「Jリーグから世界へ」世界に類をみないJクラブマスコット文化の可能性

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Jリーグマスコット総選挙2018の投票締切日2月5日を前にして行われた【宇都宮徹壱WMプレゼンツ「Jリーグマスコットを語り尽くす!」】私はそこでJリーグの新たな可能性を強く感じることになった。

写真家・ノンフィクションライターで、日本におけるサッカージャーナリストの第一人者、宇都宮徹壱さんが主催するこのイベントは、Jリーグについてのトークイベントでありながら、サッカーについての話はもちろん、選手の話さえも話題に上がらない、いい意味で「本末転倒」なイベント。

主催の宇都宮さんをMCに、ゲストもJリーグマスコット好きにはたまらない人選だったようだ。(私が以前から存じ上げていた方は1人しかいなかった)

 

「マスコットすべらない話」に笑いが絶えない会場

ヴァンフォーレ甲府の職員で、マスコット「ヴァンくん」の飼い主として名高い井尻真理子さん、Jリーグマスコットのグッズデザイナー大場理惠さん、ジェフ千葉系ブロガーで切れ味鋭い独特な視点を持ついぬゆなさん、Jリーグマスコットのイラスト漫画で多くのJリーグサポーターの心を掴んでいる漫画家千田純生さん、以上の4名がゲストになりJリーグマスコットに関するいくつかのテーマでトークセッションをしてくれたのだが、正直に言って私の想像をはるかに超えるJリーグマスコットの「すべらない話」の数々に、終始声をあげて笑ってしまうような、とても愉快なトークイベントであり、会場となった高円寺Kitenの店内がほとんど立錐の余地のない程に「Jマスコットサポ」で埋まったのも当然と言える内容であった。

選手や監督はいなくなってもマスコットはいなくならない

私自身はJリーグマスコットに対して特別に強い思い入れがある方でないが、それでも日立台で出会う柏レイソルのマスコット、レイくんを見ているとついつい笑顔になってしまう。

試合そのもの、もっと言えばレイソルが勝とうが負けようが、レイくんはいつもスタジアム中で愛嬌を振りまいている。子どもたちや女性からの人気は絶大で、レプリカユニフォームの背番号を「0」選手名のところに「REYKUN」と入れている方もかなりの頻度で見かけるので、レイくんと会うことを目的に日立台へ通っているレイソルサポーターも少なからず存在するはずという思いはかねてから抱いていた。

ゲストのお一方がおっしゃっていた「どんなチームでも、選手や監督はいなくなっても、マスコットはいなくならない」という言葉からも、Jクラブを好きになって応援する上での非常に大きな要素としてJリーグマスコットが果たしている役割の大きさを改めて思い知らされた。

 

ツエーゲン金沢 ゲンゾイヤーとヤサガラス

最近ではグルージャ盛岡がクラウドファンディングを募って誕生させたマスコット「キヅール」が非常に大きな話題となっているが(キヅールが独り歩きしているという指摘もあるが)クラブのプロモーションとしてマスコットをフル活用しているケースも増えてきているようだ。

そんな中で、この日私に最もインパクトを与えたのはツエーゲン金沢のマスコット?(一応総選挙にエントリーしているので、そう呼んでいいのだろう)ゲンゾイヤーとその敵役ヤサガラスが作り出している世界についてである。

ゲンゾイヤーというマスコットはいわゆる特撮ヒーローそのもので、金沢のマスコット「ゲンゾー」が変身した姿という設定になっている。正義のヒーローには敵が必要で、こちらについてもまさに特撮モノの悪役といった風情のヤサガラスが存在する。

ツエーゲン金沢をディスるヤサガラス(Twitterでは村井チェアマンのことまでディスっている!)をゲンゾイヤーが成敗するという一連の「子芝居」がシーズンを通じホームゲームで展開されるているが、シーズンが終わりに近づくにつれヤサガラスが徐々に改心していくという「お約束」があるらしい。

そしてついにホーム最終戦になると完全に改心したヤサガラスがそこにいるのだが、スタンドの何者かに狙撃されヤサガラスは倒れる。こうした特撮ヒーローモノにありそうな展開を金沢サポーターはシーズンを通してスタジアムで見せられている。

もはやサッカースタジアムで行われるイベントの領域を超えてしまっているかのような「本末転倒」感に、クラブが目指す世界がひどく倒錯しているように感じられる一方で、チームの勝敗や試合の内容以外の「物語」を提供されている金沢サポーターが羨ましく思えたりもする。何とも不思議な感覚だ。

ちなみにシーズン終わりに改心し狙撃されたヤサガラスは、翌年の新体制発表会の席で「記憶喪失」になったことで、再び「悪」となって戻ってくる。ここまでくると、お見事としか言いようがない。

 

Jリーグマスコットは世界に誇るJリーグの文化

イベントの終盤で宇都宮さんの提言の中にあった「Jリーグマスコットによる世界戦略」については、このイベント会場で数時間過ごしたことで、Jリーグが本気で挑戦すべき領域であることだと私も感じることが出来た。

チームや選手だけをプロモーションのコンテンツとしていても、世界を相手に商売するのは困難だ。これは何も欧州や南米が日本よりサッカーのレベルが高いとか低いとか、そんなことを理由に言いたいのではなく、世界中の人々の生活には既にどっぷりとサッカーが浸透しきってしまっている事実があるからこそ、そう思うのだ。

しかしJリーグマスコットが作り出している世界は、明らかに日本独特なものだ。サッカーチームのマスコットをここまで面白がり楽しむ文化は、世界広しと言えどもどこにもあるとは思えない。言ってみればJリーグマスコットこそがJリーグが世界に誇るサッカー文化のひとつなのだ。

自らが誇りに思うものであれば、必ず素晴らしいプロモーションへと繋げていけるはず。

JリーグのチームがACLに優勝しCWCでバルセロナやレアルマドリードに勝利することよりも、ゲンゾイヤーとヤサガラスの戦いの方が、多くの人々の心を鷲掴みにするかも知れない。

みなさんも応援するチームのマスコットの可能性を考えてみてはいかが?

 

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2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

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