韓国・Kリーグの凋落は長きに渡る「代表至上主義」がもたらせた?

コラム
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1985年10月、東京の国立競技場でW杯メキシコ大会出場権をかけた戦い「日本VS韓国」が行われたとき、私は高校受験を控えた中学3年生だった。

日本サッカー界の「夢」W杯出場が現実のものとなるかも知れない。メキシコ五輪の銅メダル以降、長い低迷期にあった日本代表チームにかかる期待の大きさは、15歳の少年であっても十分に理解することができた。

国立競技場をサッカーの日本代表が初めて満員にしたこの日、それまで代表招集に応じてこなかった戸塚哲也や日本人に帰化した与那城ジョージといった「切り札」をもってしても、韓国代表チームに格の違いを見せつけられ、木村和司の直接FKで一矢を報いるのが精一杯に見えた。

 

80年代 韓国サッカーは羨望の対象だった

 

1980年代初頭からプロサッカーチームが発足していた韓国は、当時の私にとっても「羨望」の対象であった。韓国初のプロチーム「ハレルヤFC」の来日や、当時のスポーツ新聞で報じられた韓国代表選手が日本に勝利した場合に得る賞金の額(確か1人100万円の支給だったと記憶している)など、当時の日本サッカー界には存在しえなかった風景がそこにはあったのだ。

中でも私が最も印象的に覚えているのが、当時の韓国内でのサッカー人気をあらわしたこんな逸話だった。

「韓国では代表ゲームのテレビ視聴率が90%にもなる」

これが正確な情報であったのかは分からない。

しかし、当時の日本サッカーの常識では、どんなにその試合が注目されていたとしても国立競技場が満員になるだけで快挙と言えた時代。

「韓国ではサッカーが日本の紅白歌合戦以上に注目されているのか」

いわば「日陰」の存在であった日本のサッカー少年にとって、こうした情報が驚きと、憧れを持って受け取られていたとしても当然であろう。

ただ、こうしたエピソードのひとつひとつが、日本サッカー界よりも早い段階で、韓国サッカー界が「代表至上主義」の道を進んできた事のあらわれとも捉えることが出来る。

 

韓国の名門「城南FC」消滅危機

そんな韓国サッカー界から、ACL出場経験も豊富な名門「城南FC」が消滅の危機にあるというニュースが飛び込んできた。

かの統一教会がスポンサーしていた「城南一和」を前身とするこのクラブは、指導者・文鮮明の死後、ソウルのベッドタウンでもある城南市の市民クラブとして2013年に再スタートをきった。その後は2015シーズンに韓国カップ戦王者としてACLに出場するなどの時期もあったが、2016シーズンにはKリーグの1部(Kリーグクラシック)で下位に低迷し、2017シーズンは2部にあたるKリーグチャレンジに在籍していた。

その城南FCに対し、城南市が来季の運営予算(約7億2000万円)を市議会予算から完全に削除したというのだ。

 

数年前に城南で見た光景

城南 炭川総合運動場 閑散としたゴール裏(2013年8月)

私は、数年前に城南FCの試合をホームスタジアム炭川総合運動場まで観戦しに行ったことがある。

城南市はソウルから電車に乗れば30分程度で行くことが可能であり、城南FCはKリーグクラブの中でも、国の人口の4割が集中していると言われる首都ソウルから最も近い地域を本拠地としているクラブだ。

スタジアムは16,000人収容の陸上競技場。街の中心である城南駅からも徒歩10分ほどの距離。言って見れば「非常にアクセスのいい」スタジアムでもある。

しかしながら、スタジアムにはせいぜい2,000人程度の観客しか集まっていなかった。Jリーグサポーターの様な応援団もいないことはないが、その迫力や規模はJ3リーグと同等か、それ以下。といったところであろう。

水原W杯スタジアム 2015シーズン開幕戦「水原対釜山」(2015年3月)

 

Kリーグの平均観客動員が2,000人~6,000人というデータもあり、それを見ればこの日の私が城南で見た光景にも納得がいくが、その前日にソウルの野球場で見たプロ野球の試合に集まっていた観客たちの「熱」との大きな差に、唖然としたことを覚えている。(2015年には、Kリーグ屈指の人気チーム水原三星のホームゲームも観戦したが、立派なスタジアムに集まった観客はそれでも8,000人程度であったと記憶している)

明らかに「国内トップリーグ」としてあり得ない風景がそこにはあった。

 

韓国「代表至上主義」のなれの果て

最近では韓国でも「代表戦」が大きな注目を浴びることは少なくなっているようだ。

スタジアムも満員になるようなことは稀で、2002年にソウル市庁前を真っ赤に染めたサポーター達の姿は遠い過去のものになってしまったようだ。

地元開催のW杯で誰もが想像すらしなかったベスト4進出という大快挙を遂げ、韓国サッカー界には洋々たる前途が待っているかに見えたが、実情は必ずしもそうはなっていない。

もしかしたら、もう韓国の人たちは「W杯ベスト4」以上の成果を彼らの代表チームが今後、勝ち取る日が来ると思えていないのかも知れない。

「もうサッカーで夢は見られない」こんな潜在意識が、サッカーに対する関心や期待を削いでしまっているのではないだろうか。

こう考えると、見方によってはあの栄光があったからこそ、韓国サッカー界の今の現状があるようにも思えてしまう。

日本以上に「代表至上主義」が国情に馴染んだ韓国。それ故に代表チームの活躍だけに依存する体質が国内サッカー界に大きな影を落とし、国内トップにあったクラブにさえも、その運営を維持・継続する力すら育っていない。

「代表至上主義」が強まれば強まるほど、韓国サッカー界が陥っている「惨状」が日本サッカー界に起きる可能性が高まると考えるのは、杞憂だろうか。

 

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こちらのブログでは主に、私が最近妙に熱心に応援し始めた「柏レイソル」についての内容を多く記事にしています。

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