来季の天皇杯決勝が元旦ではなく、12月24日(月・祝)開催となったことを日本サッカー協会が発表した。(※ベスト4に進出していた鹿島アントラーズがACLに優勝しCWC出場を決めたことで、天皇杯決勝は2018年12月9日開催と、さらに前倒しされることが決定)
通常元旦に行われる天皇杯決勝のスケジュールが約1週間前倒しになった理由について、日本サッカー協会は明確に言及こそしていないが、2019年1月5日にUAEで開幕するAFCアジアカップの日程に配慮したものであるとされている。(これは4年前のアジアカップ豪州大会の際と同様の措置)
決勝戦が12月24日に開催される為、当然ながら準決勝の日程も通常より早く12月16日開催となっており、2018シーズンはJリーグ最終節と天皇杯ベスト4以降の開催が接近した日程で行われることになる。
天皇杯決勝「元旦開催」への是非
天皇杯決勝の日程については、Jリーグ最終節から約1か月の間隔が空く元旦に開催されていることで、それに対する異論も多い。
特にJ1に所属するチームにとっては天皇杯決勝まで戦うと、新シーズンの開幕までほとんどシーズンオフが取れないスケジュールになってしまう。
天皇杯チャンピオンにはACL出場権が与えられ、そのACLのグループステージは2月中旬にはスタートを切る、天皇杯チャンピオンはJ1リーグ開幕前にJ1前年王者との「ゼロックススーパーカップ」もあるため(2018年は2月10日に開催される)僅かなオフを過ごした後のシーズンイン早々に超ハードスケジュールでの戦いが待っている。(仮にACL出場権をかけたプレーオフに回るチームが元旦に試合を行うことになれば、純然たるオフは取れたとしても半月程度!)
例年Jリーグ勢がACLグループステージで苦戦するのも、こうした日程面での厳しさが多分に影響しているのは間違いないだろう。
こうした事情を鑑み、天皇杯決勝をJリーグ終盤の時期に開催するべきといった意見は根強い。
敢えて言う「天皇杯決勝元旦開催にこだわれ」
AFCの公式サイトに
フロンターレのACLの日程載ってました。
スタジアムとキックオフ時刻は未定です。2/13(火):vsプレーオフ3勝者(ホーム)
2/20(火):vs蔚山(アウェイ)
3/7(水):vsメルボルンV(ホーム)
3/13(火):vsメルボルンV(アウェイ)
4/4(水):vsプレーオフ3勝者(アウェイ)
4/18(水):vs蔚山(ホーム) pic.twitter.com/gyHgflGLCq— 160@FRONTALE (@kwafro0705) December 20, 2017
確かに「天皇杯決勝後のスケジュール」は明らかにタイトで、しかもそれが特定のチーム(主に優勝チーム)に対して不利な条件を強いている面は否めない。外国人選手が天皇杯決勝での活躍を期待されていながら、負傷などを理由に帰国してしまうケースが多いことなどからも、選手やチーム目線でも、天皇杯決勝の元旦開催が場合によっては大きな負担になっている傾向もあるかもしれない。
しかし、私は敢えて天皇杯決勝の元旦開催に、日本サッカー界はこだわって行って欲しいと考えている。
天皇杯決勝は、日本社会において「正月の風物詩」としても認識されている、日本サッカー界においても稀有な大会だ。
Jリーグの優勝決定戦やルヴァンカップ決勝が1年の中でいつ頃行われているのか知らない人でも、1月1日の昼間から大観衆を集めて行われている天皇杯決勝については知っている人も多い。
こうした事実を私は大切にしたい。
勿論、アジアカップ開幕への配慮で開催がクリスマスイブに前倒しされる2018年度の天皇杯決勝のようなケースもあるが、これはあくまで「特例」であり、こうしたケースをもって天皇杯決勝を11月の最終週や12月の第1週に簡単に変えてしまうのには反対だ。
日本サッカーの景色を大切に
確かに日本のサッカーメディアは、糞だけど、Jリーグサポーターは、馬鹿と思い込ませて Webで幅効かせて、原稿料稼ぎたいのか? フットボリスタカ関係者はサッカーを面倒臭い方向に誘導しているとしか思えない。欧州南米各国の酔いどれサポーターがどこまで小難しくサッカーを考えているのかね? pic.twitter.com/Ferds0Ixd6
— 昼はぼんやりと漂い微睡み、夜は疲れて眠っている koben2345 (@koben222) December 22, 2017
これはJリーグの秋春シーズン開催移行問題でもそうだが、日本サッカー界は現在の日本サッカーの景色を軽視する傾向があるように感じる。
シーズンを秋春制にすることで、欧州クラブとの間では選手の行き来も活発化し、その積み重ねが日本代表チームの強化につながるかも知れない。しかしその一方でピラミッドの上層にいる一部の選手やクラブの犠牲となる日本サッカーの景色は無きもののようにして扱われる。
天皇杯決勝にしても、それを元旦という日本社会にとって唯一とも言っていい「特別な日」から、「日常の中の1日」に変えることで、日本サッカー界が失うものも決して少なくはないはずだ。
私は、天皇杯決勝の元旦開催だけに日本サッカー界の「価値」があるとは少しも思っていないが、いっけん合理的に見える「天皇杯決勝日程変更」にも、そこから抜け落ちがちな「価値」があるのではないかと考えてしまうのだ。
サッカーほどワールドワイドなスポーツはない。日本サッカー界が国内事情にだけとり合っていられない事情も分かる。
しかし、日本に存在するほとんどのサッカーは、そうしたサッカーの「世界時計」とは別の時間軸で動いている。そして、それこそが「今そこにあるサッカー」であり、我々が愛する対象でもあることに、もっと多くのサッカーファンが気づくべきであるし、日本サッカー界にはそうなるだけの魅力で既に溢れている。
そう、日本サッカー界は世界に誇れる文化を既に十分に持っている。
そして、そうした日本のサッカー文化を現在進行形で楽しむことも、サッカーファンのあるべき姿ではないかと思うのだ。