「差別なきポジティブなチャントは海を越える」誇るべき日本のサポーター文化

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2018シーズンのJリーグ全日程が発表され、日本各地に存在するJクラブのファン・サポーターのみならず、多くのサッカーファンにとっても開幕が待ち遠しい、そんな季節になった。

1993年にスタートしたJリーグは今季で25周年を迎え、創設時には10だったクラブ数も50以上にまで増え、四半世紀という時間の流れの中で、日本初のプロサッカーリーグとして様々な文化を育んできた。

中でも、Jリーグを象徴する文化として完全に定着してきたものとして、スタジアムのゴール裏を中心としたサポーター文化が挙げられるだろう。

「サポーター=ゴール裏」という新鮮な概念

かつて日本のサッカー場に集まる観客は、ピッチを横から観戦出来るメインスタンドやバックスタンドに集中するというのが日常的な風景であった。しかし、Jリーグスタートとともに徐々に増えていく熱心なファン・サポーターたちの間では「ゴール裏」こそが自分たちの居場所であるという新しい文化が生まれてきた。

もちろん、これも最初はサッカー先進国であるイングランドやドイツといった国々のサッカースタジアムで見ることの出来た風景を模倣したものであったかも知れない。しかし、そうしたきっかけはあったにせよ、Jリーグが強調した「ホーム&アウェイ」という新鮮な概念とともに、常にゴール裏から「選手を後押し」し「選手をゴールに誘い込む」という新しいサッカーの応援スタイルが、スタジアム演出の一部として欠かせないものとなるまでに定着した。

日本サッカーで初めて歌われたチャント

そして、このゴール裏のサポーターの存在感を一層際立てている要素が、彼らの叫ぶチャント(応援歌)であることは、もはや疑いようのない事実であろう。

私の記憶では、日本サッカー界ではじめて「チャント」を叫ぶ観客が現れたのは、80年代中盤の日本代表の試合であった。

当時の日本サッカー界は、徐々に実業団チームでプロ選手としてプレーする選手が出現し出し、国内リーグのプロ化こそ夢のような話と捉えられていたものの、日本サッカーが少しづつ前進していることをファンが実感出来ている時代でもあった。

そんな背景がありながらも、日本代表戦が行われる国立競技場のスタンドが満員になることは稀であり、先に書いたようにメインスタンドとバックスタンドだけに観客がいる光景が常であった。しかしながら、その中には非常に少ない人数ながらも日本代表のユニフォーム(当時は白字に青)に似たサッカーシャツを身につけ日の丸を持った、現在のサッカーサポーターの元祖のようなファンが現れはじめた。そして彼らは圧倒的な人数的不利をものともせず、古くから日本代表の応援で行われてきた「ニッポン!チャチャチャ」ではない、応援歌(歌詞はなくメロディーだけ)を歌い始めた。

その時に彼らが歌っていたチャントは、私は今でもはっきり覚えているし、メロディも再現可能だ。ただ、肝心な歌の名前が分からないので、調べようがない。

当時、サッカーファンにとって貴重な海外サッカー情報源であった「三菱ダイヤモンドサッカー」で耳にした非常に聞き覚えのある曲だった。(イングランドリーグの試合であったはずだ)

Jリーグの代名詞とも言えるサポーターチャント文化

いずれにしても、あれから30年もの時間が経過し、日本サッカー界においてチャント=応援歌は多くのファン・サポーターに受け入れられ、Jリーグを表す代名詞とも言える存在へと昇華してきた。

しかし、このJリーグサポーターによるチャントを「海外サッカーのモノマネ」といった扱いや批難めいた反応を受けることも現状としては存在する。

確かにスポーツの応援でメロディを有する歌を叫ぶという文化が、海外のサッカーシーンからJリーグに入ってきているのは事実であるし、Jリーグの風景として映し出されるゴール裏サポーターが一心不乱にチャントを叫ぶ姿に抵抗を覚えてしまうのも理解できなくはない。

ただ、それであっても、私はJリーグサポーターの応援文化は世界に誇れるものであると思っているし、一度ゴール裏でチャントを叫んだ経験のある人であれば、あの何にも代えられない爽快な感覚は理解してくれるはずだ。

差別なきポジティブなチャントは海を越えていく

またJリーグサポーターのチャントは、決して海外サッカーのモノマネだと断ずることが出来ない理由として、そのオリジナリティ溢れる選曲や、ヘイト的な歌詞がほとんど見られない事などを挙げることが出来る。

欧州では差別的な意図をもったチャントがスタジアムに響きわたる。それに対して日本サッカー界で叫ばれるチャントは、全てが前向きでポジティブな歌詞で作られている。日本社会において、大の大人が大声で歌う機会などせいぜいカラオケくらいしかないのに、毎週スタジアムへ行けば、大勢の人と一緒に声を枯らしてポジティブな意味を持ったチャントを歌い選手を奮い立たせることが出来る。

これを実感してしまうと、ある意味で厄介だ。何故ならこれに変わるものはほとんど見つけられないからだ。

そして、日本のサポーター達が歌い叫ぶチャントは「海外サッカーのモノマネ」どころか、海外サッカーにどんどん真似されている。

ベガルタ仙台サポーターは印象深い数々のチャントを作り出しているが、その中で「TWISTED」という代表的なチャントは、アメリカMSL、アジア諸国にとどまらず、ドイツ、ベルギー、ギリシャといった国のサポーター達がスタジアムで高らかに歌っている。日本代表の浅野拓磨がプレーするシュツットガルトのサポーターもこの「TWISTED」を応援に取り入れ、比較的頻繁に歌っているのでDAZNなどで試合中継の視聴をされた際には耳にした方も多いのではないだろうか。

ACL出場などでアジアでの試合経験が豊富なチームのチャントも、中国やお隣韓国、東南アジア諸国のサポーターの間で非常に多く取り入れられている。鹿島の「ロール3」浦和レッズの「warrior」レイソルの「Let’s go 柏」等々。どれもそのチームにおける代表的なチャントだ。

おそらく今後も日本のサポーター達が歌い叫ぶチャントはどんどん海を越えていくだろう。

是非一度ゴール裏へ!

「サッカーに興味がないわけじゃないけど、Jリーグサポーターのあの応援歌がな・・・」

そんな風に思ってスタジアムに行くことを躊躇されているとすれば、それは非常に勿体ないことかも知れない。

ゴール裏でチャントを歌い叫んでいるのは、決して血気盛んな若者ばかりではない。家族連れで来ているご老人も、普段スーツを着ている紳士も、親戚の前では口をつぐんでしまうような中学生も、舌足らずな幼児も、男も女も、社会に生きるあらゆる人たちがひとつの歌を完成させているのだ。

食わず嫌いはやめて、一度ゴール裏へ行かれてみてはいかがだろう。

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2017年9月から、私が開設しているブログがあります。

ブログタイトルは「ラーテル46.net」

こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

まだ始めたばかりのブログではありますが、よろしければ、「ラーテル46.net」も併せてお楽しみください。

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