『スタジアムへ新たなファンを集めることが出来ないのは「コアサポ」がいるからだ』
こんな言葉が日本サッカー界では良く聞かれる。
深刻な人気低迷にあった新日本プロレスを見事に復活させた「仕掛け人」木谷高明氏はこんな風に話している。
コアなユーザーがライトなユーザーを拒絶していたがために、プロレスが衰退していった面もありました。僕は“すべてのジャンルはマニアが潰す”と思っていますから。
プロレスと同じく「エンターテイメント」でもあるサッカーが、かつての新日本プロレスのような道を辿ってしまう可能性はあるのだろうか。
日本サッカー界に定着したサポーター文化
【写真特集】元ドイツ代表も動揺か…“柏熱地帯”から勝利を後押しした柏サポーター(20枚) https://t.co/PFs6ykob3Y #gekisaka #jleague pic.twitter.com/0PbqLiKmdh
— ゲキサカ (@gekisaka) August 6, 2017
Jリーグの試合が行われるスタジアムへ行けば、ゴール裏で大旗を振り、チャントを叫び跳ねる熱いサポーター集団の迫力ある応援が、いかにスタジアム全体の空気を盛り上げ、試合のテンションを高くしているかを実感させられる。
今や「サッカーサポーター」は日本サッカー界における独自の文化と言えるほどに定着し、その存在も「スタジアムへ行き慣れた」ファンにとっては、当たり前のものとなっている。
驚くと言っては誤解を招くかも知れないが、先日私が観戦した「関東サッカーリーグ入替戦」においても、試合を通してチームを鼓舞し続ける熱いサポーターが人数は少ないながらも存在しているのだ。
ゴール裏からの歌声はスタジアムを包む演出
https://twitter.com/yfm1023/status/947701914543702016
彼らはそこが例え本拠地から遠く離れたアウェイであっても、スタジアムを彩る横断幕を大量に設置し、大旗や大太鼓も毎試合のように運び込む。時によっては「ゴール裏自由席」の待機列に前日からテントを張ってまで並ぶことも決して珍しくない。そして、試合を通して90分間途絶えることなく、そこに集まったファン・サポーター達にトラメガを使ってチャントのきっかけを作りながら大集団を巧みにリードする。
私はこれまでに何人かの「Jリーグスタジアム初体験者」と一緒にスタジアムを訪れたことがあるが、彼らがまず最初に衝撃を受けるのは、ゴール裏に陣取るサポーター達の大迫力な歌声である。試合内容や選手のことなどよりも、それまで体感したことのないようなその空気感に圧倒されていることが多いようだ。
大抵は試合が終わってスタジアムを後にする段階で彼らは、その日初めて耳にしたチャントを楽しそうに歌っていることが多い。
「コアサポーター」たちにとってそれは本意ではないかも知れないが、彼らが作り出すスタジアムの空気感は、サッカーの試合を構成する重要な「演出」としての要素が備わっているのだ。
必ず生じる気持ちの「すれ違い」
【TOKYO12RADIO 7/30の聴きどころ その1】
番組MC・植田朝日氏&米本拓司選手の前十字仲間(?)トーク!新システムについて語ってもらってます!調布FM、本日17時から!お楽しみに! #tokyo12 #fctokyo pic.twitter.com/JatOCOfp0I— TOKYO12RADIOは7/22の17時から! (@TOKYO12RADIO) July 30, 2017
では、『スタジアムへ新たなファンを集めることが出来ないのは「コアサポ」がいるからだ』といった声が挙がってしまうのは何故なのだろう。
私はその理由が「すれ違い」から生まれ出ているような気がしている。
「コアサポーター」と呼ばれるサポーター達は当然ながらそのチームを長い期間応援してきた者も多い。それだけにチームやクラブと共に様々な経験をしてきている。良い時も悪い時も、彼らは常にチームに寄り添い、声を枯らして鼓舞してきたのだ。
そうした経験の深さが、彼らを更に熱狂的なサポーターへと成長させていくのだと思うが、その一方で「ライトなファン」にとっては、自分たちがチームや選手たちから受ける感動や衝撃を「共感し得ない相手」と思われてしまっているのではないだろうか。
新人が新しい会社に入ってきたことをイメージして欲しい。
古参スタッフ達にそうした意図がなかったとしても、大抵の新人は最初にこう思うのだ。
「ここの誰とも分かり合える気がしないな」
このコミュニケーションの「すれ違い」の発生を防ぐことは不可能に近い。しかし、そこが会社であれば、新人も生活のために「分かり合えない」職場に通わざるを得ない。そしてしばらくすれば互いの人となりが理解し合えるようになっていく。
ただしスタジアムではそうはいかない。スタジアムへ行かなくても生活には何ら支障がないから、「分かり合えない」と思えば行かなくなってしまう。結果として新しいファンが増えて行かないということに繋がっていく。
新しいファンを連れてきて自分が「共感できる相手」になる
先週末の。柏の柏熱地帯には一度行ってみたかったので、最終戦良い天気で良かった! pic.twitter.com/7ZZkITsOQC
— もののぶ (@Aquamarin611) December 5, 2017
ではスタジアムに新しいファンを増やすために「コアサポーター」を含めたファン・サポーターが出来ることは何なのであろうか。
私はそれは唯一「スタジアムへ新しいファンを連れてくる」ことであると考えている。
初めてスタジアムへきた人は「共感し得ない」と思って、スタジアムへの再来を出来なくなってしまうのだ。だったら「共感できる相手」「分かり合える相手」に自分自身がなればいいのではないか。
そしてもうひとつ。
「コアサポーター」や古参のベテランサポーターは、自分たちが「ライトなファン」から「共感し得ない」相手だと思われているかも知れないことを自覚することも大事かもしれない。
だからと言って、何もこれまでのスタイルを変える必要はない。
ただし、常に「今日初めてスタジアムへ来たファンがいるかも知れない」というスタンスで、さらに「彼らを失望させてはいけない」という意識を持っていることが大切であるだろう。
何しろ「コアサポーター」が作り上げるスタジアムの空気感は、そこにあるサッカーにとって大切な要素のひとつなのだから。
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こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。