「ヤバいことを思いついてしまった」
これはあるJクラブ職員の頭の中で新しいアイディアが生まれつつある時に出てきた言葉だ。
「いいことを思いついた」ではなく「ヤバいことを思いついてしまった」なのである。
「スタジアムの宙にしあわせの歌が響く街」
優勝おめでとうございます
裏方さんの努力とかサポーターや地域との繋がりを思い、読み返しました20年もの間、川崎に”青いサンタ”さんがやってくる理由 -川崎フロンターレ 天野春果さんの講演を聴いて- https://t.co/qojGjUdsgI #hashimoto_lab #川崎フロンターレ
— 橋本 諭 (@satoshi_hashimo) December 2, 2017
その「あるJクラブ」とは川崎フロンターレであり「あるJクラブ職員」とは元川崎フロンターレプロモーション部部長だった天野春果さんだ。
現在は2020年東京五輪組織委員会に「出向」している天野春果さんの著書「スタジアムの宙にしあわせの歌が響く街(小学館)」では、川崎フロンターレの様々なプロモーションの実例を非常に詳細な情報をもって克明に記されている。
たしかに川崎フロンターレは「おかしなこと」をするクラブだと私も認識してきた。そしてそれらを必ずしも肯定的に受け入れることが出来ていたわけではない。
選手たちが何故バナナの被り物をして笑顔を見せているのか、何故中村憲剛選手の写真が算数ドリルに使われているのか、明らかにサッカーとシンクロしていないように見えるこの世界観についていけていない私がいた。
Jリーグクラブがいっけんサッカーとは関係のないプロモーションなどをしているのを見ると、何ともあさましい印象すら抱いていた。
「ヤバいことを思いついてしまった」
暑い中 #宇宙強大2DAYS お越しいただいた皆様、ありがとうございました!
いよいよ16日(火)17:30〜22:00、この等々力陸上競技場で、大西宇宙飛行士 @Onishi_Report との交信イベントが行われます。きてね!! pic.twitter.com/GabMoibz33— ファン!ファン!JAXA! (@FanFunJAXA) August 6, 2016
この本は天野さんが川崎フロンターレプロモーション部で企画し成功させた2つの大イベントを中心に話が進んで行く。
ひとつは「宇宙強大2DAYS」もうひとつは「高田スマイルフェス」ともに2016年の夏に行われたイベントだ。
タイトルだけではどういうイベントなのか、フロンターレと、いやサッカーとどういう関連があるのかは全く理解できないであろう。本をじっくり読んだあとの私でさえも、このイベントの内容を正確に伝える自信は全くない。
しかしながら、これらの企画が天野さんの頭の中に浮かび上がった時、そのあまりに破天荒で壮大なイメージに自らおののき、彼は「ヤバいことを思いついてしまった」と感じたのである。
サッカー(クラブ)と社会との接点
川崎Fが公開した「高田スマイルフェス」の映像がイイ!それもそのはずだった https://t.co/HO6yG8C1WY @Qoly_Liveさんから#陸前高田
— HAMANASU_RX (@HAMANASU_RX) January 5, 2017
この2つの大イベントの中で、中村憲剛選手は国際宇宙ステーションにいる大西宇宙飛行士と等々力競技場で生交信をし、川崎フロンターレとベガルタ仙台との親善試合がJリーグ公式戦の翌日に陸前高田にあるスタンドもない山奥のグランドで2500人もの人を集めて行われた。
これらの事実がこのイベントによって起きたことであるのは間違いないが、川崎フロンターレが、天野春果さんが、こうした結果を「成果」として考えているわけではない。
彼らが考えているのは「サッカー(クラブ)と社会との接点」をどれだけ作れるかということだろう。
「バナナとサッカー」「南極とサッカー」「算数ドリルとサッカー」「宇宙とサッカー」こうしたどう繋がりを作ればいいのか分からないようなモノ同士をフロンターレは真剣になって繋げ、サッカーと社会の新しい関係性を次々に作っている。そして今ではそれがフロンターレの「クラブカラー」にまでなりつつある。
誰でも実現できる「接点」づくり
【RT751FA0】RT kengo19801031: 今年も川崎フロンターレ算数ドリルを川崎市の全小学6年生に配布することになりました。今年で7年目になります。
こんな教材あっ http://t.co/ILgutRTxV5 pic.twitter.com/uvlmM8uIgW— なうワード (@now__words) May 3, 2015
Jリーグ理念にある「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」という文言からは、あまりに堅苦しい、ともすれば「建前」のような響きすら感じてしまいがちだが、日本社会の中でサッカー(スポーツ)が果たすべき役割というものは、案外「バナナ」や「算数ドリル」であるのかも知れない。
社会に暮らす人々の生活の中で、そこに潤いをもたらせる存在として「Jリーグ」や「サッカー」がどれほどまでに入り込むことが出来るのか。そうした視点でサッカー界を俯瞰(ふかん)した時に、「サッカー」がいまだ「サッカーファン」だけのモノであるというような排他的思考が、その進化を促す方へは作用しないと考えるのが自然であろう。
日本サッカーが、おらが街のチームが、社会との間にどれだけ接点を作ることが出来るのか。
これは決してフロンターレやそのプロモーション部、天野春果さんのようにそれを「職業」とする人たちの特権ではない。ファン・サポーターも含め、サッカーに関わりを持つ全ての人が挑戦可能な行動なのだ。
「ヤバいこと」をどれだけ思いつくことが出来るか。それが日本サッカー界を日本社会をより深みのある楽しいものへと発展させていくのかもしれない。
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2017年9月から、私が開設しているブログがあります。
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こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。