全日本大学女子サッカー選手権決勝 そこにみた「女子的」な世界

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私は女子サッカーをはじめてスタジアムで観戦した。

全日本大学女子サッカー選手権大会決勝「神奈川大学対早稲田大学戦」である。

私がこの試合をスタジアムで見てみようと思ったのには理由がある。

それは、全日本大学女子サッカー連盟の公式Twitter上で目にした各出場チームの試合前集合写真だった。

「女子的」な試合前集合写真

全国から勝ち上がった24大学によるトーナメントで行われているこの大会は、昨年暮れの12月25日からスタートした。それぞれの試合の結果紹介に合わせて、サッカーではお馴染みの試合前集合写真もアップロードされていたのだが、そこにあったのは私の中にあった既成概念をことごとく崩すものであった。あるチームは全員が笑顔でVサインをし、あるチームは全員が拳を高く挙げている、そう思いっきり「女子的」なのだ。

私はこれまで日本の女子サッカーが男子サッカーの「亜流」であるかのように見えていたし、実際に日本女子サッカー界がそうした方向性を甘んじて受け入れているような印象を持ってきた。

しかし、この大会で熱戦を繰り広げている選手たちの集合写真からは、「女子サッカー」という世界が男子のそれとは全く違った次元で存在していると強く感じた。

「亜流」のサッカーをスタジアムまで観に行く気は起きなかったが、私の知らない「女子サッカー」がもしそこにあるのだとしたら、、

そう思い、やっとのことで決勝戦だけは観に行くことが出来た。

西が丘 そこにあった「女子的」光景

晴天に恵まれた肌寒い日曜日に西が丘へ集まった観衆は5,000人弱。

私がこれまでに訪れたサッカースタジアムと最も違っていたのは、観客の中に占める女性の多さだ。その多くがおそらくは自身もサッカーをしている「サッカー少女」たちであるのだが、やはりこれだけ女性が多いと、必然的に場の空気感も変わってくる。シャギーの「サマータイム」がBGMとして流れるこの空間は、なんというか、非常に大らかなのだ。

もちろん、両校のOBや選手・チーム関係者の家族や友人、その他純粋なサッカーファンも含め、男性の観客も大勢いるので、居心地に困るようなことは無いが、どの顔にもこれから始まる大学女子日本一決定戦を見ることの出来る幸福な感情を読み取ることが出来た。

選手が入場し両校校歌の斉唱が始まると、早速「女子的」な光景を目にすることになる。

両チームの選手、ベンチのメンバーも含め、腕を振って校歌を歌っている。それも非常に楽しそうに。その様子はこの試合が日本一を決める決勝戦であることを俄かに忘れさせるようなものでもあった。そして、これも非常に女子らしいと思ったが、ベンチの控え選手たちが絶えず楽しそうに会話しているのだ。こうした場面でありがちな悲壮感や焦燥感のようなムードは微塵も感じられない。

もちろん彼女たちがこうした大きな大会に慣れているということもあっただろう。しかし男社会においては、こうしたムードが大事な一戦を前にしたベンチで生まれることを私はほとんど想像出来ないし、もしそうであれば、彼女たちの様子がそれほど目に留まりはしなかったはず。

サッカーそのものとは一見関係がないように感じるかも知れないが、そうしたムードの中で行われるサッカーが、男子のそれと明らかに違った「性質」を持ったものであると考えるのは私の思い過ごしだろうか。

フェアで清々しいゲーム

試合は白熱した。

ダイナミックさでいくぶん分のある早大が押し込む時間が長い展開ではあったものの、神奈川大もポニーテールの2年生ボランチ佐竹杏奈(常盤木学園)が攻守に渡って質の違いを見せ、時折見せる細かいパスワークを駆使した攻撃で前半は攻勢に出る時間帯もあった。

しかし早大はキャプテン松原有沙(大商学園)を中心とした守備ラインは90分ほとんどほころびを見せることなく、攻撃においても10番中村あづさ(浦和レッズレディース)が決定的な場面を何度も演出し、自らの決めたこの試合唯一のゴールで試合を決めることになった。

1試合を通して、両チームのプレーは非常にフェアで、サッカーにはつきものと言ってもいい、ボールの無いところでの小競り合いや、危険なタックルなどもほとんど見られず、時間稼ぎをして時計を進めるようなこともなく、最後まで猛攻を仕掛ける早大の姿には非常に清々しい印象を覚えた。

「男子顔負け」を求めるのはやめよう

いわゆる「男子顔負け」といったようなプレーは、早大の松原有沙が後半センターサークル付近で得たFKで矢のようなシュートで直接ゴールを狙った場面。このシュートはこれもまた素晴らしいビッグセーブで神奈川大GK平木麻裕(藤沢清流)がゴールを死守したのだが、私はこの一連のプレーを見て「男子顔負け」だなと思いながらも、新たなことに気づいた。

「男子顔負け」を女子サッカーに求めるのはやめよう。

こう書くと誤解を生むかも知れないが、「男子顔負け」という言葉が使われている女子スポーツは、所詮「亜流」としての扱いしか受けないのではないだろうか。

女子スポーツとしてその価値を認知されているスポーツでは「男子顔負け」という言葉はあまり使われていないような気がするのだ。

バレーボール然り、フィギュアスケート然り、ソフトボールなどもそうだ。

こうしたスポーツには男子による競技も存在しながら、女子による競技の価値がしっかりと認知されている。恐らくはバレーボールの女子日本代表の選手が男子チームに入っても小柄で非力な選手でしかないだろうし、浅田真央がいくら優れたスケーターであっても、羽生弓弦と技術的な比較をされることはほとんど無いし、そうした比較に意味があるとは思う人は少ないだろう。

日本における女子サッカーは、まだこのような段階にまでその魅力を十分に伝えきれていない。なでしこジャパンが世界一になっても、なおそうなのだ。

女子にしか出来ない、女子にしか作れないサッカー世界に気づくべき

私は今回たまたま目にした写真から「自分の知らないサッカーの世界があるのかも知れない」と思えたが、女子サッカーの世界には案外こうした「実は女子的なこと」が沢山存在しているのではないだろうか。

女子サッカーの普及というと、どうしてもその競技力の向上や底辺の拡大といった男子サッカー界がこれまでに歩んできた道をそのまま同じように進めようとしている印象があるが、私は必ずしもそれが正道とは思えなくなった。

それを「女性」であることを謳歌しはじめる年代の女子大生によるサッカー大会で奇しくも思い知らされることになった。

競技力を追求したところで、絶対に男子には敵わない。しかし、それは決してハンディキャップではない。女子は女子にしか出来ない、女子にしか作れない「サッカー世界」を自らが気づき、自信を持って発信していくべきではないだろうか。

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