このブログで全国高校サッカー選手権大会決勝戦についての記事を書いた際「高校選手権は高校年代における最高峰の大会ではなくなった」という主旨の話についても私は触れた。
実際、今大会の決勝を戦った前橋育英と流経柏からJリーグクラブへ加入する選手は、渡邊泰基(前橋育英→アルビレックス新潟)松田陸(前橋育英→ガンバ大阪)の2人だけで(2018年1月12日現在)、多くの選手は大学へ進学するケースが多いようだ。
大会優秀選手だけを取ってみても、Jリーグクラブへの加入が発表されている選手は僅か5人に過ぎない。
こうして見てみると、高校サッカーがJリーグクラブの選手供給源であった時代は過去のものとなってしまったようにも感じる。
J1で活躍するJクラブで育成された選手たち
平均年齢24歳。「育成の柏レイソル」に日本サッカーの希望を見た|Jリーグ他|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva https://t.co/V7KQJe6ebZ
— Pink Slime (@waywarddices) July 5, 2017
では現在のJリーグで活躍する選手の中に、Jクラブの下部組織出身の選手はどのくらいいるのだろうか。
2017シーズン、J1リーグ最終節における各チームのスターティングメンバーの中で、Jリーグ加入前の所属がJクラブ下部組織(ユース、U-18など)であった選手のみをピックアップしてみると、18チーム×11人=198人の選手の中で、それに該当する選手は69人。
198人の中には外国人選手が37人含まれているので、大まかに日本サッカー界で育成された選手を161人とすると、およそ43%の選手がJクラブ下部組織からJクラブへ加入した選手であった。これに高校年代(ユース)から大学進学を経てJリーグ入りした選手や中学年代(ジュニアユース)までをJクラブ下部組織で育成された経験のある選手まで加えると、実質的に半数以上の選手がJクラブから育った選手ということになる。
Jリーグ下部組織出身の選手 チーム別一覧
(2017年12月2日 J1リーグ最終節 先発選手中)
北海道コンサドーレ札幌(6人)
- 菅大輝(コンサドーレ札幌)
- サガン鳥栖
- 権田修一(FC東京)
- 河野広貴(東京ヴェルディ)
- 小野裕二(横浜F・マリノス)
- 田川亨介(サガン鳥栖)
浦和レッズ(8人)
- 西川周作(大分トリニータ)
- 宇賀神友弥(浦和レッズ)
- 槙野智章(サンフレッチェ広島)
- 阿部勇樹(ジェフ市原)
- 梅崎司(大分トリニータ)
- 柏木陽介(サンフレッチェ広島)
- 高木俊幸(東京ヴェルディ)
- 矢島慎也(浦和レッズ)
横浜F・マリノス(6人)
- 飯倉大樹(横浜F・マリノス)
- 下平匠(ガンバ大阪)
- 松原健(大分トリニータ)
- 扇原貴宏(セレッソ大阪)
- 山中亮輔(柏レイソル)
- 前田直樹(東京ヴェルディ)
柏レイソル(5人)
- 中村航輔(柏レイソル)
- 中山雄太(柏レイソル)
- 輪湖直樹(柏レイソル)
- 大谷秀和(柏レイソル)
- 武富孝介(柏レイソル)
サンフレッチェ広島(1人)
- 椋原健太(FC東京)
FC東京(2人)
- 橋本拳人(FC東京)
- 高萩洋次郎(サンフレッチェ広島)
ガンバ大阪(4人)
- 倉田秋(ガンバ大阪)
- 初瀬亮(ガンバ大阪)
- 長沢駿(清水エスパルス)
- 高木彰人(ガンバ大阪)
川崎フロンターレ(2人)
- 奈良竜樹(コンサドーレ札幌)
- 家長昭博(ガンバ大阪)
大宮アルディージャ(4人)
- 加藤順大(浦和レッズ)
- 和田拓也(東京ヴェルディ)
- 高山和真(大宮アルディージャ)
- 茨田陽生(柏レイソル)
ヴァンフォーレ甲府(4人)
- 山本英臣(ジェフ市原)
- 新井涼平(大宮アルディージャ)
- 田中佑昌(アビスパ福岡)
- 高野遼(横浜F・マリノス)
ベガルタ仙台(5人)
- 茂木駿佑(ベガルタ仙台)
- 奥埜博亮(ベガルタ仙台)
- 野津田岳人(サンフレッチェ広島)
- 三田啓貴(FC東京)
