「このまま行けばFリーグは無くなってしまう」
2007年にスタートしたフットサルの全国リーグ「Fリーグ」も、創設から10年という時間が経過した。しかしながら、この「プロ化構想」まであったFリーグの様相は10年前とほとんど変わらないどころか、ここ数年は観客動員の減少も顕著になってきているそうだ。
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— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) December 26, 2017
中にはシーズン中の平均観客動員数が500人というチームもあり、おおよそ「興行」とは言えないレベルのリーグとなってしまっている。
多くのFリーグへの提言は課題の根本を捉えていない
JリーグとFリーグが融合したスタンドの雰囲気はFリーグ史上最高とも言われました。
【2017 Futsal EDGE年間記事ランキング】7位 すごいぞ、湘南ベルマーレ! JとFが融合した完全ホームで前年度王者・大阪に完全勝利。 https://t.co/Nj3x9LAw79 pic.twitter.com/MP3sbCrngU
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こうした危機的な状況を打破すべく様々な提言が発信されているが、どれもこの課題の根本的問題を捉えられていないように私は感じている。
大きくまとめると、以下のような課題や提言が挙げられている。
- 「JリーグやB.LEAGUEでいう所の川渕三郎のような強烈なリーダーシップを持った人材の必要性」
- 「資産家による大規模な投資」
- 「資本力を活かした徹底的なマーケティング」
- 「非日常的なエンターテインメント空間の創出」
- 「フットサル日本代表の強化」
その創設時にFリーグが思い描いたビジョン
ビッグスポンサーを獲得して充実したPRで認知が広がり、分配金を含めて運営力でクラブが潤い、外国人選手を獲得し、日本人選手とも全員がプロ契約を結べて、競技力と人気を兼ね備えたリーグになる──
これが完全に夢物語であったかのように、10年が経過しても尚、その課題はほとんど変わっていない。10年間「起きなかった」「出来なかった」ことが、この先10年の間に必ず起きると信じる方が不自然であろう。こうしたこともあってか、Fリーグでは若く才能のある選手が突然引退してしまうケースも多いようだ。
「今のFリーグでは未来を描けない」
選手たちは10年も20年も待つことは出来ない。Fリーグがいかに危機的状況にあるのかは、選手たちが一番分かっているかも知れない。
1990年代後半から普及した日本のフットサル
うろついてたら、昔リーガルハイ2でやってたフットサル場現れたw pic.twitter.com/Ig5hXvYdRW
— だん (@d1102an) December 27, 2017
フットサルは1990年代後半から日本各地に普及し、2002年の日韓共催W杯でのサッカー人気の再熱をきっかけに爆発的なスピードで競技者も増加した。それまでコインパーキングになっていたような空き地がどんどんフットサルコートに姿を変え、銀座や渋谷のビルの屋上にまでフットサルコートが出来ていった。
まとまった人数と広いグランドを必要とするサッカーに比べ、少人数で手軽に出来るフットサルが「するスポーツ」として広まっていったのは当然の流れであったように思う。
しかしながら、そこへ流れていった相当数のプレイヤーが、もともとは「サッカー」から流れていったという背景は無視することが出来ない。
フットサルが徐々に普及していった1990年代後半、私は20代後半でなかなか「サッカー」をする機会が持てずにいた。仕事柄週末に勤務することが多く「週末の昼間」に行われているサッカーへ行けずにいたのだ。そんな頃、そのスキマを埋めたのがフットサルだった。
体育館やナイター設備のある屋外コートであれば、平日の夜間でもプレーできるし、数人で誘い合わせればチームが作れてしまう気軽さも手伝って、あちこちのチームの顔を出すことが出来た。
ただ、私の場合はフットサルの魅力がサッカーを超えることはなかった。私自身がそれほどテクニカルな選手ではなく、狭いコートで自分の持ち味を発揮しずらかったのもあるかも知れないが、言い方を変えれば「フットサルはサッカーの代替」という感覚しか持てなかったのだ。
仲間の中には、フットサルにどんどん傾倒していく人間も少なくはなかったが、そんな彼らであってもフットサルを「観るスポーツ」として捉えていたかというと疑問だし、「サッカーより格段に手軽に出来る競技性」に惹かれているように私には見えた。
私はFリーグがこれまで順調な成長を見せてこられなかった根本的な理由はここにあるような気がする。
「観るスポーツ」フットサルは通用しない
Fリーグはフットサルが本質的には「するスポーツ」として普及してきたのに、その人気が「観るスポーツ」としても通用すると思い違いをしてしまったのではないだろうか。
もともと日本中で活発に行われていたフットサルの地域リーグを全国規模の「Fリーグ」としたことがかえって選手たちがプレーしにくい環境を作ってしまったのではないか。
現在のFリーグで、プロチームと呼んでもいいのは名古屋オーシャンズただ1つ。それ以外のチームでプレーしている選手たちは、ほぼ全員がセミプロか完全なアマチュア。年間の運営予算がサッカーのJFLと同等かそれ以下というようなチームで、日本全国を遠征する生活を何年も続けられる選手の方が特殊であろう。(サッカーであれば、チームはJFLでも将来的に自分自身はJリーグでプレーする夢も見ることが出来る)
【ひろげてください!】Fリーグ、かいまくせつとだい2せつのでんしチラシをつくりました!リツイートするだけで、あなたもチラシくばりにきょうりょくいただけます☆彡 pic.twitter.com/lr3F1FJgQ8
— AA StyleS@西日本豪雨から立ち上がる (@aastyles1986) June 11, 2014
こう書くと元も子もないと言われそうだが、私はフットサルが「プロ化」するのは不可能に近いと思っている。「プロ化構想」を持ちながら10年が経過しても「観る人」が増えるどころか減っているのだから当然であろう。
サッカーに比べ試合時間も短く、3試合合同でのリーグ戦運営がされていることも、Jリーグ理念に沿った「クラブの地域密着」がされにく状況も作ってしまっている。
今後、全国規模のリーグ戦を継続・維持していく為には、Jリーグクラブの「傘下」にでもならない限りは相当に難しいだろう。(ただしJリーグクラブでも年間5000万の予算がかかるフットサルチームを抱えることが出来るのは一握りだろう)
フットサルがあったことで、多くのサッカーファンは「ボールを蹴る」機会を持つことが出来た。そうした面では、サッカー界に対しての貢献度もかなり高いと言える。
ただし、フットサルの「人気」は、サッカー無しには考えられないのも事実だ。
「観るスポーツ」としてのフットサル文化を醸造していく為にも、サッカー界の力、Jリーグの力が不可欠なのではないだろうか。
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