしまった。
そう考えると、クラブだけが大きなキズを負わずに済んでいるようには見えないだろうか。キズを負わないどころか、体よく齋藤学とロベルト佃を外に出すことが出来たと思っているかも知れない。
「齋藤学0円移籍」をプラスに転化するような姿勢を示してほしい
横浜F・マリノスサポーター、大怪我の齋藤学に送った感動の「横断幕」を知っているか https://t.co/WQ3Hc9EIx6 pic.twitter.com/Qh5fDJuMNj
— CYFOOTBALL (@CY_FOOTBALL) January 13, 2018
しかし、私はこうした騒動がJリーグからどんどん人を遠ざけているように感じられてならない。モック少尉は「サポーターはケースバイケースで判断し反応している」と述べていたが、そう思っているのはマリノスサポーターの中でも長く深く応援し続けている一握りの人たちだけに通用する理屈ではないか。
多くのマリノスサポーターは騒ぎに乗じて加勢した者たちであったろうし(でなきゃ「齋藤学死ね」とは言えない)その外側にいる一般のファンやこれからサッカーを観ようかという人々にとっては「揉めて大ごとになっている」というイメージしか伝わらない。
私自身は、マリノスがロック総統のいう「クラブ哲学」を持っていない、あるいはそれが作り上げられていないことにこそ、この問題の根があると思っているし、毎年のようにこうした騒動を繰り返すクラブにはサポーターどころかOB達も近寄らなくなっていくだろうとも思っている。
本当にこれは忌々しき問題で、どうかマリノスサポーターにはこの「齋藤学0円移籍」をいい意味でプラスに転化出来るような姿勢を示して欲しいし、これはサポーターでなくては出来ないことだと思っている。
いつか齋藤学が再び日産スタジアムのゴール裏に歩を進めた時、多くの下世話なメディアの注目が一斉に集まるその時にこそマリノスサポーターの底力を発揮すべき時だと思う。
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