- 古林将太(湘南ベルマーレ)
アルビレックス新潟(3人)
- 堀米悠斗(コンサドーレ札幌)
- 冨澤清太郎(東京ヴェルディ)
- 磯村亮太(名古屋グランパス)
セレッソ大阪(5人)
- 丸橋祐介(セレッソ大阪)
- 水沼宏太(横浜F・マリノス)
- 清武弘嗣(大分トリニータ)
- 柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
- 杉本健勇(セレッソ大阪)
ジュビロ磐田(5人)
- 小川大貴(ジュビロ磐田)
- 森下俊(ジュビロ磐田)
- 高橋祥平(東京ヴェルディ)
- 宮崎智彦(FC東京)
- 川辺駿(サンフレッチェ広島)
鹿島アントラーズ(4人)
- 曽ケ端準(鹿島アントラーズ)
- 西大伍(コンサドーレ札幌)
- 三竿雄斗(東京ヴェルディ)
- 土居聖真(鹿島アントラーズ)
ヴィッセル神戸(2人)
- 高橋峻希(浦和レッズ)
- 小川慶治朗(ヴィッセル神戸)
清水エスパルス(3人)
- 犬飼智也(清水エスパルス)
- 角田誠(京都サンガ)
- 北川航也(清水エスパルス)
かつては「下部組織出身選手の飼い殺し」と揶揄された時代も
広島、MF川村&MF川井の来季トップチーム昇格を発表 https://t.co/CsHSQqVnQD #gekisaka #jleague pic.twitter.com/WGa69oSXpm
— ゲキサカ (@gekisaka) October 23, 2017
リーグ戦に出場する選手のうち、実質的に半分以上を占めているJクラブ下部組織出身の選手たちは、各クラブにおける新人選手の供給源としてすっかり定着してきている感があるが、ほんの数年前までは「下部組織出身選手の飼い殺し」が揶揄されていた。
各クラブは「育成部門の成果」を見せつけんばかりに、多くの下部組織出身選手をトップチームへ昇格させたが、Jリーグ創世期に存在したサテライトリーグは廃止され、J3リーグもスタートしていなかった時期には、ほとんど公式戦に出場出来ない選手も多く生まれてしまっていた。
現在では、Jクラブも50にまで増え、J3にはFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪のU-23チームも参戦していることなどから、期限付き移籍などで他クラブへ出場機会を求める選手が大幅に増えたこともあって、かつて揶揄されたような状態が生まれにくくなっているのかも知れない。
Jクラブの育成システムはそのメリットを十分に活かしきれているのか
16歳の久保建英と17歳の平川怜、FC東京トップチーム昇格
最短デビューは今月18日のサガン鳥栖戦かhttps://t.co/aMIJUwtW8W #fctokyo pic.twitter.com/iC8YezredF
— フットボールチャンネル⚽️ (@foot_ch) November 1, 2017
高校選手権についてその存在の意義深さも私はこれまでに述べてきたつもりであるが、Jクラブの下部組織、育成部門については、多くの「プロサッカー選手」を育てることが最大の目的であることは言うまでもない。
Jリーグと共に誕生したこの育成システムは、この25年間の間に確実にその成果が周知されるまでの存在となった。しかしながら長い期間手塩に掛けた大事な選手達を「移籍金0円」で他Jクラブ、あるいは海外クラブへ奪われてしまうケースなども目立ち、Jリーグの育成システムがもたらせるクラブ経営面でのメリットを十分に活かしきれていない現状があるのも確かだ。
選手はクラブの宝であり、サッカーファンやサポーターたちにとっては希望の星でもある。そして同時に彼らは将来のJリーガーたちが育つ環境に適正な投資が行われる為の「原資」でもあるのだ。
Jリーグが次のフェーズへとそのステップを上がっていく上で、Jクラブの育成部門自体の発展はさることながら、そこで育った選手たちを一時的な「育成の成果」だけに終わらせてはいけない。
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